はかいこうせんとブラストバーンがぶつかりあい、予想通り大きな爆発が起こった。黒い煙はジム内を包み込み、同時に大きな爆風を起こした

それはコロシアムの時に既に経験していた事で、私は爆発が起こる前に瞬時に守りのバリアをそれぞれに貼った。これなら爆発で現れた黒い煙に爆風で吹き飛ばされる事はない。被害が起きない様にジムの壁にもバリア壁を貼って、ジムが爆発しない様にも手を打った

…が、しかし





「…っ、かはっ…!!」





あまりにも皆に意識を集中していたせいで、自分を守る保護をかけるのを忘れていた私は意図も簡単に吹き飛ばされ、ジムの壁に強く背中をぶつけてしまう

背中からくる、息の詰まる程の衝動

ゴン!と音がするのは頭を強くぶつけた証拠。…一瞬頭が真っ白になる。受け身をとっていなかった為、背中を強くぶつけたせいで肺が悲鳴を上げて、むせる。しかも辺り一面真っ黒な煙の中…充分な酸素なんて燃やされてこれっぽっちも無いので、何とも言えない焦げ臭さと苦しさが倍増だ





「――ミリ!!」





誰かの叫び声が、聞こえる

けど肺が悲鳴を上げ、脳や肺があまりにも酸素の欲しさに誰の声かも分からない


…視界が、霞む――



いや、気絶なんて駄目だ

此所で気絶なんてしたら、誰がこの試合の結末を見届けないといけないんだ




ゴホゴホと、壁に手を当てて無理矢理にでも身体に無知をいれる

目の前は、煙のせいで真っ暗だ

密封されたジム内。窓を開けなくては煙なんて消えてなくならない。しかし爆発を無理矢理押し込んでいる状態の中…窓が開いて風という新鮮な酸素が入ってきたら、どうなる?…こんな中、誰も成す術はない

――私、以外は






「ゴホゴホ!(結局、こうなるのね…)ゴホゴホゴホッ、ゴホ!!



荒れ狂う黒き粒子よ、鎮まりたまえ





声にならない言霊を唱えると、キュィィンと力が発動する音が耳に入る



――――パリィィィン





コロシアムと同じ様に、黒くモクモクとしていた煙が光の粒子の様に分裂し、弾きとんだ


そう、あの時の様に




視界に真っ先に入ったのは、煙から鼻や顔を庇うグリーンの姿。目を開ければまたあの時の光の粒子になって驚いて顔を上げる様子が微かに見える。視界を逸らすとブルーを庇うレッドの姿があり(呑気にレッドを見直している場合じゃない)、二人もまたグリーンと同じ様に驚いて顔を上げる。レンを見れば、初めて見る光景なだけあって光の粒子を愕然と見ていた

すぐさま指を鳴らし、超能力で全ての窓を全開にしてやった。光の粒子といえど、酸素が無くなっている事には変わりはない。いきなり窓が全開になった事に驚愕の表情を浮かべながら辺りを見渡す四人に、私は壁を使ってゆっくりと立ち上がった

が、




「うっ…」





視界が一瞬、グラッとして、フワッとした

壁に全身をぶつけ頭をぶち、煙を吸い酸素が無い所にいたのにも関わらず、私を支える力を使った。普通の人間なら気絶をしていてもおかしくはない――

フワッとしたのは全身の力が抜けた証拠。同時に全ての苦しみが一瞬だけ無くなった。…長風呂し過ぎて倒れてしまった、あんな感じだ(あれ、なんで詳しく説明しているんだろ)もちろん、そんな状態になれば誰構わず倒れてしまう





「っ白亜…黒、恋…」

「ミリ!!」





先程いた立ち位置に戻ろうとしたけど、やっぱり身体が悲鳴を上げた。意思関係なく傾いていく私の身体――その時、レンの慌てた様な声が聞こえたかと思ったら、視界にレンの走って来る姿が目に入った。腕を伸ばし、倒れかけた私の身体を支えてくれた。間一髪だったとでもいう様に、レンの安堵の溜め息が聞こえた

お礼を言いたい所だけど、今はレンに構ってられる程の余裕なんて無い。力が無くなった足を頑張って踏ん張って、レンに支えられながらフィールドを見た





「…………、え……?」





驚愕し、目を張った






「……ジムリーダー、グリーンのハッサムとリザードン対挑戦者ミリの白亜と黒恋の勝負は、……どうやら引き分けの様だな」





そこには力尽きて倒れている三匹の姿があった









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