「いや、あのな?俺が聞きたいのはそこじゃなく、」

「ゼルの弟さんとは伺っていましたが、瞳の色が違うだけでそっくりですね…いや本当これイケメンじゃん顔面宝具じゃん……………イケメン達が隣同士に立つと…脳がバグりますねぇ……ほぁー顔面宝具。世の女性を殺す気です?」

「いや殺せねーよ落ち着け」

「ゴウキとサラツキ博士は見た目こそ似てはいませんが…瞳がそっくりです。お話しただけでも雰囲気が似ているなぁとは思っていましたが…なるほど…レンガルスさんがテライケメンならお二人はテラハンサムってやつですね?」

「……その言葉を言われたのは初めてだ」

「テラッ…………褒めてくれるのは純粋に嬉しいが求めている答えとかけ離れている気が……」

「なるほどこれが眼福。全員揃って眼福の極み。みんなが眩しくておねーさん眼がァァァッってなっちゃう…そもそもイケメンの比率高過ぎない?そう思いません皆さん?」

「わ か り ま す と も」
「そのお気持ちよーく分かります」
「イケメンと美女は心の潤滑剤です」
「お金を払いたいくらいの完成度。自分達が溶けます」

「それねー」

『はいはい!私達は!?』

『僕達も忘れちゃ困るよ!』

『いや私はいいかな…』

「あらま。モニターにも素敵なイケメン達が。……金髪イケメンお二人と強めなダンディな方が一人。色んなイケメンが大渋滞している……ここはホストか?」






レン達の尋問モードから、ミリのターンへ

真剣で重苦しい空気だった空間がミリの一言で緊張が抜け、完全に場の主導権を奪われた。まさか予想外過ぎる言葉を言ってくるとは思わなかった三人はある意味で調子を崩され、どんな顔をすればいいか分からないといった表情を浮かべるしかなく

ミリの口は止まらない






「闇夜ちゃんもっと全体を見渡して……ふむふむ。これはこれは…………ダイゴとデンジとマツバさんとミナキさんが正統派なイケメン枠、ゴヨウとサラツキ博士が知的なイケメン枠、ゲンとゴヨウがミステリアスなイケメン枠、ゴウキがワイルドなハンサム枠でオーバーがコミカルなイケメン枠…」

「「『『正統派…』』」」
「「知的…」」
「「ミステリアス…」」
「ワイルド…」
「コミカル………いや俺それ素直に喜べねーんだが!?」

「そしてゼルとレンガルスさんが万能イケメン枠とみた。顔面600族は伊達じゃない」

「「「(万能イケメン枠って何)」」」」
「「「(顔面600族って何)」」」

「アスランさんは正統派だけど紳士的イケメン枠、コウダイさんはワイルドハンサム枠、ジンさんはミステリアスイケメン枠なのは間違ないですね。リーグ協会の人達はイケメン達が自然と集まる場所なんですかね?」

「おや、嬉しい事を言ってくれるね」
「ふむ」
「私もまだまだ頑張れそうですね」

「これは…ヤバいやつ…世界がひっくり返る…。そもそもこんなにイケメンがたくさんいたら……






皆さんご職業はアイドルですか?もしくは芸能人?歌って踊れて演じれちゃう感じです?」

「「「「ないないないない」」」」
「「「まてまてまてまて」」」

「イメージカラーは?教えてくれたらペンライト買いますぶんぶん振ります。皆のファン第一号になるのはこの私。皆を平等に推す…推す事を…えーっと…?」

「箱推し、でございますミリ様」

「そうそう箱推し。最近はこんな言葉があるんだね〜。皆を箱推しする予定だから、グッズのコンプリートは任せて!」

「「「「やめろやめろやめろ」」」」








止まらない止まらない

ミリの口が止まらない

心夢眼という縛りがあるとはいえ、実際にイケメンをこの眼に見れているミリのテンションがどこか高くなっている。後ろではお世話係り四人が無表情ながら拳を握って頷いているから、尚更ミリが拍車をかけていく

