『――――ミリちゃんが、行方不明だって!?』

「あぁ…事態はかなり深刻らしい。くれぐれも他の皆には内緒にしてくれ。…ミナキ君にも私の方から連絡を入れる。それが終わったら私はこれからナズナの会合にテレビ映像で参加するつもりでいる」

『分かった、誰にも言わない。ミナキの方は僕から連絡する。もしカツラさんがよければ僕らもその会合に参加させてほしい』

「勿論だとも、是非来てくれ」









彼等も、動く



―――――――
――――











荒れ果ててしまった小島、リゾートエリアで襲撃に遭い半壊になってしまった別荘も含めて一旦警察とリーグ関係者に任せ―――ゴヨウの一声もあり、チャンピオンと四天王、そしてジムリーダーの面々は一度サバイバルエリアに戻る事になる

シロナとダイゴとゲンは憔悴しきっていた。手持ちのポケモン達も重傷、中には瀕死のポケモンもいる。これ以上放って捜索なんかに入ったら自滅してしまうのがオチ。半強制的に引きずられる形で三人はサバイバルエリアに戻されるのであった



時刻はもう、夜の10時を過ぎていた









「――――スズナさん、スモモさん、リョウ君、バグ君。貴方達は家に帰りなさい」

「「「「!!??」」」」







サバイバルエリアに着いてから早々、

ゴヨウは四人にそう告げた







「な、なんでですか!?」

「なんでそんな事を言われなくちゃなんねーんだよ!」

「貴方達は未成年。状況が状況だとしても、未成年をこのまま連れて行くことは出来ません」

「でも!このまま引き下がるわけにはいかないよ!」

「私達も残ります!!師匠を探したいんです!」






意味が分からないとゴヨウに抗議の声を上げる四人

確かに四人は未成年だ。スズナは15歳、スモモは13歳、リョウとバグは18歳

誰がどう見ても彼等四人を未成年者と言おう。スモモなんて13歳ときたものなら、尚更こんな時間にこんな場所に居させてはいけない。親御さんが心配するし、こどもは早く寝る時間帯だ


スズナは怒りに任せてビシッ!と、ある人物に指を指した






「だったら!なんでヒョウタさんも入ってないの!?ヒョウタさんも未成年でしょ!?」

「そうだそうだ!差別だ!」

「僕、これでも21になる身なんだけど……」

「「詐欺だ!!」」

「なんで!?」

「「童顔!!」」

「怒るよ!?」







そうして別の人を巻き込もうとしても、ゴヨウは首を縦に振る事はなく、本当に四人を帰らせるつもりらしい。意味深に眼鏡を光らせ、腰にあるモンスターボールを手にし始めたら四人の表情は真っ青だ

忘れてはならないのはゴヨウはエスパータイプの使い手。テレポートの技であっという間に自宅へ強制帰宅させられてしまうのだろう。温厚なゴヨウでもやる時はやる男だから、尚更

あわあわと四人は慌て始める







「あ、兄貴!兄貴からも何か言ってくれよ!」

「…いや、事実だ。バグ、兄貴としてもお前をこのまま連れ回す事は出来ねーよ。特にリーグの人間じゃなければなおさらな」

「ッ!!」

「僕は!?僕は四天王だよ!リーグの一員だよ!!」

「私達だって!まだ若いかもしれないけど一端のジムリーダーだよ!?」

「そうです!此処にいる権利はあるはずです!」






こんな状況だからこそ、帰れない。否、帰りたくない

トレーナーとして、ジムリーダーとして、四天王として。思いは四人それぞれに、だからこそ帰るわけにはいかないんだ

憧れの存在を行方不明にさせたままに、するなんて




しかし残念ながら―――四人を擁護する人間は、誰一人としていなかった









「……ゴヨウの言う通りよ、ここは素直に従って頂戴。私からもお願いするわ」

「「シロナさん!?」」

「分かって欲しい。けしてあなた達を仲間外れにするつもりは全くないわ。リーグとして、あなた達を預かっている身として言っているの」

「で、でも…!」

「異論は聞かない。これは私達大人からの命令よ」











「そう、お前達に拒否権等はない。言う通りにして家に帰りなさい」
















バサリ、と三つの羽ばたきが聞こえた






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