雑誌で見て、テレビで見て、トウガンさんに聞いた話より彼女は茶目っ気があって話せば冗談も通じる面白い子だった

彼女は強かった。バトルをさせてもらったが、全然刃もたたなかった。色違いのルカリオと私のルカリオと戦わせて分かったが、彼女の戦いはまるで手の内をひっくり返されてしまう戦いに、攻撃の指示を必要としないで戦う事と――まるで来る攻撃が分かり切った戦い方をしていた。これはテレビで見るバトルより実際にバトルした者達でしか気付けない

圧倒的な実力と経験の差で私は負けてしまった。しかし特別悔やむ事なくすんなりと負けを受け入れ、また彼女とバトルをしたいと思えたのだ。これは、そう、彼女を虜にさせる内の一つなのだろう。だからこそ、彼女のライバルであるシロナという女性が彼女と競い合いを繰り返しているんだ








《ゲン様、》

「ルカリオ、お前も気付いたか」

《はい。彼女…波動を秘めています》








一目見て分かった

彼女には、不思議な"何か"がある

ルカリオは波動ポケモンと言って、自分の波動を使って千里の先をキャッチする事が可能な種族だ。勿論私のルカリオもそれが可能で、波動を使ってこうして私と会話が可能にしている。私も波動という力を使える関係、ルカリオと意思の疏通を可能とし千里の先をキャッチする事も出来れば波動を放出し相手を攻撃出来たりもする。――…何故、自分がこの力を持っているのかは分からない。きっとルカリオをパートナーにした時に影響からそうなったのだろう

だからこそ、分かったのだ

水色のスイクンと紅色のセレビィは伝説や幻だからもあるがやはり強い力を持ち(後々ポケモン博士の講座を聞いて驚いた)、緑色のミュウツーもそうだ。彼らは強い力を持っている。なら彼女の"何か"は彼らの影響なのではないのかと思ったが、違った

彼女の影響で、彼らは他の彼女の手持ちと比べて強く、そして輝かしかったのだから










「貴方も随分突拍子の無い事を言ってきますね。私と旅がしたいだなんて」










ピクニックを終わらせ、そろそろ帰る時間帯になった茜色の空

優雅な動作でスイクンの背に乗り私に別れの挨拶を言おうとした彼女を遮って私は言った。「君と一緒に旅がしたい」と。初対面で、バトルした相手だけな男が何を言うんだ、と思うかもしれない(今考えれば自分何を言っているんだ…)。けれど私は彼女の"何か"を知りたかった。彼女の、内なる何かを








「けして取って食べる訳じゃない。ただ純粋に、君と一緒に旅をしてみたいと思ったんだ」

「本当に、純粋に?」

「……と、言うと?」

「私には視えます。貴方が…私の内なる何かに気付き、それを知りたいと思っているのを」

「やはり君は…噂通りの子だ。敵に回したくない」

「フフッ。貴方も不思議な力を使えるみたいですが、その力は…そちらのルカリオと同じ力ですね。貴方は波動使い、という所でしょうか」

「…――まさかそこまで見破られていたとは思わなかった。あぁ、そうだ。私は波動使いのゲン。何故、自分が波動が使えるのかは分からないが…お蔭で君の内なる何かに気付けた」

「力を持つ者には、何かしらの理由があるのですよ、波動使いのゲンさん。きっと貴方にも何か因果があっての力でしょう」

「なら一週間、その因果や君の内なる何かを見つけ出せる期間を私に与えて欲しい。君も忙しの身だ…良いだろうか?」

「…旅は道連れといいますからね、勿論構いませんよ。皆も、良いよね?」

「キュー」
「…」
「……」

「ありがとう。改めて私はゲン。こっちはルカリオ」

《よろしくお願いします》

「こちらこそ。知っているかと思いますが私の名前は"  "。よろしくお願いします。この子達は…――」









それから私達は一週間、共に生活をする事となる

彼女は盲目もあるから少しでも彼女の手となれたらと手伝いをさせてもらったりした。本当に彼女は凄い。盲目な中、まるで普通に生活しているかの様に動作に違和感が無く、むしろ優雅とも取れるのだから

日常的な彼女は、やっぱり何処の人間と同じで彼女も今時の女の子。甘い物が大好きで小さな子から貰ったチョコレートを美味しく食べていたり、好き嫌いはハッキリしていたりなんだかんやで子どもっぽい所があって不思議と安心した覚えがある。そして分かった事がある。彼女は放浪癖があるという事を。彼女は普通だと思っているのだろうけど、こっちからしてみれば目を離せば彼女の姿が消えて、慌てて捜せば野生のパチリスの頭を撫でていたり。正直捜すの大変だったし心臓に悪い。もう一つ分かったのは彼女はマイペースだという事。外に出る顔はしっかりしていて、立派な人間としているがやっぱり内の顔になるとのんびりとした、どうにかなるさなマイペースを撒き散らしていたりと…意外だと思うが、彼女らしい性格だった

むしろ彼女も人間だと再認識出来て、雑誌に高く評価されている文書を見てつい笑ってしまった











「"  "…今度は一体何をしているんだい…?」

「あ、ゲン!見て見て、さっきこの子がちかつうろで面白いの見つけちゃったの!」

「……」

「いや、だからって…勝手にフラフラ消えないでくれよ。捜すこっちの身になって欲しいよ」

「後こんなのも見つけたよ」

「これ…眼鏡?」

「落ちていたんだ。髭眼鏡にしてあげようよこれ!」

「止めてあげようか」













力の"何か"を探す所じゃなかった

フラッと消えた彼女を捜して、突拍子の無い行動に制止をかけたり、やっぱりフラッと消えた彼女を捜したりと…今振り返ると自分本当に頑張ったと自画自賛したい気分だ










「あ、ゲンさん!」

「ゲン、久し振りだな元気にしているか?…何だか忙しそうだな。何かあったのか?」

「トウガンさん、ヒョウタ君……ここら辺に"  "を見なかったかい?」

「"  "って…もしかしてあの"  "さんの事ですか?ゲンさん…もしかしてストーカーなんてして」

「ないからね。今彼女と一緒に行動していて………また目を離した瞬間にフラッと消えてしまってね……」

「ゲン…お前、哀愁漂っているぞ…」









ミオシティに住む、私の知り合いでもありミオシティのジムリーダーのトウガンさんとその息子のヒョウタ君に(その後)紹介をしてあげるはめになってしまい、挙句の果てにはトウガンさんに妙な勘違いをさせてしまったり…今では良い思い出だと思っている

しまいには手のかかる妹を持つ兄みたいだと言われてしまった。心中複雑だった←








「ゲンお兄ちゃん」

「(ブファッ!!!!!!!!!)」

「ギャッ!?今何か吹き飛んだ!?タオルタオル…」

「ゴホッ、ゲホッ…ちょ、"  "…一体その言葉を誰に吹き込まれたんだい…!?」

「いやぁ、トウガンさんが兄妹みたいだって言っていたから…つい言ってみたんだけど…うーん、どうやら駄目みたいでしたね〜」

「キュー」

「(ト ウ ガ ン さ ん !)」












そして、一週間が過ぎていった







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