最大難関試験

まさに行く手を阻む最大の障壁




超えられるかは、貴方次第











Jewel.35













――――かくしてポケモンマスター認定試験は静かに開催され、第一関門でもある「筆記試験」は五時間という長時間の中で開幕した




出題者が問題を口頭で伝え、三分という短い制限時間の中で答えていく。盲目の私に配慮した方法で進んでいった筆記試験

二択だったり四択だったり、短時間で論文並の答えを導かなければならない。不意を突かれた問題を提示されたり、予想つかない内容がきたりと問題は容赦なく私を翻弄してきた。こんな問題こそ自分の眼で見て答案したかったと思ってしまったくらい、この方法は思っていた以上に難しいものだった

出題内容はやはりポケモンマスター認定試験なだけあって、殆どがポケモンについての内容ばかりだった。勿論、一般常識を問う内容も然り。地方特有の出題もあった。その地方を知らなければ確実に答えられないのもだった。リーグ協会認定地方の名前や特色を勉強しておいてよかったと、改めて本当に思った。これをクリア出来たら一人のポケモントレーナー…否、人間として誇りを持ってもいいだろう




それくらい、この筆記試験は―――むちゃくちゃ、すっごく、クッッッッッソ!ハイレベルな内容だったのだから!!










「ミリ君…もう出しきったって感じだね…」

《主、しっかり》

《ミリ様…魂が出かけてますよ…》

「…(ペシペシ」

「は、ハハハ…今日はもうゆっくり寝ます…」

「あぁ、そうしてくれ。結果次第では明日もまだまだ長いんだから。ゆっくり休んでくれ。この子達は私が預かるよ」

「よ、よろしくお願いします…」







いまだかつて、こんなにハイレベルな試験を受けた事は無かった…

無事になんとか筆記試験をやりきった私。もう空は夜空がキラキラ輝く時間帯になっていたらしい。他の出場者達は既に試験を終わらせ、宿泊施設に移動していると聞き、私もヘロヘロな状態でアスランさん達が待つホテルへと無事戻ってこれた


もうね、疲れたよ私

今日一日で全てを注ぎ込んだよ

脳内フル回転で疲労蓄積爆発寸前だよ!






「明日の朝10時に筆記試験の結果が私の方に連絡がくる。合格だったら次の試験の案内がくるからそのつもりで準備しておいてくれ」

「はい。…あ、ちなみに落ちてたら?」

「そうだね、連絡を受けてすぐにでもホウエンへ戻る事になるかな」

「あらー……なるべくそうならない方向にいけたら嬉しいです…。あ、そういえばアスランさん」

「何かね?」

「本部に勤めている、リチャードさんって方をご存じですか?」

「!!!!……どうしてその名を?」

「ご存じでしたか!実は筆記試験が始まる前に来て下さって、色々とお話をしたんですよね。リチャさ…あ、リチャと呼んで欲しいって言われまして、もし知っていましたらどんな方かなぁと思いまして」

「……、君はどう感じた?その、リチャードという男を」

「え?そうですね…面白い方でしたね。私の緊張をほぐす為に、色々お話を聞かせて下さいました。配慮の上手い方です。本部にもあーゆうボキャブラリー豊富な面白い方がいらっしゃるんですね。後はそうですね…息子さん大好きなお父さん、可愛い子には旅をさせよ精神をお持ちなのか今息子さんサバイバル中だとかで。フフッ、息子さんとは仲良く出来そうです。はい」

「………ハハッ、私に聞かずとも、いずれまた会えるはずさ。…さて、お話はここまでだ。今日は早めに休みなさい」

「??はい、分かりました。…あ、時杜ちゃんお願いがあるの私の為に甘いものをおくれ〜」

《はーい!》

「…………(全く、リチャードめ…何を考えているのやら」























―――次の日の朝10時…










《大変だ。主が倒れた》

《ミリ様ーーーーッ!大丈夫ですかミリ様ーーーーーッ!!お気を確かにいいいい!!》

「…!(ベシベシッ」








やりました


私…第一関門突発しました…!








「…………ハッ!?私としたら事があまりのびっくりに気を失っていたとは…!」

「おめでとうミリ君!第一関門を突発的したらあとはミリ君の勝利が確信したのも同然さ!」

「脳があまり機能してない……ごう、かく……わたしが、ごうか、く…!」

《ミリ様ーー!》
《主、おめでとう》
「…(ナデナデ」

「ごごごごごごうかく、わたしが、ごごごごごごうかく…!(ガタガタガタガタ」

「ミリ君!気を確かに!!時間だ早く行かないと!次はポケモンバトルだ!会場は本部とは違って別会場になるから迷わないように!頑張ってくるんだぞ!!」

「は、ひ……ひひひひひひひひポケモンバトル…ポケモンバトル…バトルならもうあのよく分からない問題を出される心配はなくありのままに皆とハッスル出来るわけだね…ふふふふふふふ…―――そうなれば私がやる事はただ一つ!!みんなあああああ!行くぞおおおお!着いてこおおおいッ!!」

《ミリ様ああああ!?》
《主、とりあえず落ち着け》
「…」








あまり感激に我を忘れ、点数を知らされずに私はアスランさんに見送られながら手持ち達を含めた三匹と一緒に次の試験場へ向かった


嬉しすぎて足が軽いんだよ〜!









