「なんか…介護されている老人の気分。せっせと色々やって貰っているのを申し訳ない気持ちでいっぱいの何も出来ないじいさんみたいだな、俺って」

「ハッピー」
「ミルー」

「…つくづくお前らがいてくれて本当に助かるぜ」





「…あの二匹、レンの母親みたい」

「「ブイ」」





――――――――
――――――
――――
――







ピピピピピピピピ…





「…熱は、36.3℃。うん、熱は無事下がってくれたみたい。これならもう大丈夫そうだね」

「悪いな、色々」

「全然。それにレンのハピナスやミルタンクやエルレイドにも手伝って貰っていたからね」

「ハッピー」
「ミルー」
「エル」





ふたごじまでレンの看病して早数日が経った。高熱でぶっ倒れたレンは、着々と熱を下げ体力が回復していき今はもう元気ピンピンだ。顔の赤みは治まり、涙目だった瞳も普通になった。逆に寝過ぎて腰が痛いと嘆く姿を見ると、もう大丈夫だろうと私は胸を撫で下ろした

今この部屋には私とレン、それからレンの手持ちの皆が部屋で寛いでいる。ハピナスとミルタンクはよく私の手伝いをしてくれて、すっごく助かっている。流石はお母さんポケモン。今でも私の指示を待ってうずうずしている(可愛いなぁ)。トゲキッスはレンの頭に乗って寛ぎ、アブソルは私にすり寄って来る(懐かれました)。エルレイドはレンのそばで立っていてスイクンは少し遠くで座っている

…ちなみにうちの白亜はレンの腕の中でめっちゃ幸せそうな顔ですり寄っている(うわっはーい)。優しいレンは笑いながら撫でてあげれば白亜の目がまたハートに…はは、ウケる。黒恋はご飯食べた後なのでボールの中で爆睡中。その隙にレンの元へ飛び込む白亜は私と同じ中々の性格の持ち主←





「体調はもう平気?」

「あぁ、この通りだ。久々にバトルでもしたい気分だぜ」

「それは良かった」





調子を戻したレンの笑顔に釣られて笑う私

この笑顔を見れば、やっと私も此所まで寝ないで頑張った甲斐がある





「エル」
「シャー」

「え、私は大丈夫かだって?…私は大丈夫だよアブソル、エルレイド。心配してくれてありがとう」





…実は本当に何も一睡もしていないから、正直眠い。あの時から体温は変わらずに熱が続いていて一向に下がらない。解熱剤はとりあえず飲んでいるけど、無意味なのは承知している。その状態で一睡もしていないから…いやぁ、よく倒れないよね私←

此所にいるポケモン達は私が一睡もしないでレンを看病し続けていたのは知っている。きっと体調も気付かれているかもしれない。だからエルレイドとアブソルは心配そうに顔を覗き、ハピナスやミルタンクは何時でも私が倒れてもいい様になるべく近くにいてスタンバイをしてくれている。…むっちゃ用意周到な子達で有り難いやらなんやらと

でも逆に今寝ちゃうと本当に死んだ様に眠る自信がある。普段はあまり睡眠取らなくても平気で、眠りが浅い私でもやっぱり無理がきてしまっているみたい。てかこのテンションをストップしちゃいけない気がする(じゃないときっと動けない)(むしろ看病されそう)

あぁぁぁあでも眠い!

低反発マットレスのベッドが気持ち良さそうに見えるぅぅう!





「カツラから話は聞いた。クリムソンバッチを貰ったんだな」

「そうそう。とりあえずレンが元気になったから、後でグリーンに連絡してバトルを予約しようかなと思ってる」

「へぇ、ならその時は特等席でお前が勝利する瞬間を目撃しないとな。白亜、頑張れよ」

「ブイ!Vv」

「頑張ろうね白亜〜。レンの前で負ける姿は見せられないからね〜」





本当、負ける姿は正直見せたくない

無敗で勝ち進みたいのが本音。でも一度負けを知らないといけない時もある。それを白亜と黒恋に教えなくちゃいけない…が、プライドがあるからねー私にも。レンの前ではバトルで一番の姿を見せないと(他に取り柄ないし

もし仮にグリーンに負けたとしても、うーん…なんか倍返しで返しそうな自分が恐ろしい←






「さて、元気になった所で…私は片付けに入りますか。道具とかカツラさんに返さないと」

「エルレイド」

「エル」

「…え、ちょ!エルレイド!?いきなり何で私を持ち上げて……ヘブッ!」






レンの掛け声でつかつかとやって来たエルレイドは、私をいきなり抱き上げてポイッとレンがいるベッドに投げ入れた。いや物か私は!丁度レンの腕の中に入る様な形にボスッと入った私は、慌てて起き上がろうとするがレンの頭の上にいたトゲキッスが私の腹の上に乗って動けなくした(ちょ、腹が…!






「お前が一睡もしていないのは気付いている。いい加減寝ないと身体に悪過ぎだ。俺はもう大丈夫だから安心して寝ろ」

「あ、あはは…バレてたのね…」

「当たり前だ」






ポスっと私の頭にレンの手が乗る

見下ろすレンの顔はいつもの優しい笑みだった。何故か無性に安心して、やっぱレンはそうやって笑った方がいいと思いながら笑った










「…そうだ、そういえば報酬を貰っていなかったな…貰うなら今しかないな」

「え、なんかすっごく危機感を感じたんだけど」

「気のせいだ」

「最近のレンさんは積極的ですね〜私困っちゃ………って近い近い近い近い近い!!////冗談でしょ!?冗談なら軽々しくやってはいけないでしょちょっと!」

「さっさと寝ないと口を塞ぐぜ?」

「逆に目が覚めちゃったんですけど!?」








「ブイ〜?」
「ハッピー」




何も知らなくて良いとハピナスが白亜の頭を撫でていた






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