『久々に様子を見に来たら…あらあら、やっぱり想像通り!複雑な絡みの渦に入っていっているわね。せっかく忠告してあげたというのにね』




クスクスとフレイリは笑う





『…あら?何処かで見た事がある顔かと思ったら…フフッ。こういう事も、あるのかしら?全くミリったら本当に驚かされるわ




生まれ変わりとはいえ、【異界の万人】を影から支え仕えてきた【異界の守人】と同じ魂を持つ彼を、いつの間にか仲間にしちゃっているんだから』





―――――――
―――――
―――










「トゲキッス!いたか!?」

「キィー(振」

「そうか…。お前らの方は?」

「ハッピー…」
「ミルゥ…」
「エル」

「駄目か。ったく、アイツ何処に行きやがったんだ」





ふたごじまの、先程ミリが宿を取っていた場所にレンはいた

空高く飛ぶのはトゲキッスに、茂みから現れるのはハピナスやミルタンク。岩影から顔を出し頭を振るのはエルレイドで、丘の上で見渡すアブソルも頭を振る。ミリを捜しに駆け出したスイクンもどうやら分からなかったらしい

外は予想通りに気温が下がっている。レンやポケモン達の口から出る息が真っ白い。寒さが身に染みるレンは今コートを羽織っているがそれだけでも寒い

レンは舌打ちをする





「ふたごじまには出ていないのは分かるが…一体何処にふてくされているんだか」





左手首にあるオレンジ色の腕輪に触れる

腕輪は外の気温のせいもあり、ヒンヤリと冷たさを帯びている。腕輪は先程も変わらずに淡い光を纏っている。消えていないという事は、ふたごじまからは出ていない。…そこまでは分かる。本人もそう言っていたし、再会した時ミリの付けていた白銀の腕輪も淡い光を纏っていた


いるのは分かる


しかしどうして見つからない?






「時間は…チッ、もう10時か」





ポケギアの時計を覗けば時刻は十時を少し過ぎた頃。カツラの研究所から出てミリを捜し出してから、約三十分近くは経っている

電話をかけても、一向に繋がらない。どうやら向こうがいる場所は電波が通っていない所にいるらしい

レンに嫌な予感と不安が体を突き抜ける





「エル」





岩影から戻って来たエルレイドが次の指示をとレンに声を掛ける。冷静な性格の持ち主なエルレイドの表情は、何処となく焦りを感じさせる。長年付き合ってきたパートナーなだけあって、考えているのは同じな様だ。ハピナスもミルタンクもトゲキッスもアブソルも、心配そうな顔を向けながらレンの指示を待つ

これ以上の捜索は危険だ。月の光だけはキツいし寒さが身に堪える。ポケモン達も流石にキツいに違いない。しかし、ミリを見つけたいという気持ちは全員一緒だった。ミリやミリのポケモン達がレンを認めたのと同じで、レンのポケモン達もミリを認めていた。勿論、レンもミリを認めている。大切な仲間とも呼べるミリを、見過ごす訳にはいかない

持っていたポケギアをコートの中に突っ込んで、フッと笑ってレンは口を開いた






「悪いな皆、もう少しだけ付き合ってくれ」






見つけたらありったけの力を込めてデコピンしてやろう

そう思ったレンだった









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