「……お姉様って、一体何者なのかしらね……」

「…ブルー、それは…」

「分かってるわ。あの時言った通り、お姉様はお姉様…なるべく考えない様にしていたの。お姉様もそれを望んでいたし……でも、爆発から綺麗な光の粒子になって窓が全開に開いたを見て、レッドの話を聞いて…お姉様って、本当に何者なのかっていう疑問が頭から離れなくなったわ」

「……」

「バトルセンスとか、お姉様が強くてグリーンの言う"盲目の聖蝶姫"がお姉様っていうかもしれないって事は、……私は正直どうでもいいの。それこそお姉様はお姉様だから」

「………そうだな」






もしそんな有名人だとしても、ミリはミリで、記憶の中にあるミリは今と全く変わっていない


いつもの様に笑ってくれれば

いつもの様に微笑んでくれたら

それだけで、充分だから





「グリーンは、どうあって欲しいの?」

「……さあな。ただ、ミリがもし"盲目の聖蝶姫"だとしたら、それだけだ。むしろ納得するな。だからミリはあんなに強いのかって。…今回の件は前にも見た事あったからな、それをミリがやったと言っても別に驚かない。それに、」

「それに?」

「ミリはミリだ。お前らが言う様に、ミリはミリ、それ以上でもそれ以下でもない」

「グリーン…」






気持ちは全員、同じ

ミリはミリ

それ以上でもそれ以下でもない


グリーンもブルーと同じ想いだった。口元に自然と笑みを見せるグリーンにブルーは安心した様にグリーンを見た





「…もしかしたら、きっと俺の考えは筋違いかもな」

「筋違いって?」

「ミリが"盲目の聖蝶姫"じゃないかもしれない。………そうだろ、レン」

「何だ、気付いていたのかよ」





今までいなかった場所から、レンが現れた。どうやら盗み聞きをしていたらしい

グリーンの睨みをサラリと受け流しながら部屋の中に入って来たレンは、グリーンの問いに口を開いた





「ミリがあの"盲目の聖蝶姫"の可能性は極めて低い」

「レンさん、一体どういう事なの?」

「"盲目の聖蝶姫"は六年前シンオウで有名になったチャンピオン。実はチャンピオンになる前はトップコーディネーターになっていたらしい。チャンピオンになった後、チャンピオンの座を蹴ってホウエン地方でトップコーディネーターになり、チャンピオンになってポケモンマスターになった」

「チャンピオンの座を蹴ったって……でも結局ホウエンでチャンピオンになったって事でしょ?何でわざわざチャンピオンを蹴り飛ばしたのかしら」

「……さぁな、正直知らねぇんだ。六年前、俺はシンオウにはいなかったからな。別の場所で旅をしていたんで当時のそっちの話は詳しくない」





悪いな、そう苦笑するレンにブルーは慌てて制した


それに、とレンは言葉を繋げた





「そもそもソイツは異名通り、視力という見る力が無かったって話だ。――それに、ミリが盲目の聖蝶姫だったら目は絶対見えねぇ筈だ。偶然かどうかは定かじゃないが、六年前当時の盲目の聖蝶姫の年齢は17歳…ソイツが無事だったら、俺と同じ23って事になる。ミリはあれで見えて17歳だ、……話は残念だけど繋がらねぇぜ」








果たしてそれは幸か不幸か









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