洞窟の中は意外にしっかりしていて、壁が氷がついているのか光に反射されキラキラ輝く。寒々としている洞窟の中は物音一つも無いただ暗闇が広がっているだけだ。こちらに吹いてくる風が冷たいだけで、人の気配やポケモンの気配すら感じない 私は明かりをつける為に自分の力で光の球体を現せる。光の球体は私の視界を広く照らす為にふよふよと私の周りを回っていく。便利な光だ。その照らされる光を頼りに私はただまっすぐに進んで行く 「…くしゅん!」 あー、これ完璧に風邪だ くしゃみをした事で、私の声が反響していく。反響していった音を聞いていくと、結構距離が長い事が分かった 風邪だと分かった途端、段々自分の頭がボーッとし始め身体が怠くなってくる。あー、きっと熱でも上がっているんだなぁ〜と他人事の様に考える。こんな状態でも普通に寒い所にいて平然とまっすぐ歩けるのは、自分の中にある【異界の万人】の力が助けてくれているお蔭だ(しかし熱があるのには変わらない)。難点なのは身体が着いていけずに倒れちゃう事がある。…その前に寝る場所見つけておかないと 「(にしても…どうしてポケモンがいないんだろ…?)」 ひたすらまっすぐ歩いていても、一匹も顔を見せないポケモン達。普通なら、一本道に必ずって程いっぱい出てくる筈なのに …ちょっと、薄気味悪い そもそもこの洞窟は一体何の洞窟なんだろう。もしかしてゲームでいうあの洞窟なのかな?…でも、もしゲームの洞窟だとしたら、尚更ポケモンがいないのはおかしい。…アニメとかは知らないから分からないけど、やっぱりおかしい それにきっと、此所のポケモン達もトキワの森やオツキミヤマに住むポケモン達と同じな筈だ。私が来るのが分かればニコニコしながら寄ってくるに違いない …何か、あったとか? 警戒してるなら、それなりの気配を感じるけど、一切それは微塵も感じさせない 疑問を抱きながら、私は黙々と先を急いだ 歩いて行くと、二つの道に分かれている場所に差し掛かり、私は足を止める 向かって右側は物凄く微かだけど水の流れる音が聞こえる。左側は風の音が強くなっている。比較してみると、多分左側が出口なんだろう 私はしゃがんで地面に手を付ける。集中して"下"に意識を持っていく。…どうやら、まだ地下があるみたい。水のある気配を感じる所をみると、ゲームみたいになっているっぽい 「…………ん?」 一瞬だけ、ほんの一瞬だけ "下"に、何かしら妙な気配を感じた 気配と言っても曖昧すぎるそれは、かなり地下深くにあった 私は頭を捻った その気配は人間でもなければポケモンでもない、何とも口に言い現せられない様なモノだったから 「…よし、右に行こう」 右は微かだけど水の流れる音がする道 水があるなら、水を渡っていけば地下に行ける筈だ。私は用心の為に光の球体を三個出現させて宙に浮かす。合計四個となった光の球体は、一個と比べかなり視界を明るく照らした 私は光の球体と共に、右側の道へと進んで行った 「変な事に、ならなければいいけど」 私は気付かない 私が右側の道へ入って行った数分後 何事も無かったかの様に、二つの道の内、右側の道に壁が現れ、道を塞ぎ、左側一本道になってしまった事に、私は何も気付かない (まるで導かれる様に) |