新しい居場所 頼もしい仲間達 温かい光のぬくもり これが、幸せ Jewel.02 …―――――突然だけど、この世界に来る前の私はとある世界に滞在をし、ただ一人で生活をしていた その世界というのが、私にとって故郷でもあって、唯一の居場所。…裏を返せばその世界しか私の居場所が無い事になるけど(まあそれはいいとして)、その世界こそが、異世界の狭間に存在する、異空間。あの聖地と同じ、とも言ってもいいその世界の名は【箱庭の楽園】。…残念ながらその世界は私の本当の故郷ではないけれど、確かに私はその世界にいて、一人ずっと生きていた 【箱庭の楽園】の空間を拠点にし、様々な世界を繋いでいき、自由気儘に世界を堪能する。まあ時に世界の厄介事に巻き込まれたりする事が多々あったけど、基本的【箱庭の楽園】はどこも似た通ったかな現代世界を繋いでいく。そして、こうしたポケットモンスターみたいなアドベンチャーな世界に限っては、修業だ!とかいって容赦無くフレイリに強制的に送り込まれたりと、しかも無断で、その、ね!うん(あまり思い出したくないらしい 帰る居場所はあっても、所詮そこは仮住まい。【箱庭の楽園】はフレイリが私の為に用意した世界だ。…フレイリには悪いけど、心の何処かではあの場所を本当の居場所とは思えないでいた きっとフレイリの事だ。一番に私の事を知っているから、もう気付いているんでしょうね。だからこそ、フレイリは私を修業と偽って色んな世界に飛ばすんだ。本当の居場所を、私自身が見つけ出す為に 今回、ポケットモンスターの世界もそういった理由で私を送ったんだろう。ポケモンの世界、ポケモン好きな私にとって万々歳な世界。でも、勝手に送り込んだとしてもすぐにこちらに連絡してくるフレイリの声が一向にこないのが些か不思議で疑問。きっと忙しいんだと勝手に思っておく(連絡きたら色々と質問したい事だらけだからねフレイリめこんにゃろう覚悟してろよこんにゃろ← 居場所は自分で見つけ出すもの。帰る場所は自分で作るもの いつしか世界を巡るたび、心の何処かでそんな事を思いながら見えない光に想いを馳せる 今回、このポケットモンスターの世界では最初の状況が状況だった為、私達は自分の居場所を求めた。無くしてしまっただろう過去の事は一旦置いといて。私達は夢の為に、自分達の為に、様々な光の先へがむしゃらに進んだ。そして進んだ先にあったのが様々な出会いから始まり、強者と戦い抜いた経験と、そして…――――探し求めていた、掴み取った新たな居場所 永久に生きる私にとって、人間の寿命なんて一時のものでしかない ましてや、いつどれくらいこの世界に滞在出来るかあやふやな異端の身 それでも可能な限り、私はこの居場所を大切にしようと決心した。北の大地で出会った仲間も、南の大地で結束した仲間、そして友も。人間より遥かに数を締めるポケモン達も、この世界に存在するかつての【私】の仲間達も…―――― ――――…ガシャァァァンッッ!!!!! キャアアアア桜花ちゃんんん!!!! チュリィィイイィイイィ!!!!!! ジタンバタンドタンゴロゴロ ガシャン!パリーン! キャアアアアごめんなさいいいいい!!!! 「………あらー」 「…」 《え、ちょ。なんかとても嫌な予感》 久しく与えられた一時の休息。愛来に淹れてもらった紅茶に舌を包みつつ、蒼華の背にもたれながら珍しくあの場所の事を思い返していたそんな時 何やら、とっても、物騒な騒音が聞こえてきたのだけど 《…Zzzz、……(パチッ)ぬ?……なんだ、今悲鳴らしきものが聞こえた気が…》 《(影からヌッ)起きろ刹那。また桜花がやらかしたらしいぞ》 「(窓からドスン)ガァアアッ」 《なんかあったのか?》 《(扉からバタン!)マスター!ご無事ですかッ!?今し方物が割れる音が!》 