「ハハッ、気を失うくらい嬉しかったんだね。仕方ないさ、歴史上ポケモンマスター認定試験は筆記試験で殆ど脱落するらしいからね」

『――――しかし、彼女は歴代初、最大難関と言われた筆記試験で満点を叩き出した。18の歳で普通はありえない事を彼女はした。……私でも満点は不可能だ』

「どうかね?私の大切な娘のミリ君は。そして、ポケモンマスターとしての実力は








―――――リチャード」

『とても素晴らしい逸材で、とても素敵な娘さんだ。……彼女が最終試験まで残ってくれる事を、"総監"として切に願うばかりだ』







――――――――――
―――――――
―――













ポケモンマスター認定試験

二日目に行なわれる第二関門は―――ポケモンバトル

ポケモンバトルはポケモントレーナーなら誰もが馴染みある、バトルトーナメント式





Aブロック・Bブロック・Cブロック・の三つに分かれたトーナメント

一つのブロックには三人で組まれており、各ブロックの優勝者が次のステージへと進める事になる

当然、バトルに負けた者は強制退場。ブロックの優勝者を知る事もなく故郷に帰される事になる。ブロックの優勝者は残り、次のステージへと進める事が可能。次のステージは勿論、優勝者同士のバトルが待っている。尚、優勝者同士のバトルに限っては負けても強制退場はされず、次のステージに進出出来るとのこと。優勝者同士のバトルはあくまでも余興であり、大事なのはその次のラストステージ。最終試験で全てが決まる、と本部の方はそう説明した


ポケモンマスター認定試験に出場した人数は約30人そこらと聞く。筆記試験では別会場にいたので知らなかったから、そんなにたくさん人がいた事に私は驚きを隠せない。第二関門へ駒を進めれたのは私を含め総勢9名、三分の一しか残れなかったとなると、やっぱりあの試験はむちゃくちゃ難しかったって事だよね

バトル形式は6対6の勝ち抜き一本戦。ポケモンが戦闘不能になったらバトルは終了。第二関門での所要時間は一日を予定している







「ふーん、もし私達が順調に勝ち進んでいくとしたら…決勝戦含めてバトルは約三回、始めから六匹使用。……こりゃ体力の事も考えて戦略練らなきゃね」

「…」
《ですね…!》
《状況によっては私も出よう》






有り難き心夢眼の力を駆使しながら(やっぱり眼が視えるってイイネ!)私は表示されてあるトーナメント表を見つめる

トーナメント表には顔写真では無く、番号で表示されている。勿論番号順じゃないから不規則な並び方、私のエントリーナンバーである10番は……Cブロックの最終試合の位置にあった。よく言われる優勝候補的位置にあった。うーん、期待されているのか偶然なのかなんなのか。しかし9人でのトーナメントは数が合わず数名は一試合しなくていいから得してるなぁ…


今私が居る場所は選手控室。当然私の回りには9人の選手がいて、彼等は何処か緊張した面持ちで手持ちの調整を行なっていた。彼等の年代は…やっぱり年輩者ばかり、私みたいな同年代は一人もいない。ザッと見て40代から70代くらいかな?

ポケモンマスター認定試験に出場を選ばれただけあって、熟練と威厳の雰囲気がしっかりと根付いていた。彼等はきっと、ポケモンバトルもかなりの強者として知られている凄腕トレーナーなんだろう


カタカタと、異空間にあるボールが揺れた







《マスター、バトルは是非この私を。マスターに新たな栄光を捧げましょう。轟輝も俄然やる気になってます。我々をお選び下さい》

《水姫と炎妃も主の力になりたいと言っている。私も主の勝利の為ならこのナイトメアの力を使ってでも勝負に勝とう》

《…風彩も相変わらず呑気な事を言っているが、回りと言う事は同じ。無論、私も同様の気持ちでいる。遠慮せず私達を使え》

《昨日ミリ様はすっごく頑張ってくれました。次は私達の番です!私、精一杯頑張ります!……あ、桜花も応援してるって言っています!》

「(皆の力を信じている。ありがとう、皆の力を使わせてもらうよ)」













正直な話、ポケモンバトルなんて全然私達の敵じゃない

此処にいるトレーナーさん達には申し訳ないけどこの第二関門、勝たせてもらう


皆さんにも背負っているモノがあって、私なんかよりも背負う重みが違うのかもしれない。勿論、胸の内に秘めたる覚悟も、決意も



けど、私も負けるわけにはいかない



盲目の聖蝶姫として、氷の女王として、ホウエンチャンピオンとして

感情に嘘はつけない。幾ら若輩者の10代の小娘だからといって、ナメないでもらいたいね

私達の存在を――――












「此処にいる人達は、どんなポケモンを持ってバトルするんだろうね。私の知らないポケモンもいたりして。フフッ、とっても楽しみだよ」

















(さあ、ポケモンバトルだ)


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