この果てしなく広い壮大な海原を二匹のスイクンが駆け出す姿はまさに優雅の一言だろう。蒼華やスイクンが風を切るごとに、私の髪やレンの髪が流れにそって靡く。太陽の光の関係か、レンの銀髪が白く綺麗に反射している

横目に見るレンとスイクンの姿は本当に憎たらしい程まで様になっている。綺麗だなとしみじみ思う反面、私は昨日(つーか今朝方)の夢を思い出していた


今はもう、時間が経ち過ぎて思い出せない


初めはそんなもんだ。蒼華の時や時杜の時だって夢の中ではちゃんと覚えているのに、目が覚めると思い出せない。しまいにはどんな夢かさえも分からない。…あー、もうつくづく人間の脳って都合良く出来ているよなぁ〜と悪態をつきたくなる。この際、この夢については何も考えない様にしよう


私はレンから視線を外し、小さく溜め息をつく

視力が低下していて先がぼやけて見える。いつもなら綺麗で鮮明に見える景色も、これだと台無しだ。空で羽を広がすキャモメの一群が一本の線にしか見えないし顔も見えない。多少乱視も入ってしまったのか、何かもうブレている

…眼鏡を、かけるべきか…

にしても久々だなぁ、眼鏡(元眼鏡






「らしくない顔してどうした。考え事か?」






隣りで走るスイクンの背に跨がるレンが私に言った

…あー、何が困るって、此所からレンのあのイケメンな顔が上手く見えないから嫌なんだよね←

とりあえず私は笑っとく





「……ジム戦の事を、ね」

「不安か?」

「不安なんて、そんな事は思ってないよ。私はあの子達を信じているから。トレーナーとして、サポート役として、グリーンがどの様に戦うか…そんな事をね」





実際に考えていた事だ。だから嘘じゃない

スペで見ていたグリーンだからこそ、実力は把握している。グリーンが手塩にかけて育てたポケモン達は、強い

グリーンの事だ、トキワジムリーダーとして潰す勢いで私に立ち向かっていくに違いない。グリーンは容赦はしない人…だからこそ、気が抜けない





「確かにあの歳でアレだけの実力は大したもんだ。流石、かの有名なオーキド博士の孫って所か。だがアイツはそんな肩書きなんて関係無く強いのは俺だって分かる」

「…そんな強いグリーンを相手によく太刀打ち出来たよね。スイクンを仲間にしちゃう辺り、もしかしてレンってかなりの実力者?」

「フッ、さぁな」





マジで気になる

タマムシシティ時のグリーンのハッサムとレンのエルレイド(プラスしてニョロボンやモウカザルやエレキブル)がバトル勃発しやがったあの時。普通に、互角に、むしろ余裕と言った様なバトルをしていたあのエルレイドは相当の実力。エルレイドを相棒とするくらいだから、レンのトレーナーとしての実力を伺える

気になる

むっちゃ気になる

でも戦いたい気持ちは湧かないかな、流石に

もう手持ちの皆はあっちに懐いちゃっているし…それに私ハピナスやミルタンクやトゲキッスやアブソルの癒し達に攻撃なんてしたくな(ry






ピピピピピピピピ






「…ん?電話?」





バックの中からポケギアの音が

一体誰だろう。そう思いながらバックの中を開けてポケギアを取り出す。私の電話番号知っている人って結構数限られているからね〜

パカッと開いて名前表記を見てみると、そこには久方振りな『Blue』という字が

…え、ブルー?





「電話か?」

「うん。ちょっとゴメンね」




私はレンから視線を逸らし、ポケギアのボタンをポチッと押した






「もしもし、ブルー?」












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