「…」 《先程の音よりも騒がしいと思うが》 「今日も元気だね〜。時杜、悪いけどちょっと行ってもらってもいい?」 《はーい。なーんかとっても大変な事になりそうな…》 今、私達がいるのは二階にある自分の部屋。私と一緒に寛いでいたのが背も垂れになってくれた蒼華、観葉植物とお友達になっていた時杜、隣でお昼寝していた刹那、影の中でゆっくりしていた闇夜。んで、一階で何かしでかしただろう音を聞き付けて窓の外から顔を覗かせた轟輝と、私の耳を心配して部屋に駆け付けて来た朱翔。で、此処にいないのは水姫と風彩と炎妃と蒼空と愛来に桜花、となるわけでして… いつもマイペースにフラフラ飛んで行く風彩と空の警備に出掛けていた蒼空はいいとして、数分前桜花が喉が渇いたから水姫と炎妃と愛来のお姉ちゃん達にお願いしてリビングへ行ってもらっていたんだよね 今の時間は各自自由にしてもらっていて、勿論心夢眼もオフ状態。心夢眼は眼の神経をかなり酷使させてしまうからね、こんな日はゆっくりしてもらわないと ………とは言っても、物騒な音が聞こえちゃえばそういう訳にはいかないんだよね〜。申し訳ないけど さてさて、今リビングに向かってくれた時杜ちゃんとシンクロしちゃおうかしらん ……… …………… おおう 今日もえらいまあ派手にやっちゃってくれて 「あらあら、あらあらあらあら、こりゃ大変。時杜ちゃんが」 「ガァアアッ」 《時杜かよ、と轟輝がツッコミを入れたが…なんだ、それほど酷い状態なのか》 《今に始まった事ではないだろ》 《アイツらどれだけマスターに迷惑を掛ければ気が済むというんだ…!》 「…」 ドタバタドタバタドタバタ… ドテン!ゴンッ! いたっ! あ!桜花ちゃんコラッ! チュリィィイイィイイィ! ドタバタドタバタドタバタ バタン! 「チュリィィイイィイイィ!」 《コラアアアアア桜花ああああああ!!!!!》 「桜花ちゃんいい加減にしなさいいいいい!!!!」 「ミ、ロ…ミロオオオオ」 「…キューン」 《騒がしいぞお前ら!少しはマスターの耳を思って静かにしろ!》 「…ガルルル」 《おいおい、荒れてんなァ》 《時杜、いや、ダメだ時杜は今我を失ってるから炎妃。一体何があったのか説明してくれないか》 《…――――今戻ったぞ、って何なんだこの状況は。桜花が泣きじゃくるのはいいとして何故愛来お前そんなにボロボロなんだ》 「ふりぃ〜」 《ミリー、見てよミリの好きなモモンの実だよー…あれ、何この状況》 《色々と酷いな》 「あらあらあらあら」 「…(溜息」 また開けられた扉から我先と私の胸にダイブしてきた桜花と、桜花を追い掛けてなだれ込んで来た時杜と愛来と水姫と炎妃、空の警備から帰って来た蒼空と、庭からモモンの実を持って来てくれた風彩 この部屋はかなり広い造りになっているけど、ただでさえ身体が大きい子達が多いから、こうやって一気にドワッて来るとなんか圧迫感を感じてしまうのはしょうがないとして 私の胸にダイブして泣きじゃくる桜花をすっごく荒れた様子で我を忘れて怒る時杜と、途中で転んだのかボロボロな愛来、一階の惨事を最優先にすべきだとオロオロする水姫に、溜息しか出ない炎妃 荒れた様子の皆を五月蠅いぞと叱る朱翔と窓から面白そうに笑う轟輝に状況説明を求める闇夜、そしてベランダから空の警備を終えて帰って来た蒼空とモモンの実を持って帰ってきた風彩は眼前の光景に呆気に取られる そんな彼等の姿を刹那は相変わらずな様子で眺め、私は笑い、蒼華は溜息を付く うん、今日もみんな元気だ 「楽しい、ね。…ずっとこの幸せが続くといいな」 新生リーグ協会ホウエン支部として活動をし始めて、早数ヶ月 相変わらず、こんな調子ですが 私達は、元気にやっています (ハローハロー)(シアワセ、です) |