――ねぇ、約束しましょうよ

――約束?

――そう、約束よ。あなたがこっちに戻って来る約束。私はこっちで頑張るから、あなたがあっちで頑張る約束。再会したら、またバトルをする約束よ

――フフッ、約束が三つあるじゃないの。守る方も大変だよ?

――いいのよ。それくらいの約束しないと私の気が済まないんだからね!絶対の絶対の絶対の、約束よ。いいね?

――しょうがない、大切な親友の願いだからね。分かった、ちゃんと戻って来るしあっちでも頑張って、戻って来たらバトルをしよう

――えぇ、絶対よ。それじゃ、指切りしましょう?










覚えていますか、


あの時交わした、約束を




――――――――
――――――
――――
――









(ねぇ、あなたは覚えている?)

(私達、よく馬鹿みたいにバトルしたわよね)







広く立派なバトルフィールド

バトルフィールドを囲む、観客達



観客から沸き起こる声援がこのドームに響く。スポットライトに当てられたその一角に向かって、観客は叫ぶ、祈る、見つめる、戦慄する。様々な観客の顔、仕草、声。声は響き、反響する。人々は戦慄する、目の前のバトルフィールドに。息を呑み、声を上げ、全員がそのバトルに釘付ける






(ねぇ、覚えている?)


(あの時の、バトルを)








観客が息を呑み、息を潜め、注目をするそのバトルフィールド

猛々しいガブリアスと、優雅なスイクン



彼らは駆け、飛び、踊り、

自身の力を駆使し、戦う



ガブリアスが腕を振り上げれば威圧が風を起こし刃となり

スイクンが咆哮を上げれば強大な吹雪きが押し寄せる







(あの時のバトルは楽しかったわ)

(だって、あなたも本気になって私にぶつけてくれたのだから)








フィールドは、ガブリアスの力で抉れ

フィールドは、スイクンの放つ力で結晶が出来上がる



スイクンの氷でそのフィールドを取り巻く気温は冷たく、息が白くなる程まで氷点下近く下がっていたが

戦場を駆ける彼らは――熱かった









(私、本気であなたにぶつかったわ)

(あなたを、超えたかったから)

(あなたの隣りに、立ちたかったから)









ガブリアスとスイクンに指示を出す人影が、二つ

一つは黄金に輝く金の髪を靡かせ、漆黒のコートを身に纏い眼前のバトルを冷静に、けれどその淡い金の瞳に浮かぶのは燃え上がる炎を秘める、一人の女性

彼女は、ガブリアスの主



二つは闇より深い漆黒の長い髪がスポットライトでより一層に艶やかに靡かせ、身に纏うのは鮮やかなオレンジのコート。肩には紅色のセレビィを、隣りには緑色のミュウツーを従わせ、その誰もが魅了する美しい顔を、光が入らない瞳をフィールドに向ける、一人の少女

彼女は、スイクンの主









(少女に見えるし、女性とも見えるあなたは、いつも私の前にいた)

(細くて儚くて脆い背中が、いつも大きく見えていた)














「ガブリアス、ギガインパクト!」

「避けなさい。それから軌道を駆使してれいとうビーム」

「りゅうのいぶきで相殺するのよ!もう一度ギガインパクト!」




「ギシャァアッ!」

「…!」















大きな爆発音、大きな爆風


視界を遮る煙、視界を覆う吹雪



誰もが釘付くこのバトル


長期戦で、激しい戦いだった―――チャンピオンバトル








――――ドッガァアアンッ!!







最後の爆発音が響き渡り、一匹のポケモンが地に伏した





そのポケモンは――











(本当に、楽しかったわ)

(チャンピオンバトルで、あなたとバトルした、あの時を)


(あなたと最後にした、バトルを)











「ガブリアス、戦闘不能!スイクンの勝ち!






よって、このチャンピオンバトルの勝者は――"  "選手の勝利です!」











(あの時のバトル、忘れてないわ)

(勿論、あなたと過ごした日々も忘れていない)





(でも、)

(忘れていないのに)












「完敗よ、結局あなたに勝つ事が出来なかったわ。でも楽しかったわ、このバトル






――ありがとう、"  "」












(どうして、何故、何で)

(分かっているのに、知っているのに)








「こちらこそ、楽しいバトルをありがとう―――シロナ」










(あなたの名前が――聞こえないの?)












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