「いやー…まさか俺、メロメロされるとは思わなかったぜ…」 「あはは…僕もです…」 「まーあれッスよ!何がともあれ、ピカとチュチュが正気に戻って良かったッスね!」 ぐったりした様子で先程のバトルをぼやくレッドとイエローを慰める言葉をかけるゴールド 草原に座る彼らの目の前には、無事に仲直りを済ませ、亀裂の原因を作っただろう白亜と黒恋を交えつつ(元はと言えばお前のせいだろ)家族揃ってぬくぬくと日向ぼっこを楽しんでいる。白と黒の間に挟まれた黄色い動物達の手は、離さないとばかりに握られている。風に揺らめく雷の尻尾が仲良く揺れいて、微笑ましい光景にレッドとイエローとゴールドの面に微笑が浮かぶ 「グリーンも大変だよね。もうじきリーグ集会があるから忙しいだなんて…グリーンもまだ未成年だから大目に見てもらえる訳にはいかないよねぇ…」 「最近徹夜続きらしいわよ〜。暫くジム立ち入り禁止されちゃったし」 「聞いた話では大掛かりな集会みたいですよ。シンオウとホウエン、カントーとジョウトの地方の集会は今までにない事例だそうです」 微笑ましい彼らの姿を視界に入れ、心穏やかほっこりしつつ、私は此所には居ないグリーンの現在状況を情報収集を欠かせない 今日、来ていないグリーン。実は以前こうして全員と集まってバトルする時もグリーンの姿は居なかった。あの日はカントーチャンピオンのレッドと戦う日でもあったから、居ないならまた別の日に再戦をしようと思っていたし、本人は「忙しいから行けれない」とだけを伝え、私もあまり深く追求する事は無かった。ジムリーダーの職はいまいち良く分らないし、彼の邪魔は頂けなかったからね もうじきリーグ集会があって忙しいのはグリーンだけじゃない。よくよく考えればカツラさんもマツバさんも他のジムリーダー達も忙しそうにしていたのを思い出す 「ですが父さんからの話だとこっちのホウエンは参加しないそうで、変わりにシンオウにダイゴさんっていうチャンピオンが出席するみたいですって」 「ダイゴさん?あれ、ルビー、ホウエン地方のチャンピオンはミクリさんじゃなかとね?」 「これもまだ公にされていないからサファイアが知らないのも無理はないけど…ホウエン大災害の時、師匠はダイゴさんからチャンピオンマントを譲られただろ?正式にチャンピオンは師匠になったんだけど、なんかダイゴさんがチャンピオン存続を希望して師匠が承諾したらしいんだ」 「…つまり、二人でチャンピオンになるのか…異例だな」 「でも今は師匠がほぼチャンピオンとして前に立っているみたいですし。ダイゴさんはまた別行動しているらしいし…詳しい話はきっと集会に行われるかと」 「へー、そうなんだ」 「そっか…そういえばホウエンの方は大変だったんだよね。修復活動は今でも?」 「はい。本当は僕らも修復活動に専念すべきかと思うんですが…」 「父ちゃんがカントーに用があるから、アタシがルビーとエメラルドを一緒に連れてきたんちゃ。ルビーの親のセンリさんやお母さんにもOKもらったたいよ」 「観光って感じかな、俺達」 ホウエン大災害については記憶している。確かマグマ団が復活させたグラードンとアクア団が復活させたカイオーガの激闘な戦いによる悲劇。眠りから醒まされ、起きたら目の前には宿敵、それから目覚めさせられたらすぐに眠れと言われれば流石にポケモンも怒ってしまう。終焉はルビーの父親のセンリがレックウザを従えて、色々一騒動はあったが無事にその場を納める事が出来た、が… 悲劇は必ずやってくる。伝説らを従えた代償にセンリ、それからホウエン守人でもあるレジアイス、レジスチル、レジロックを従えたダイゴの命の灯火が消え果て、他にも沢山の命が消えてしまった。あまりに強大な力は意図も簡単に人間を飲み込み、命を奪った。自分達のよかれと思う願望が生み出した、結果だった 宝玉に認められたルビーとサファイアは、懲りもしない馬鹿な二人(陸海のリーダー)と戦い、最後はルビーが持っていたセレビィで幕を閉じる。セレビィの力で時間は巻き戻しされ、死んだはずの人間は生き返っていた。そこで一件落着だ、と…漫画ではそう終わっていた けれど話に、大災害の傷跡は深い所を聞くと…人の命は巻き戻しされても大地の傷は直せなかったのだろう。漫画で見た限り、痕跡は無かった様に感じるけど…やっぱりそう甘くは無いんだよね 「オーキド博士から少し聞いたんですけど、最近起きるポケモンの様子も会議に出すみたいですよ」 「最近?」 「様々な地方の洞窟や森、他にも生息するポケモンがしきりに鳴くんだ。中には涙を流すポケモンも居るらしい。前例が無いらしいから、ジムリーダーに呼び掛けをすると聞いた」 「………へぇー。と言う事はオダマキ博士がカントーに用があるのは、専らこの話を博士同士とまとめあってリーグに提示する為、だね?」 「流石ミリさん、分かってる!」 エメラルドのお褒めに私は彼の頭を撫でてありがとうと言えばエメラルドは照れ臭そうに鼻を擦る(いいなー、って何処からか聞こえる 今の話は、きっと原因は私だろう カントーやジョウトの、"そういった場所"に行くといつも大歓迎されていた。トキワの森やシロガネヤマ、ハナダのどうくつが良い例だ。シルバーの話しに聞く限り、カントージョウト以外の地方のポケモンもそうなっているらしいから…うーん、なんとも言えない トキワの森で騒動を見ていたイエローの視線が強く感じるのは気のせいなんかじゃない。イエローに視線を向け、とりあえずウインクしてあげればイエローはボッと顔を赤くした(可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い!← 「色々課題が大きいみたいだから、こんな大掛かりな集会になっちゃったらしいわよー」 「課題…あぁ、所謂悪軍団に付いてとか?」 「マグマ団やアクア団みたいなやっちゃね!」 「どの地方もその悪党軍団の被害は大きいみたいですから、リーグも厳しく対策を練るみたいですって」 「大丈夫だってお前ら!何せカントージョウトホウエンの悪党をぶっ飛ばした俺達が居るんだぜ?しかもサトシとシゲルの奴も向こうでどっかの軍団ぶっ飛ばしたらしいじゃねーかよぉ!俺達が居れば百人力!」 「だが、痛い目みるはめにもなるぞ」 「おめぇは一言多いっつーの」 「本当の事を言ったまでだ」 「悪党ねぇ…」 よくよく考えれば、彼らは旅先でその悪党と出くわせて、ボッコボコのフルボッコにさせたんだよね 第一章だとレッドとグリーンとブルーはロケット団。第二章はイエローで四天王(悪党は…まぁチョロッと絡んでいたね)。第三章はゴールドとシルバーとクリスのロケット団、だけどマスクオブ仮面の悪党でブルーもレッドもグリーンもイエローも最後は終戦に絡んで来たんだっけ。第四章はルビーとサファイアのマグマ団とアクア団。第五章はレッドとグリーンとブルーのロケット団(サカキさんアンタねぇ…)。そこにイエローやシルバーが絡んで来て最終的には石化しちゃって(サキの奴いつかぶっ飛ばす)。第六章はエメラルドでガイルってなのるアオギリがうんたらと……こいつらもしかして行く道に悪党が付き物だろうか← しかもサトシ君達も悪党ぶっ飛ばしたって…ギンガ団か?ギンガ団の事なのかうっそマジでギンガ団ぶっ飛ばしたn(ry でも、 「……無茶はして欲しくないかなぁ」 「ミリさん?」 「――…話に聞けば君達は本当に沢山の困難を乗り越えてきていてさ、普通だったら出来ない事もしている。それは凄い事だと思うよ?…でもさ、その分、皆は危険な目にあっている。命の危険を伴う事をしている。生きて帰れるかなんて、分からない瀬戸際だったんでしょ?」 「あー…」 「それは…まぁ…」 「「「「「「………」」」」」」 「済んだ事だから色々言うつもりは無いけどさ、あまり無茶しないで欲しい。君達が傷付いた事で悲しむ人は大勢いるんだから」 それにマジで普通の人間が凍付けになったり石化したり電撃食らっても平気だなんて有り得ないし← 「その人達の事も考えて、自分達の命を大切にしてね。帰る場所が、君達にはあるんだから。君達を待っている人を、絶対に悲しませちゃいけないよ?」 私の言葉に真面目に、でもシュンとしている可愛い彼等に私は笑う。隣りに座るブルーとサファイアを引き寄せて抱き締めて、目が点になる二人の頭を優しく撫でてあげる 戸惑う二人に微笑を零し、回りの皆にも笑いかけてあげるのも、忘れない 「今度、もし、君達にそんな事があって、危険な目にあったら私を呼んでね ―――私が助けてあげるから」 大切な大切な、私の"きょうだい" 血が違えども、私にとってこの子達は大切な弟や、妹達 彼等は図鑑所有者の繋がりか、運命は残酷にも彼等を危険な目に引き合わせ、けれど確実に彼等を成長に導かせている それが決められた"定め"だとしても 「私の気持ち、少しは伝わってくれたかな?」 そう笑って言えば、彼等はごめんなさいと零しながら頷いてくれた → |