自分の容姿を皮肉も悪意もなく純粋に褒めてくれるミリの讃辞の言葉。名指しされた者達は「何言ってんだ」という表情を浮かべるが、照れくさそうに各々反応を示しているから結局単純な男達である

ちなみにシロナは一人マナーモードで大爆笑中である。草不可避なのはこの事だ






「ちなみにゼルジース君は?眼は見えなくてもここ一週間近く共に行動していたのなら…顔を見た今、また違って見えるんじゃないかい?」

「(おいアスランお前はまた余計な口出しを…!)」
「(楽しそうですねアスランさん…)」

「ゼルは自覚のあるイケメン。多分顔面宝具常時発動。世の女性の心に急所に一発、一撃必殺、必殺仕事人」

「「「「(いや何言ってんだ)」」」」

「眼が視えてなかったから致命傷は避けれたよ……これだから顔面600族は……」

「ミリ様のお心を射止める為なら、俺はその顔面宝具とやらを止めるつもりはありませんが?」

「「「何言ってんだお前(真顔」」」

「ン゛ンッ!ゼル!しっ!……そんなことよりも、おねーさんとしたらゼルが心配で心配で…いつか悪い女の人に捕まってしまわないか心配で心配で……ガイル、貴方もそう思わない?」

「そうですね。こうみえて一途な方なので、その相手が悪女だった場合は少々厄介になりそうです」

「おい」

「「「(結構言うなこの執事…)」」」

「うんうん、やっぱりね。危ない女性に捕まらない為に…ゼルには少しばかり大人しくしてもらわないとね、特に私に」

「……ミリ様?」

「ヒョェ」

「まぁ狙った獲物は逃がさない執念をお持ちなので…………狙われた方はさぞご愁傷様としか(チラッ」

「くしゅん!……ごめん、聞いてなかったかも。もう一度言ってくれる?」

「「「「(無言で爆笑)」」」」

「…ガイル…テメェら………覚えておけよ……!それとミリ様、帰ったらお話があります。逃げないように」

「エッッッ」






自覚のあるイケメン、と罵倒に近い褒め言葉に対してゼルは何処吹く風である。レンとは違い本当に自分の容姿に自覚はあるみたいで、ミリの褒め言葉に特に謙遜する様子も無く、むしろ逆手にとってミリを口説こうとしている。思わず全員の、特にレンの中に宇宙が広がった。だめだこいつなんとかしないと

挙げ句に思わぬところでゼルの一面を知る事になった全員は「一途…プッ」「だとは思っていた」「拗らせてそう」と逆に納得をしていた。しかもゼルの意中の相手は確実にミリであるから笑えない話である

しかしそこは我等のミリ。ゼルの好意を気付いているのかいないのか、彼の事を心配するおねーさん視点でモノを言っているのでゼルの好意は空振っているのは間違いない。予想通りの結果で大変宜しい。始めから通用していたら自分達も可能性は無限大だしポッと出の野郎はお呼びではないのだよおとといきやがれ、である

突入メンバー組の一部はそれはそれはマナーモードで大爆笑し、また一部は哀れな眼でゼルを見つめていた

相変わらずミリは止まらない






「ちょっとシロナちゃん…いつの間にこんなイケメンに囲まれていたの?ただでさえダイゴ達はイケメンなんだよ?イケメンにイケメン足したらそれはもはやイケメンパラダイスだよ?そんなイケメンパラダイスにいるシロナちゃん…この六年で罪な女になっちゃってまぁ………おねーさんびっくりだよ。小悪魔ちゃんめ」

「やだちょっと矛先こっちにきちゃったじゃないの!」

「んふふこういうのハーレムって言うんだよね〜あ、この場合は逆ハーレムってやつかな?いやぁシロナちゃんの美貌は世界一でおねーさん嬉しいなぁ」

「ミリ様、実際にシロナ様の美貌は地方チャンピオンの中で特に有名で御座います。あのカロス地方チャンピオン、カルネ様と引けを取らないくらいに美しい女性チャンピオンとも名高いです」

