「レッド!早く仕度をしてふたごじまに行くわよ!ジム戦の前に今日はお姉様と一緒にショッピングよ!」

「えー!ブルー、どうせ俺達を荷物運びにさせるつもりだろー!」

「当たり前じゃないの!アタシ達に重い物を持たせる気!?もう!これだから男は駄目ね!」

「…あれ、グリーンは?」

「グリーンならさっき物凄い形相でポケナビ握り締めていたわよ」








「そういえばミリ、お前が爆睡している間にこっちで勝手にお前のポケギアでマサラ名物の緑に連絡入れといたからな」

「ありがとー」





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雲一つも無い真っ青な空にはキャモメが列を成して空を飛び、海はジュゴンやパウワウが岩の上でのんびりと日向ぼっこをしている

ふたごじまの研究所の前で、私とレンはそれぞれ荷物を持って空を見上げた。潮風が心地よく吹き、久々に外に出たお蔭か太陽の光が眩しく感じる





「数日間、お世話になりました」

「世話になった」





後ろを向けばそこにはカツラさんの姿

太陽の光の反射で頭とサングラスがキラリと輝いて若干眩しく見えてしまう。見送りにわざわざ出て来てくれたカツラさんは、別れの挨拶だと手を差し出した





「この数日、どうなるかと思ったが無事回復してくれて安心した。中々楽しい日々を送れたよ」

「フッ、何がともあれ良かったぜ。この数日、世話になった。今度は同じ過ちを繰り返さない様にするぜ」

「是非そうしてくれ、レン」

「あぁ」





差し出されたカツラさんの手を、レンが取って握った

しっかりと握られた手が二つ離され、今度はカツラさんはこちらを振り向く





「ミリ君、この数日間レンの世話おろか私達の事まで手伝って貰ってすまなかった。ありがとう。グリーン君とのバトル、悔いのない戦いをしてくれ」

「お世話になりました、カツラさん。こちらこそありがとうございました」





感謝の気持ちを込めながら、笑顔でその手を取って握った






「ミリ君はこれからグリーン君とバトルの予定みたいだけど、レンはこれから何をする予定かね」

「俺はとりあえずミリのバトル見るつもりだ。…ま、その後はしばらく様子を見てナズナの事を調べに行く。何かあったらそっちにも連絡する様にする」

「そうしてもらえると助かるよ。私も時期が来たら君に連絡を入れる」

「あぁ」





カツラさんはレンに『錠前』の役目は教えてもそれがどの内容かは教えていない

レンもしばらくは様子を見るみたいだからこの話は当分保留みたい。きっとカツラさんの口から話を聞く時は、私がナズナさんの記憶の欠片を集め終えたその時――

全ては、私に掛かっているという事になる






「それじゃ、俺達は行くぜ」





レンの言葉に、私達はそれぞれボールを取り出して開閉ボタンを押して目の前に投げる

出て来たポケモンはお馴染みの蒼華とスイクン。目が慣れても未だ驚くカツラさんを尻目に、私達はそれぞれの背に乗った

そして、カツラさんに振り返った






「また会いましょう、カツラさん」

「じゃあな、またなカツラ」

「あぁ――また会おう」






きっとカツラさんと再会する時は、刹那に出会って全ての記憶の光の欠片を手に入れた時だろう

それまでは、しばしのお別れ







「行こう――トキワジムへ」






私達は駆け出した






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