「レッドも相変わらずだねぇ」

「あの人はいつもあんな感じだよ」






のんびり呑気にしているレッドを引きずって皆と別れた夕方。レッドの情けない「あーれー」な言葉が木霊する中、ブルーは「ほら行くわよ!」とイエローにクリス、ルビーとサファイアとエメラルド(宿泊施設がマサラタウン)と一緒に消えていき(笑)、ゴールドと私とシルバーは途中まで一緒に帰っていたけど分かれ道でゴールドとさよならし(暫く喧嘩していたゴールドとシルバー)(若いなぁ)、私とシルバーは秘密基地に向かったわけであります

人里離れた、本当に秘密基地な場所に彼等(つーか彼)の住まい。秘密基地なくせにガスや水が通っていて、本当にここが家なのかとびっくりする位ゆったりとしている場所(まぁ最初は閑散としていたけど

そこにいる人物は誰なのかなんて言わなくても分かるだろう。スーツじゃないけど相変わらず黒い服を着込んだ彼は、サカキさんは相変わらずだった。身体の方も治ってきているし(私も力で治してあげているからね)、トレーナーとして復活出来る日は近いはずだ

―――しかし、ある意味悪党の中の悪党でロケット団の元凶とも言えるこの人が、今では普通のお父さんとして私達を出迎えてくれるなんて変な話だよね







「まぁ何がともあれ、レッドとグリーンには悪いけど頑張ってって感じだよ。シルバー、これよろしくね」

「分かったよ姉さん」





そこで私はというと、シルバーと一緒に夕飯を作っていた





「姉さん、次は?」

「スプーンとか出しといて。後、野菜もね。すぐにドレッシング作るからサカキさんを食卓に呼んでくれる?」

「分かった」






シルバーの立ち去る姿を見送った後、私は早速テキパキと和風ドレッシングを作り出す。手作り和風ドレッシングは簡単だし何より好きな味だから張り切っちゃうんだぜ←

カタン、と気配と音が聞こえたので後ろを振り返れば椅子に座ったのはサカキさんだ。シルバーも席に着いていて、私が来るのを待っていてくれている。丁度ドレッシングが出来上がったから、ソレを持って食卓に足を運んだ






「サカキさん、」

「今日も悪いな、ミリ」

「いえいえ〜。サカキさんには恩がありますし、好きでやっている事ですからね。はい、私の特製和風ドレッシング投入〜」

「美味しそうだよ、姉さん」

「フフッ、ありがとう」

「なら食べるか」

「うん、いただきます」

「いただきます」

「はい、召し上がれ」






不思議とこのメンツでいると、彼等の家族になった気分になる。サカキさんが父さん、私が姉でシルバーが弟。二か月の、義娘な筈なのにこの雰囲気がとても大好きだった

私も食卓に座って彼等と一緒にご飯を食べ始める。うんうん、今日も美味しく出来上がっていて大変満足だよ…!(自画自賛






「――…そういえば、もうじきリーグ集会があるそうじゃないか」

「あれ、サカキさん知っているんですね。なら、どんな議論が呈示されるかは?」

「無論、知っている」

「あらー」

「これでも情報収集は欠かせずやっているからな」

「ならその情報で今言える事はありますか?」

「気長に頑張れ、だな」

「あらあら」





ロケット団は元々シルバーを探す為に結成されたモノだ

世間は悪業を重ねたロケット団を悪く言うだろう。団員も悪を進んで行なっているのだからしょうがない。でもロケット団が結成された本当の意味を、誰も知らなくていいんだ

そう、知らなくていい。知っているのはナナシマ事件の当事者だったシルバー達とサカキさん本人に……全てを漫画で見てきた、私だけでいい

あ、後はナズナさん←

聞けばちょくちょく連絡は取り合っているみたい。今でも仲良くしてくれているなら私は安心だよお父さん←!!??











「本当に、それだけの集会なのだろうか―――――…………嵐が、来そうだな」










静かに呟かれた言葉は、シルバーに話しかけられた事で耳に入る事は無かった



(まだ、知らなくていい)

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -