「―――…"盲目の聖蝶姫"、彼女の名前を名付けたのはこの私デース。目が見えない盲目でありながら、まるで蝶の様にポケモンと羽ばたく姿…今でも彼女の魅せるコンテストを忘れてマセーン。…オウ、ワタクシと彼女の関係デスカー?彼女とは同じコンテストを目指す仲デース。彼女を一目見た時からあの子は化けると思ってマシータ。今ではワタクシの良きライバルでもありマース。彼女がシロナとポケモンバトルのライバルなら、ワタクシはコンテストバトルのライバルでショーカ?……ワタクシから見て彼女は?オウ、ワタクシから見て彼女は一輪のフラワー…いつもは凛としていますが、少しの事があったらポキッと折れてしまう危うさを持ってマスネ。笑顔が綺麗な方ですが…ワタクシには分かるのデス。彼女は人を信用していない部分があるのを。これは多分デスが、親しい人にしか気付いていないでしょうネ…。でもワタクシには関係ありまセーン!彼女は彼女デース!何かきっと理由があるのデス、今回の件も……きっと何か理由があるのデス。じゃなきゃ約束を守る彼女が、ワタクシ達の約束を破る訳じゃありまセン。ワタクシは、彼女の帰りを待ち続けマス。またあの舞台で、競い合うライバルとして披露出来る日を、祈ってマース」





「マキシィィイイッム!!おお!アイツの事ならよぉぉっく知っているぞ!アイツはな、あんな美しい姿して細くて脆いように見えてなぁ…実は見事な格闘技を持っとるんだ!びっくりだろう!?俺も目の前でギンガ団の奴等をぶん投げた姿見たもんなら仮面がズレ落ちたわ!アイツは強いぞ!…お?俺とアイツの関係か?普通ならばジムリーダーと挑戦者、と言うものだがな!けどな、実はこれは秘密なんだが…アイツと組み手をしてもらっている!だが俺はプロレスでアイツは自己流みたいなものだ、流石に俺がアイツに掴み掛かるのも……なぁ?分かるだろ?だからアイツの技を一方的に受けて、アイツを鍛えるのと同時に俺自身も鍛えているってわけだ!どうだ!凄いだろ!?アイツは本当に強いぞ〜〜ッ!―――強いからこそ、アイツが死んだだなんて…俺は信じられん!行方不明になったとしてもアイツは生きている!なんせアイツには強大な壁があるんだ、それにアイツには知恵がある。…俺はアイツが生きて戻って来る事を信じている!マキシィィイイッム!!」





「彼女は強い。ポケモンバトルもコンテストバトルも彼女自身の実力もそうだが、彼女自身の心も。彼女の心は鋼よりも硬い。私は自分の鋼を駆使しても彼女の鋼の心を、強い心で繋がれた彼女のポケモンという壁を壊す事が出来なかった。……と、かたっ苦しい事を言わせてもらったのだが、何だったっけ?あぁ…私と彼女の関係か。関係といっても変な関係では無いぞ?あくまでジムリーダーとその挑戦者、というべきだろうか。実際に知り合いになったのは一人、私の知り合いの男が彼女と知り合いでな、息子の歳も近い事もあるしジム戦し終えた後で、知り合いの紹介で改めて再会したのだ。彼女は…見た目より本当にお茶目な子だ。知り合いが手を焼いてしまうくらい突拍子の無い事をしでかしては怒られていたな。勿論そこに私や知り合いもいたんだが…どうやら彼女のマイペースは他でもあるらしい。が、それは親しい者達だけと聞いた。彼女は心が鋼だが、その分人を信じる事をしない部分もあるからな…そう考えるとマイペース振りは信用あると受け取っていいと思うんだが……。しかし本当、彼女は美しい。ウチの息子が惚れて尊敬する理由も分かるし、知り合いも手を焼いてしまう理由も分かる。うーん、私とすれば早く知り合いとくっついてしまえばいいんだが…本人その気が無いからな。早く嫁さん貰えばよいものを…ゴホン、話が反れてしまった。――彼女が行方不明になった事で、よからぬ話が色々出ているのを耳にしているが、私は彼女が生きていると信じている。彼女は強いし、鋼の心が彼女を強くしている。今回の件も、彼女の突拍子の無い行動で起きた惨事ではないかと思っている。それに彼女には戻ってもらって、今度息子と共に地下通路に行って化石を掘る約束をしているんでな。彼女は約束を守ってくれる子だ。私は息子と共に、彼女を信じて待っている」





「目標とするトレーナーですか?でしたらスズナは勿論、盲目の聖蝶姫さんですよ!あの人は女性にとって目標に出来るパーツを全て揃っているんですよ!容姿が良いでしょー、性格も良いでしょー、バトルも強いしー、綺麗だしー、すっごく頭がいいし!…え?私とあの人の関係?えーっとね、あんまり大きく言える関係じゃないんだ。スズナの場合、キッサキ神殿を守る一族ってヤツ?その関係で、母さんがジムリーダーしていてさ、母さんがバトルしていた姿を遠目で見ていたっていうか…その後母さんに紹介されたっていうか、何て言うか。殆ど私の一方的な尊敬なんだ、エヘヘ。それでね!あの人ね、私の頭を撫でてね「この子は将来良いジムリーダーに育ちます」って言ってくれたの!嬉しかったな〜!お蔭で私、お母さんの後を継ぐって決めたのよ!もしジムリーダーになれなくても、キッサキ神殿はちゃんと守ろうって。今ね、母さんの元で修業中なの!勉強と両立するの大変だけどさ、あの人に認めてもらえる位に強くなって、ジムリーダーとしてバトルしてもらえるように!――それを、あの人がホウエンに旅立つ時に約束したんだ。あの人は約束を守ってくれる優しい大先輩だもん、私はジムリーダーになってあの人の帰りを待っているんだから!」





「僕が目標とする人は父さんとゲンさん。父さんは身近にいる人だし親だし、ゲンさんも強いし紳士な所があるからね。…でも父さんには口が裂けても言えないし恥ずかしいし、ゲンさんには目標にしているけど若干ニート一歩手前にはなりたくない…。それで、僕が最も尊敬するのは盲目の聖蝶姫。彼女はテレビで何度も見ていたし父さんとバトルした所も見ていたし、ゲンさんの紹介で仲良くなれたし、彼女は実は歳が近くて僕より一つか二つ上な先輩でもあるからね。本当に彼女は良い先輩です…あぁ、僕彼女の事先輩って言っているんだ。あの人それ止めて欲しいって言っていたけど。で、何だっけ?僕とあの人の関係だっけ?うーん、やっぱり父さんとゲンさんと紹介で知り合った、先輩かな?あの人、化石に詳しいし地下通路で採れる原石に詳しいしバトルにも詳しいし…もう人生の先輩って言ってもいいよ!あの人って結構忙しい身だからあまり会える日は少なかったけど、でもその分僕はあの人から多くの事を学んでいるんだ!流石に父さんみたいに穴掘ってばっかりいられないからね…――あの人がホウエンに旅立つ時もまた色々教えてもらえるように約束をした。あの人は数少ない貴重な約束を破らないでいつも来てくれた。聞けば行方不明になる前も約束を守ろうとしてくれたらしいじゃないか。僕は待つよ、あの人が、先輩が帰って来るのを。父さんとゲンさんと一緒にね」





「え?私と盲目の聖蝶姫さんの出会いだって?ちょっと聞いてよ〜!ウチの町の近くにあるハクタイの森に古くて怪しいお屋敷があるじゃない?あそこ出るって噂なのよー!…え、出るってもちろんアレよアレ。ゆ・う・れ・い。…いやー私幽霊苦手でさぁ、でも興味はあるのよ興味は。それでね、私とあの人の出会いはっていうとね…森の前で渋る私とチェリムが会話していたら後ろで「なら私達が行ってみるよ」とか言う声が聞えて後ろ振り返ったらもうびっくりしちゃったの!あの盲目の聖蝶姫よ!?ただでさえあの人有名で会うだけでびっくりなのにマジでガチで屋敷に行っちゃったのよあの人!しかも無事に帰って来たは良いけど沢山ゴースやゴースト引き連れて、「ロストタワー行って皆を成仏させてくるね」とか言って来たけど皆って何!?誰!?みたいな!……え、関係?私達の関係は残念だけどそれだけなのよ、実は。スズナとスモモやヒョウタみたいに親がジムリーダーだからっていう繋がりは残念ながら無いのよねー…。それに私がジムリーダーになったの、あの人がチャンピオン辞退した時なのよこれまた。だから三人が言う約束とか交わしていないし、あの人が私の事覚えているかさえ分からないもの。しょうがないよ、盲目だしあんな一時な出会いなんて。そう思うと悔しいし寂しいけど、私ジムリーダーになれたからきっとまたあの人がウチの町にやってきたらいくらでも会える日は来ると思うの。…――今はあの人、行方不明になっちゃってるけど、私はあの人が戻って来ると信じている。だってあんな不気味な場所に行けるんだから!大丈夫よ!」





「私と盲目の聖蝶姫さんと出会ったのはあの人がジム戦をしにこちらのジムに足を運んだ時です。リーダーである父さんと稽古をつけている最中でした。噂はかねがね聞いていましたからあの人がジムの扉を開けた時から、なんていうか、オーラが違うって思いましたね!実際にあの人強くて、綺麗で、なんだか世界が違うって思いましたね。…え、私とあの人の関係ですか?でしたら私はあの人の弟子です!盲目なのに芯が強くて聡明で、しかも武道の達人なんですよあの人!弟子入りしたいと恥ずかしながら懇願しまして…それで承諾を得て晴れて私は弟子になれたんです!今はあの人の事を師匠と呼ばせてもらってます!あの人は人生の先輩で、尊敬する立派な人ですから!会う機会は少なかったけど、少ない再会の日に色々教えてくれたんです。だから――…師匠がホウエンに行く時、約束したんです。帰って来たらもっと私を鍛えて下さいって。あの人は頷いてくれました。「勿論」そう言ってくれました。私は弟子として、師匠の帰りを待っています。師匠はきっと何かあったと思うんです。でも今の私にはどうする事も出来ない…待つしか、信じて待つしか方法はありませんから」





「私と彼女と出会ったキッカケはデンジとオーバが彼女を紹介してくれたんだ。あの二人がまさか女を連れてくるなんて…しかもかなりの別嬪で驚かされた。この二人とうとう美人を連れてきたのかと。まだ彼女が盲目の聖蝶姫として羽ばたく前の時だった。出会ったその日にジム戦を申し込まれてバトルをしたのだが一向に刃が立たなくて、私は思ったんだ、この子は化けるぞと。今となれば皆が目標とするポケモンマスターになってしまったんだ。驚かない訳が無い。関係は娘みたいなものだ。詳しく言えばデンジやオーバと彼女を言わば自分の子の様に思っている。中々面白いぞ、デンジとオーバがアプローチかけているとポケモンが弾き返して、しかも彼女は気付かないときたものだ。彼女は何処か一線を置いている所があってな、人を信用していない部分がある。勿論、私達にも。あの二人は気付いているのかは分からないが…――きっと彼女は何かを背負っていて、その背負う何かに巻き込まれたのではないのかと考えている。でなければ、色んな人に無理矢理交わされた約束でも破るはずがないからな。私は喫茶店でコップを拭きながら彼女がまたパフェを食べに来るのを待っている」





「俺とアイツの関係は…アイツからしてみりゃ、ダチなんだろうな…あぁ、何でもない。俺とアイツとオーバの三人で良く仲良くさせてもらっていた、所謂親友ってやつ。よく改造していて停電なっちまうと怒られていたな、俺…――自慢じゃないが、チャンピオンより俺達は長い付き合いだ。アイツの事もよく理解しているつもりだ。理解しているからこそ、アイツが約束を破るはずかない。行方不明もきっと何かの間違いだ。俺は信じて待つぜ、アイツが帰って来る日を。んで、再会したら立派になったナギサを案内してやるんだ。盲目で視えなくても、アイツは心で視てくれるからな」





「皆が本当に羨ましいですよ!回りの皆とかあの盲目の聖蝶姫と知り合いなんですよ!?僕なんてオーバさんみたいにマブダチでもなければ出会ってもいないんですから…。はぁ〜……で、何でしたっけ?どう思っているか?そりゃもちろん、憧れる大先輩ですよあの人は!僕あの人の雑誌や特集とか買ってましたからね!…え、抱負?抱負かぁ…まずシンオウに戻って来たあの人と会う事が先ですね。それからですよ。今行方不明になっちゃってますが、あの人は帰って来る。皆がそう信じていますから、僕も信じないとね。帰ってきたら可愛いイモムシポケモン総出で出迎えるんだから!」





「私とあの子と出会ったのは、シロナの紹介からなのよ。シロナが随分と執着しているものだからどんな人かと思ったら、とても美しい人でね。凛としていて強くて、でも何処かあぶなかっしくて…盲目なのにそう見せないあの子に随分と驚かされたわ。今となれば可愛い孫みたいに仲良くさせてもらっているわ。…あの子、人を信じる事が出来ないでいるみたいなの。勿論それは私達も含まれているのだけれど、けどそれでもあの子が私を慕ってくれていると思うとその考えがどっかに行ってしまうのよ。あの子がホウエンに行く事に賛同したのはこの私。確かにリーグの裏事情もあるけれど、あの子とシロナが交わした約束を果たしてもらいたかったのよ。そしてあの子は約束を果たした。チャンピオンに、そしてポケモンマスターへ。今は行方不明になってしまっていて、今でもあの子の姿を見ていないけれど…私達はずっとこのリーグで、あの子の帰りを待ち続けるわ」





「出会いですか…私と彼女の出会った場所は図書館です。私が読書をしている中、彼女がやってきたのです。盲目の彼女がまさか図書館に来るなんて想像もつかなくてびっくりしました。彼女が連れ添うポケモン達は興味津々と見ていても、彼女は見れない。そんな姿を見て話し掛けたのが出会いでもあり、キッカケなんですよ。今となれば、私にとって彼女は目標とする存在でもあり、小さな子に本を読ませてあげる様な…妹、みたいなものでしょうか?彼女は聡明で博識です。本以上に色々と知っていたのですから。バトルも勿論強くて、今も一度も勝つ事が出来ないのですから。彼女がホウエンに行った一年間、図書館が寂しく思えましたよ。賛成した自分が何を言っているのだか。…彼女は今、行方を眩ませてしまった。シロナさんや私達の約束を守る為にシンオウに帰還しようとした時に。彼女は有名になった事で狙われる確率が高くなっています。きっと今回の件も…。ですが信憑性がない考えです。今の私は無力です。彼女の帰りを、待つ事しか出来ませんから…」





「俺とアイツとデンジの三人でよくナギサを徘徊していたなぁ〜。出会いはデンジの紹介、関係は三人でマブダチってやつだ。アイツは見た目によらず面白い奴だぜ?つーか…いい加減俺の名前をオーバーからオーバに直してくんねーかな?聞いてくれよ俺の名前、「ブーバーみたいで格好いいですね」って言われたんだけどよぉ、どう思う?微妙だろ?アイツ頭良くて皆から博識だとか聡明だとか言われてんが、まぁそれには俺も賛同なんだけど…なんつーか、観点がたまにズレているんだよな。面白いからいいけどよ。で、次の質問は?――あぁ、行方不明の件か。まさかだよな…アイツが行方不明とか、きっとアイツに何かあったんだと思っている。それにアイツ、放浪癖があるからな…もしかしたらフラッとどっかにいるかもしれない。約束はどうにしても俺はアイツが無事でいてくりゃそれでいい。もしアイツが帰って来たら、今度は俺の弟紹介してやって、また三人でナギサを回るんだ。あの時の様にな」





「彼女は不思議な力を持っている。その力に惹かれてポケモンは彼女に攻撃する所か寄り添っている姿は何度見ても驚きを隠せない。私と彼女の出会いかい?こうてつじまで修業していたら彼女もこうてつじまに来ていてね、彼女はポケモンに囲まれてピクニックをしていたよ。あの光景は今でも忘れられない…一時だけれど一緒に旅をした事があってね、彼女は…見た目によらず放浪癖があるというかお茶目みたいな…お陰様でよく振り回されていた。今では良い思い出だ。…関係?関係か…一緒に旅をした仲、と言っておこう。彼女はトレーナーとしてコーディネーターとして、凄い実力の持ち主だ。勿論、女性としても。彼女は良い子だった。それはきっと、誰もが知っている事だろう。……彼女は力を持っている。それがナニかは言わないが、その力を狙った奴等が彼女を――…私はきっと、彼女に何かが起きたのではないかと思っている。いくらあのポケモン達がいても…しかし彼女は生きている。波動は感じられなくても何処かできっと、生きている。共に過ごした期間は短いが、彼女は簡単には死なないと思っている。……そう、信じている」





「本当は私とあの子はライバルなんかじゃなくて私の一方的な思いなのよね、実は。あら、びっくりした?だって私、あの子と会った時からあの子に勝った試しがないもの。つまりあの子が私の背を追っているんじゃなくて、私があの子の背を追っかけているのよ。あら、今でもそうよ?あくまで私はあの子の隣りに立つ為であって、別に全てに勝ちたいだなんて思っていないんだから。で、何でしたっけ?関係?私達の関係ならもう知っているでしょ?…あの子の裏の顔?そうね…見た目才色兼備で完璧で掴み所がないと思われているけど、実はあの子中身結構マイペースで…アレは多分よかれと思っての行動かと思うのだけど…あまりにも突拍子過ぎたりいきなりフラッと消えたりね。つまりは見た目は大人でも中身はちゃっかり歳相応なのよ。でもやっぱり雰囲気が大人だからたまに歳忘れちゃうのよね。あの子の事語ると結構長くなるわよ?スリーサイズも教えてあげても良いわよ!…フフッ、冗談よ冗談。で、最後の質問って?――…今回の行方不明の件ね…。私はあの子が生きていると信じているわ。だってあの子はバトルも強ければ武道も強いし知恵もある。そんな子が野たれ死ぬなんて有り得ないわ。それに…あの子はまだ約束を果たしていない。だからきっとあの子は帰って来てくれる。私はあの子を捜すわよ――…喩えチャンピオンの座を降りるはめになってでも……―――――」














カチャッ…








そこでカセットテープは終わった






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