あの日からの一週間



私はレンと決別する勢いでマサラに帰って来た。このままジョウトに行っても良かったけど、それだとレンに見つかる可能性が高かった。きっとレンの事だから、目が覚めたら私がいなくて何故タライがあるんだよ頭いてーよこのやろう、とかなんとかいっていろんな意味で怒る事は間違ない

私はレンと会わない事を決めた

一緒に旅なんかすると、私の身勝手な行動にまた振り回してしまう事になりかねない(自覚はあるよ)。レンと一緒にいるのは楽しいし面白いし、むしろずっと一緒にいても構わない貴重な存在でもあった。それは私が唯一認めているという証。しかし、同時に動きにくかった。元々独り身に慣れていたし、このメンバーだと色々融通が利く。多分、推測でしかないけど本当にレンは私と旅をしようとしていたと思う。しかし、それは私が今後の鍵を握るから、ついて行けば何かが分かる。…とでも考えているに違いない。そもそもナズナさんの事は私一人で調べる気満々だった。レンは、何も知らなくていい。もちろん、緑色のミュウツーの刹那の事も

巻き込んでは、いけない

直感でそう感じた。それに…夢に出て来た人(あれ以来夢は見ていない)(顔はもちろん忘れた)と関係もあるかもしれない

それこそ、避けたい





そう考えると、あの事件は良いキッカケだったかもしれない。なんか気に食わないけど



正直レンの顔は、一週間経った今でも直視出来ない。複雑な気持ちがぐるぐる回っている。これこそ、レンが私に耳がタコになるほど言っていた意味がよーく分かる事だった。それにいくら異界を巡って実力をつけたとしても、私は女だ。そう簡単に割り切る程、良い性格はしていない。しかも今回は冗談じゃ済まされない……



七割はレンの為

三割はレンに対する怒りに近い感情



レンがあの出来事を覚えているかなんて分からないし思いたくない。あの時は逃げるのに精一杯だったから、記憶の確認なんてする余裕なんてこれっぽっちもなかった。とりあえずアレだけ酒飲んで出現させたタライを落とせば大概は気絶して記憶を忘れてくれるはず(←)と信じてやまない←←

レンの事だ、どうせ次の日はふたごじまの恐怖の様に私に連絡を寄越すのは目に見えていた。良く分からないけど、何故かレンのポケギアを取り出して私のアドレスを抹消させる気力はあったみたいで、光の速さで消去したのを覚えている(怒りに任せた自分ナイス)



なのでもちろんレンと連絡なんてとっていない。周りに聞こうもんなら聞いてみやがれ。私のアドを知っているブルーはもうナナシマに帰ったし(見送った)、カスミと既に会って口封じしといたし(カスミがニヤニヤしていた)(この際気にしない)、エリカにも頼み込んだから大丈夫なはず(快く承諾してくれた)。他にサトシとシゲルも私のアドを知っているけど、流石にあの二人が知っているなんて思わないだろう(何せレッドやグリーンも知らないんだから)(しかしグリーンの履歴にあるなんて気付いていない私←)




つまり完璧私はレンの前に消えた事になる







「これこそ神隠しの技!スリルがあっていいねぇー!アッハッハッハッ!」

「「ブイ!」」

《た、楽しそうですね〜…本当に逃げ切るつもりなんでしょうか…》

「…」





逃げる気満々

姿を消すのはむしろ得意






「まぁ、本当に私を追いかけるのかは…わからないけど」






左手首にある、白銀の腕輪


今は何も、光さえ無い








「時杜、空間移動でジョウトへ!」

《はい!》











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