記憶に写っている君はとても美しく立派な人で、気付けばいつも君の事を考えていた 君は僕に沢山の事を教えてくれた尊敬する人であり、友であり、愛する人 君の背中を追い求めていた でも、何でだろう 霧がかかっている様に、君の顔が…見えない ―――――――― ―――――― ―――― ―― 「―――……君に、失礼な事を聞くかもしれないけど…」 「ん?なぁに?」 「どうして君は、目が見えなくなったんだ?」 「……、どうしてそう思うの?」 「元々目が見えない人は、色が分からないんだよ。握手する時なんて一般の人なら手と手で握手をするけど、盲目の人は相手の頬に手を添えるんだ。君の場合、しっかりと握手をしてくるし――僕の髪の色や瞳の色、回りの人達の色も分かっているみたいだし…それに、字もちゃんと書けている。元々盲目の人が出来る技じゃないよ」 「あらあら、そこまで見抜いていたんだね。――そうだよ、私はある事から視力が下がって…盲目になってしまったの。ダイゴの言う通り、元々盲目じゃないんだ。だから私は字も書けるし色も分かるし景色の形も分かるんだ。握手する時も真っ先に手が出たしね」 「…恐くはないのか?いつもは見えるはずだった世界が、見えなくなってしまうのを」 「…えぇ、恐いよ。当たり前に見えていた視界が暗闇に落ちて、視界から得ていた情報が途絶えてしまった。…人間の情報は耳よりも目だからさ。恐いよ、辛いよ、苦しいよ。始めなんて軽く絶望もしたし」 「…………ごめん、失礼な質問が君を苦しめてしまった…」 「いいんだよ、それは誰だって思う事なんだから でもね、ダイゴ―――……」 『―――ゴ、ダイゴ!』 「!!……あ、ごめんミクリ。頭の中トリップしてた」 『…重要な話の最中に君の頭はトリップしてしまうのか』 「あはは、ごめんごめん」 『全く…』 久々に懐かしい記憶が頭に流れた 「で、何だっけ?」 『結局聞いてないじゃないか!』 「あはは、頭トリップしちゃったからね。ごめんごめん」 『君の頭がトリップするのは石を目の前にした時ぐらいでしょうが』 「あー、まぁ…あはは」 『…はぁ、先程私が話していた内容は近々行われるリーグ集会の資料内容だ。全く…そんなに頭トリップしていると…――彼女に叱られてしまうよ、ダイゴ』 「――――…そうだね」 コートを靡かせて 漆黒の髪を靡かせて 記憶にある彼女は、綺麗に微笑む しかし、霧がかかって見えない君の顔 『君が頭トリップさせる原因は何となく想像出来るよ』 「…久し振りに、彼女と会話していた自分を思い出してね」 『へぇ、そうなのかい?』 「……本当に、久し振りだよ」 「私が見なくても、この子達が見てくれている。私が感じなくても、この子達が感じてくれている。私の目が見えなかったら、心の目で見れば良い。この子達が居れば、見えない恐怖に囚われなくても良い ――ね?だから全然平気なんだ」 「思い出した記憶に、改めて彼女は強いと実感したよ。強くて、儚くて…盲目の恐さを覆す強さを、持っている」 「それにさ、ダイゴもいるんだもん。ダイゴが見た景色を、私が見えない限り教えてくれるって信じている」 「――勿論、僕で良かったら色んな物を見て聞いて感じて…君が見れない分、しっかりと教えてあげるからね」 「うん、ダイゴ…ありがとう」 振り返ろう、あの頃の記憶 → |