ナナシマ事件時に新たな技を受け継いだ最強にして最大の炎技、ブラストバーン。今ではリザードンの最後の切り札だと言っても過言ではない。グリーンはどうやら此所でケリをつけるらしい――瞬時に悟ったレッドとブルーはかたくなになって試合を見守る リザードンは痺れる身体をもろともしない精神力で振り切り、目の前の敵である白亜と黒恋に対峙をする。咆哮を上げればジム内はビリビリと響き渡り、威圧が挑戦者達を襲う 尻尾の炎が強く燃え上がった。――リザードンの特性である"もうか"が、最後の力を引き上げる 「今から繰り出すのは切り札にして相手にとっても俺にとっても、最も危険な技――炎タイプ究極技ブラストバーン。これで決めさせて貰うぜ」 リザードンの口から灼熱の炎が見え隠れする もうかで威力が上げられたその技は、二匹を軽々と焼き包めてしまうだろう。誰もがそう確信していた 「(…ブラストバーンは攻撃した側でもかなりの衝撃がくる。あのリザードンの体力を考えると、衝動を受ける以前に力尽きるだろうな。対してあの二匹は…いや、ミリの性格からして絶対に真っ向勝負でもするだろうな。クチバジムと同じ様に)」 審判を勤めるレンはただ冷静に戦場を分析していた グリーンのリザードンは麻痺状態でなおかつあのブラストバーンをやろうとしている。あの状態でブラストバーンをした後の状態は簡単に目に浮かぶ。対する白亜と黒恋は、真っ向勝負をするに当たって自分達の力が勝るのかそれとも力負けをするのか―― 「ブラストバーン…理由は分からないけどリザードン、バグフーン、バシャーモ、ゴウカザル及びその進化前が受け継ぐ事の出来る特殊にして特別な究極技。爆発的な炎で相手を焼き尽くすその技は一切の慈悲はない ブラストバーンを放ったリザードンが先に力尽きて倒れるか、白亜と黒恋が力負けして倒れるか――勝負は五分五分といった所かしら」 お互い、今更能力を上げても防御しようが体力を回復しても無意味 この状態こそ、今まさに真っ向勝負が出来る瞬間でもあった 元より倒れるのは承知 どっちかが倒れても、悔いは残らない 「白亜、黒恋。ブラストバーンはさっきも言ったけど危険な技――君達に、アレを打破る気力は…まだ残っているね?」 「ブイ!」 「サン!」 「そう…ならもう少し、頑張って貰わなくちゃね」 ピカァッ!とサンダースに進化していた白亜の身体が光った 光った身体はいつものイーブイの姿に戻り、レッド達を驚かせた。何故今更になってイーブイになんか戻るのか、と。 油断は禁物だとグリーンは感じた。イーブイに戻ったとしても、変わりはない。イーブイの姿だけでも強いミリのイーブイ達が、今更何したって驚きはしない 確実に言える事は、向こうも何か強力な切り札を持っている事 「グリーン、この一撃で…最後だ!!」 「あぁ――来い!!」 「――はかいこうせん!!」 「ブラストバーン!!」 (光りの光線と)(灼熱の炎の渦が)(衝突しあい、爆発した) |