「さて、そうと決まればやる事は一つです。ミリ様、少しお時間を頂戴しても?」

「?うん、それは構わないけど……何をするの?」

「すぐにでも分かります(スッ…」




パチン(指パッチン




「「「「失礼致します」」」」

「Σ!?……?…あれ、皆さん?勤務時間終わって帰ったのでは…?」

「いえミリ様、私達の仕事はあれで終わりではありません(ニッコリ」

「むしろ今から行う事が今日の目玉(ガン見」

「さぁ、ミリ様どうぞこちらに(ハァハァ」

「楽しい楽しい、採寸のお時間ですよ〜(ゴゴゴゴ…」




ニコニコニコニコ…




「ゼルとはまた違った身の危険を感じているんだけど逃げてもいいかな…!?」

「全く…お前達!ミリ様が怯えられている。少しは落ち着け」

「ゼルくん…!」

「絹を触る様に優しく採寸し、あますとこなく全て調べて差し上げろ。それが終わったら作製に入る。デザインの考案は俺がやっておいたから後でガイルが持って行く。工場の手配は出来ている―――後は、分かるな?」

「「「「承知致しました。最良の結果を、総監へ」」」」

「うそーん!!」







たすけ(ここで声は途切れている



―――――――
―――――
――









あれからさらに数日が経ち、

ついに、"今日"を迎えた






『遂に今日になったんだね…』

『早いよな…』

「だよなぁ」

「長かった……」

「そうだな…」






モニター越しではマツバとミナキが

そしてオーバとデンジとゲンがしみじみと各々反応を示す




ここはリーグ協会シンオウ支部の中にある、大堂の中

主にここの講堂はシンオウ支部全体の会議に使われる会場で、大人数が入っても余裕があるくらいの広さがある。講堂の正面にはサイズ様々なモニターが設置されており、それに伴いモニターを繋ぐ機械の数も多い。普段使う会議とは一辺してかなり手の込んだ仕様になっている

それだけこの会議が彼等にとって、どれだけ重要かというのがよく分かる光景だろう






『時がたつのは早いというか、今までお疲れ様だったね』

「色々と手伝って頂きありがとう御座います、カツラさん」

「感謝でしかありません」

「貴方達のお力添えが無ければ、我々はこうして立つ事は叶わなかったでしょう」

『特別私は何もしていない。私は資料を提供しただけで、全て君達が頑張った結果だよ。そっちにはナズナもいるしね』

「いえ、それでも私達は救われたのは事実。謙遜なさらないで」

『ハハッ、そうか。なら遠慮無く……力になれた様で、よかったよ』





メインモニターの前には、ダイゴとシロナとゴヨウの姿。対するモニターに映るのはカツラの姿が

彼等は今日が来るまで、お互いに励ましあいながらここまで来る事が出来た。数ヵ月前まではミリを巡る対立をしていた間柄だったのに、やはりお互い目標が一致すると仲良くなれるものなのだろう

今回の会議、はっきり言ってカツラ達の力添えが無ければここまで完璧に、ミリが満足する領域まで完成する事はできなかったのは間違ない。カツラとナズナが纏めた資料を受け取ったダイゴは、改めて二人の能力の高さに舌を巻く事になる。以前サバイバルエリアの勝負所で聞いた時ですら解りやすく纏められた内容に感心する気持ちだったが(しかし内容が内容なだけにその気持ちは彼方へと消えていた)、改めて原本の書類を見て、ダイゴはマジで彼等の秀才さと優秀さに圧巻し、彼等が味方でいてくれてよかった…、とそう思っていた。味方になるとこんなにも頼もしい

そりゃロケット団首領が彼等を自分の配下に置きたくもなる。今ならサカキの気持ちがよく分かる。自分の会社の社員だったらそれはもう出世街道まっしぐらで、きっとダイゴという副社長と仕事が出来るくらいの地位に上っていけそうだ

シロナも二人の優秀っぷりには舌を巻き巻きし、特にナズナには「ナズナさんがツバキ博士と同じ考古学になってくれてよかったわ…ロケット団に入ってて万が一捕まっていたとしたら……あの才能を埋もれさせてたと思うと恐ろしいわ…総監が目を瞑るのも納得よ……」と戦慄していた。ゴヨウも「ツバキ博士の活躍っぷりは有名でしたが、まさか親子兄弟揃ってここまで優秀とは……引き合わせてくれたミリさんには感謝しかないですね」とゴヨウも静かに頷いていた






「これが終わって色々と落ち着いたらよ、皆で呑みに行きたいぜ」

『お!いいなそれ!機会があったらそっちに行くのもよしだし、そちらが来てもらうのもよしだ!こっちのジョウトき来てくれたら是非とも案内しよう!』

「ならそちらがこちらに来てくれた暁にはシンオウを案内しよう。こちらもおススメな観光名所はたくさんあるからな」

「その時はバトルしようぜ。特にマツバ、お前とは初めて対面した時からバトルをしてみたかった。お互いにジムリーダーだ、良いバトルは望めるはずだぜ?」

『それは嬉しいお誘いだ。その時はよろしく頼むよ。僕はこうみえて、強いよ?』

「ハハッ!尚更、お前とは熱いバトルが出来そうだ」

「おいデンジ抜け駆けかよ!マツバ、俺とも熱いバトルをしような!」

『あぁ!楽しみだよ』

『私は?私とのバトルは?誘いが来ていないが。おーい?』

「ハハッ、ジムリーダーではないが私でよければ相手をしよう。私の腕前も中々だと自負している」

『おぉゲンさん!よろしく頼む!私もこうみえてバトルは好きなんだ。お互い良いバトルをしよう!』






こちらはこちらで楽しく会話の華を咲かせていた



顔を合わせたのはサバイバルエリアが最後で、今までお互いに音沙汰が無かった。しかしいざ改めてモニターを繋げ会話をしていく事で、ミリを通じて話題が増えていき、年齢が近いもしくは同年代というのもあって自然と仲の良い関係へと至った。元々コミュニケーション能力の高いメンツが大半だったからこそ叶った仲でもあった

いつしかマツバが『記憶の無くなる前のミリちゃんが…今こうして仲良くしている僕達を見たらどうなっていただろうね』という何気ない疑問を投げた事があった。きっと驚くだろうね、と笑いながら

その後の展開なんて想像に容易く、「嬉しそうに喜ぶ、に一票!」『はしゃぐに一票!』「テンション上げるに一票」『なんでやねん!ってツッコむのに一票』「どういうことだってばよ、とコスモが広がるに一票」と好きに盛り上がり、やはり最後は「いつも通りあらーって笑うに一票」のレンの一言で「「『『それだ』』」」で締める事になり、ラストは「お前達寝ろ」とオーバとデンジはゴウキに背中パァンッ!を食らった。容赦が無かったし痛過ぎて目が覚めた。モニター内で爆笑する二人と鼻で笑うレンに中指立てたのも記憶に新しい

しかしこういう何気ない会話が彼等の仲をぐっと近付けたのは間違ないだろう




楽しげに笑う彼等の声にカツラも釣られて笑う。若い子の元気な声は自分も負けてられない気持ちにさせてくれる

補足して言うとカツラとマツバとミナキは同じモニターにいるのではなく、モニターの試運転の為に二人は別の部屋にいてもらっている。この様子なら問題ないだろう






『さて、ミリ君の到着時間はあと1時間………私は資料の確認でもしていよう。時間になってミリ君が来たら連絡を入れてほしい。すぐにでも参加しよう』

「はい、分かりました」

「今日はよろしくお願いします」

「また連絡します」

『ではまた後で』






ピッ――――






「さて、と………」









カツラは別のモニターを操作し、電話を掛けた







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