テープから流れて来る、盲目の聖蝶姫を親しみ、慕い、感謝の気持ちと次の再会を望む声が多く、聞いているだけでも心が熱く笑顔になってしまいそうだ。彼女は愛されていた。四天王にも、ジムリーダーにも。でなければ、送別会の前にまた録音する手間など掛けるはずがないのだから

―――……しかし本当に残念な話だ。盲目の聖蝶姫が行方を眩ましたのはチャンピオンの引継ぎを全て終わらせた直後…――シンオウに発つ際にバックの中に仕組む事なく、しかも聞いてもらえる事無く…――こういう結果になってしまったのだから







「――――――――…」







今、この黒い影はどんな気持ちで聞いていたのだろう

黒い影が一体何者かも、どんな目的でこんな事をしているのかは分からない







「―――――……」







ラジカセからカセットテープを取り出し、また丁寧にケースの中に仕舞う。バックのチャックを開け、二つのカセットテープをバックに仕舞い込み、ゆっくりとチャックを閉めていく全てのモノを仕舞い込んだバックはとても重量重く形を変形させていた。構わずに黒い影はバックを持ち上げ、腰からモンスターボールを取り出す


開閉ボタンを押し、床に軽く投げ付ければ現れたのは一匹のポケモン

黒い影はポケモンを見下ろすと、顎で何かを命令する。ポケモンは既にその命令を知っているらしく、小さく頷くと力を発動させ目を光らせたのだった






















暗い暗い、部屋の中


そこにあるのは様々な情報の資料




誰もが入れる場所ではない、資料室








……―――あるはずだった資料が忽然と消えている事実に気付くのは、もう少し先…








(黒い影は、何者?)

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