「!…ふむふむ。カルネさんって誰だか分からないけどそれは後々会うにしても…んもーやっぱり私の眼に狂いはなかった!」

「あらやだちょっとこの子ったら。純粋に褒めてくれるのは嬉しいけれどあなたも十分過ぎるくらい美人なの分かっているのかしら?」

「この六年間のシロナちゃんの美貌……成長……あのかわいいかわいいシロナちゃんの成長記録を………ねえ誰か本部に記録とか残ってません?写真だけでも構わないから…!」

「聞いて?ねえミリ聞いて?あなた本当にそういうところよ??自分の事少しは気にしなさい??」

「本部に戻り次第至急用意致します」

「やったっ。シロナちゃんのあんな姿やこんな姿をこの眼で見るまでは絶対に諦めないよ!」

「ちょっとミリあなた少しお口チャックしてなさいほらクッキーよ食べなさい!」

「むぐっ」








『………逆ハーレムはミリ君の事を言うんじゃないかい?』

『しっ!カツラさんしっ!』

『いやしかしどう見ても逆ハーレム……男女問わず侍らせそうなのはシロナ君よりミリ君なのでは?』

『その話だと僕達ミリちゃんに侍っている事になるんだけど……なんだろう……否定が出来ない自分がいる……』






立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿はなんとやら。高嶺の華とも称される、そんな諺が一番似合うのはこの世で彼女だけだろう

その立ち振る舞いからも人を惹きつけ、関わった者達の心を男女問わず魅了させる。かつて六年前のチャンピオン時は世間に「美女」「女神」「聖女」「天女」「傾国美女」「美の化身」と称され、さらに現代ではそれらの言葉にプラスして「初恋泥棒」「顔面偏差値カンスト」「顔面600族」「顔面国宝」と、さらさらレンとゼルの事を言えない人タラシっぷり。お前はどれだけ属性を増やしたいんだと関わった者達は全員ツッコミたいところだが、本人は知らぬ存ぜぬ。残念ながら耳にも入らない


自分の実力を誇示せず驕らず、自分自身を飾る事なく人を平等に評価し、尊敬する姿勢。そんな彼女の回りに必ず人が集まっていくのは、必然と言っていいだろう


少なくてもミリの事をずっと一途に想い、こうしてこの場に集まっているメンツを見れば―――もはや言葉は要らない









それはさておき、だ



脱線していた話を戻そう






「……俺の顔を見て、何か思う事は?」

「顔面国宝もしくは顔面600族…としか」

「違うそうじゃない。
…誤魔化すのもそこまでにしろ、ミリ。俺にはお前のソレは逃げにしか見えねーよ」

「………」

「もっと闇夜の眼でしっかり俺達を見るんだ」

「神経を使うのは重々承知…申し訳ないがもう少しお願いしたい」

「………本当にしつこい人達。そんなしつこい男性は…嫌われてしまいますよ?」

「(グサッ)」
「(グッ)」
「(うっっ)」

「「あーあ」」
『言われちゃったね』
『ミリ姫に言われるのが一番キツいだろうな』
「ざまぁ」

「ミリ様、俺はしつこくありませんのでご安心下さいね?」

「「何を言っているんだお前は」」

「お前さっきから何なんだよこっちの問題に一々口出してくんな」

「ハッ、ミリ様に図星を言われて何も言い返せねーくせに。このままミリ様に無礼な物言いをするのならこの俺が黙っていない。ククッ……しつこい男は、嫌われるぜ?」

「ぬかせ。お前も人の事が言えないくせに何他人行儀にモノ言ってんだ。その内お前もボロが出てミリにドン引かれるだろうぜ?」

「負け惜しみか?ハッ、痛くも痒くもねーな」

「なんだとゴルァ…」

「やんのかゴルァ…」



「――――………、あ」







レンとゼルの言い合いが始まろうとする前に


ミリは何かに気付いたらしく、ポツリと声を上げた







「私…少し分かりました」

「―――!、本当か?」

「はい。レンガルスさん…そしてゼル。貴方達…






――――アルフォンスさんに似ていますね!」

「「ッ!」」

「「「「「!!」」」」」















×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -