《やっぱり似ている…姿も、声色も、雰囲気も》

「…」

《もし…仮定としてレンさんが、"あのお方"だったとしたら、僕は…彼には、会えないかもしれない。会っては…いけない。けど、…まだ、彼は記憶の扉を開けてはいない。…少し様子を見よう》

「…(頷」






「降ろしてぇぇえ!」

「ははっ、観念するんだな!」





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―――








「着いたぜ。此所がカツラが待つグレンジムであり、研究所だ」

「…盲点だ…まさかこんな場所にあったなんて…!」





レンに姫抱きでスイクンの背に乗って運ばれて約数十分

そびえたつのはふたごじま、の内の西側にある山。枯れ木で生い茂っていた場所に、扉があった。扉と言うよりも建物が普通に存在していて、なんでこんな簡単な場所に…しかもさっき普通にこの近くを通過していたのに!と軽く絶望しかけた←

スイクンから降りたレンは、抱き上げていた私を降ろす。地に降りた私はドビューン!とレンとスイクンから(かなりのスピードで)離れる。レンとスイクンはいつの間にか離れていた私に驚いたのか目が点になる





「…離れ過ぎだろ」

「き、気にしない!」

「しかも何で後ろを向くんだ」

「気にしたら負けさぁ!」





きっと私の顔は真っ赤に違いない。超至近距離でイケメンの顔があって、しかもあんな事を言われたんだ。正当防衛だ(恥かしくて死ねる)。あぁこれだからイケメンは…!良かった空が夜でちくしょう!(悪態





「あー…悪かった。悪かったからとりあえず戻ってこい。もうしないから(嘘)」

「とかいいながら顔がニヤけてるよ!?しかもなんか含みの言葉が聞こえたんだけど!」

「さーて、どうだろうな」

「おあーー!!」





そんな時、風が吹き私達の髪を撫でる。私とレン達の間に立ち塞がる様に背中に寝ている白亜と黒恋を乗せた蒼華が遅れて現れた

紐で固定された二匹は平気で寝ている姿を見て、タダ者じゃないなと改めて思った(なんでそんなに寝れるんだ←

着いて早々「相変わらずだな」と言いたい様な目でレンと私を見比べる。君も相変わらず状況判断は素晴らしいですね

私はそそくさと蒼華に近付いて、白亜と黒恋を抱き上げる(…あ、黒恋よだれ垂らしてる)そういえば時杜の姿が見えない…と思っていたら、蒼華のたてがみに隠れていたのかひょっこりと顔を覗かせていた(なにやってんの





「…居心地、良い?」

《中々良いですよ!ミリ様も一度是非!》

「うん普通に遠慮するよ」





てかなんか水色に交ざる赤色…なんか面白いなぁ、と時杜を見ながら私はボールを取り出して二匹を中へ戻す

時杜を抱き上げて、蒼華を撫でているとレンの息を飲むのが視界に入った





「…ミリ、そいつはもしや…」

「あ、そういえばまだ話していなかったね。この子の名前は時杜って言うの」





時杜をレンに見せると、腕の中からフワリと宙に浮く時杜。まっすぐに、ゆっくりとレンの方へ飛んで行く

まだ驚きの表情を隠せないレンの周りをグルグルグルグルと、隣りにいるスイクンも見定める様にグルグル回る。その表情はあどけないんだけど、瞳は何処か探る様で、真剣だった

時杜を見るレンも、最初は驚きでいっぱいだった目が違う色に変わった…気がした。暗くて良く分からなかったから、多分私の気のせい

時杜は周るのを止めてレンの前に止まる。一回転宙を周り、満足したのかこっちに戻ってきた。テレパシーで《ボールに戻ります》と言ってきたで私はお望み通り時杜をボールへ戻してあげる

ボールを異空間にしまい、見上げればこちらを見るレン…なんだけど、何を考えているのかその瞳は鋭くて、私はゾッとまではしなかったが目を張った






「そのセレビィ…」

「…レン?」

「…いや、なんでもない」






…また、だ


そういえば、こんな事もあった気がする。シオンタウンで、こうやって苦笑し濁した様に






「(分からない…)」

「よし、まずは中に入ってカツラに会ったらだなそのセレビィの話は」

「…そうだね〜」






蒼華とスイクンをボールに戻して、私達は中に入った






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