時杜の実力は想像を遥かに超えていた

幻だから、も、ある

とにかく強かった





《楽しかったです、ミリ様》

「お疲れ様、時杜」

《はい!》

「蒼華もお疲れ様」

「…」





宙を一回転し、楽しかったと笑う時杜に、その優雅な姿のままコクリと頷く蒼華。微塵も疲れなんて感じていないその姿に私は満足げに微笑む。足元でピョンピョン跳ねる白亜と黒恋は目をキラキラさせて時杜と蒼華を見ている。"本場の戦い"というべき戦いを見て、何かしら時杜と蒼華に対するイメージが変わったに違いない。良い勉強をしたなぁ、と我ながら思う






「ちょっとちょっとお姉様!どーゆう事よどうしてスイクンとセレビィの、しかも色違いを持っているのよ!聞いてないわよ!」

「Σぐふっ!ちょ!ブルー苦し…!」

「お姉様なんで教えてくれなかったのよ!勿体ぶっちゃって酷いわ!(ガクガク」

「ちょ、吐く!何かが出る!」

「おいちょっとレン!お前始めっから分かってあんな事言ったのか!?」

「まぁな」





観客席で見守っていたであろうブルーが物凄いスピードと勢いで私に問い詰めてきた(ガクガク揺らさないで〜!)(ちょ、蒼華達助けろよ!)。ちょっと視線を換えればレッドがレンに問い詰めている姿が見えた(レンは軽くあしらっているけど)

あー、まぁこんなことになるとは思っていたけど(確実に





「でも何がともあれ、勝った者勝ちよ!お姉様、おめでとう!」

「ありがとう、ブルー」





昔の様に(昔ってか最近?)(ややこしい!)ブルーの頭を撫でてあげる。えへへと笑い目を細めるブルーにもうキュンキュンのキュ(ry)そしてブルーは蒼華達にも労いの言葉をかけると、感謝の意を込め蒼華は頷き時杜は一回転した。白亜と黒恋にも伝えると、ブルーに慣れた様でニコッと笑った(ブルーの萌え心を突破った)(もちろん私にも影響が←)





「ミリ!」

「!レッド」

「凄いバトルだったな!おめでとう!にしても強いんだなそのスイクンとセレビィ。あー…あのさ!俺とのバトルは今度日を改めてやろうぜ!!」

「おいレッド、まさかお前逃げる気か?」

「ちょ、レン!お前黙ってろよ!違うってほらさっき戦ったばっかだし修業期間を伸ばして悔いのない戦いをだな!」

「見苦しいわよレッド!」

「あぁあああ!!」





完璧遊ばれているレッドの面白い姿に私達は笑う

さっきのバトルを見て、流石のレッドも戦う気が失せたみたいだ(気持ちは分かるよ)。別に蒼華と時杜でならいつでも戦ってあげるのに(二匹は元気ピンピンだし





「ミリ」

「グリーン」

「完敗だ。まさか刃が立たずに負けるとは思わなかったがな」

「(そりゃあね)」

「しかし、負けは負けだ。……受け取れ、ポケモン協会認定グリーンバッチだ」





グリーンの懐から出てくる、一つの小さな輝き

葉っぱを彩ったグリーンバッチをグリーンは私に差し出した。上の蛍光灯の光の関係か、私にはとっても眩しく見えた





「……なんだかな」

「?」

「信じられない…本当にグリーンと戦って、こうしてバッチを貰えるなんて」





カントー地方最後のジム戦

今思えば、白亜と黒恋の成長と、グリーンのその整った顔をぶん殴りたいが為(こら)にグリーンを戦う事を目標に戦ってきた

でも今こうして目の前にすると……嬉しくてなんだか涙が溢れてきそうだ

…あ、本当に流れてきた←



いきなり私の目に涙が流れたのを見てグリーン及びその他(酷)は目を張る。いきなりで、しかも喜ぶと思ったら涙を流したのだからそりゃ誰だって驚く(現に自分も驚いている)

流れる涙を軽く振り払う様に拭い、私は笑った。笑ってグリーンの手のひらにあるバッチを、受け取った





「ありがとう、グリーン」







振り返れば、あの聖地の湖から私の旅は始まっていた

白亜と黒恋に出会って

レッドとグリーンに出会って

レンに出会った

コロシアムではサトシ君とシゲル君にも出会って、ロケット団の三人とも出会った。決勝戦まで勝ち進んで…ゴウキさんとバトルして勝利を飾った。後から来たタケシとカスミとも出会って、本当のジムバトルをした


オツキミヤマで蒼華に再会し、

レンと再会しタッグを組み、マチスとナツメとジム戦をした。同時にナズナさんの存在を知り、次の目標にもなった


タマムシシティでエリカと戦って、色々お世話になった

シオンタウンではミナキさんに会って、マツバさんにも出会った。その後すぐに時杜と再会し、過去へ行ってキョウと戦った


夢の旅でブルーに会い、

目が覚めたらすぐに再会した

レッドとグリーンとも再会して、レッドのブイとギャラと白亜と黒恋の再会をも果たす事が出来た。グリーンのポケモンを見せて貰い、その強さを見て強くなる一心を見せた白亜と黒恋

ふたごじまでミュウツーの刹那に出会った

そしてナズナさんの事も色々分かってきた。そしてこれからの目標にもなり、心を固めた。私の勝手な行動にレンを風邪で拗らす事件が勃発し、一時はどうなるかと思ったけど(いやもうすみません←)

そしてカツラさんからバッチを貰い、私達はふたごじまを出発した。次のジムリーダーと戦う為に、今までの経験全てを証明する為に





「皆も、ありがとう」





長かった様で、短かったカントーの旅

数えて約一ヵ月半の、楽しくて面白くて色々あった充実した旅だった










「てか本当にこのグリーンバッチってグリーンが持っているからグリーンバッチ?なんだか面白いね〜。え、これウケでも狙ってんの?ポケモン協会も面白い事をしてくれたもんだねアッハッハッハ☆」

「ちょ、雰囲気ぶち壊し!」









カントーの旅が幕を閉じた






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