「こんな場所で野宿すると風邪ひくだろーが!前にも言ったはずだ女の身体は労れって!しかもその服のまま眠るつもりだったのか!?……お前本当に危機感が全くもって無いんだな!」

「え、ちょ!来て早々怒るの!?」

「当たり前だ馬鹿野郎!」

「アダッ!」





ポケギアにレンから連絡が入り、電話に出れば「お前今何処にいる?」といきなり聞かれ「ふたごじまだよ」と答えて「場所は?」「えっとね〜」…と、そんな会話をして約数十分後、スイクンの背に跨がって現れたレンと再会

会って早々…レンは状況を判断したのか私の頭をガシッとわしずかみにし力を込めながら(いたたたた!)私に怒鳴る。怖い怖い怒ってるなんで!?しかも台詞がお前保護者か!って言いたくなる。最後なんて強烈デコピン食らって…地味に痛い(泣

それに周りはちゃんと把握してるしポケモンもいないし、寒さなんて力で保温状態になっているから大丈夫なのに。そういう問題じゃない?そんなー





「ふたごじまに到着していたのは気付いていた。が、一向にジムに現れやしねーから、心配してやってきてみれば…はぁ。呆れて物が言えねーぜ」

「む、失礼な。ちゃんと周りを把握してたしそれにこのふたごじまにポケモンの気配が無いし、それに蒼華達だっているよ」

「ほぉ、ならそういう危機感的な物は大丈夫って訳か?それならこんな寒い中どうやって凌ぐんだよお前は」

「そりゃ(保温なんて言えないから…)、服着て白亜をブースターに進化させて抱き締めて寝る?」

「…その白亜、熟睡だな」

「…気合い?」

「気合いでなんとかなるならこの世の防寒具はいらなくなるな。てかお前馬鹿だな、いやむしろ馬鹿。本当お前自分の身体の事心配しろ」

「(…保護者だ…保護者が此所にいる…!)」

「こら待て逃げるな!」

「ギャー!」





そろりそろりと逃げ様とした私の頭(てかポニーテール)をガシッと掴んだレン

もげるぅぅう!髪がもげてしまう!←





「「…」」

《あの人が、レンさん…》





レンの手から逃げ様とする私を、蒼華とスイクンは「「またか」」なんて目でこちらを見ている。にしても君達仲が良いんだね。スイクン同士隣りにいると迫力を感じるよ。蒼華の後ろに隠れる様に時杜はレンを見る。表情は戸惑いと疑問を浮かばせている。後は何処か困惑気味に見えるのは、私の気のせいか…?





「よそ見するとはいい度胸してんだな。…どうやらお前は説教しなくちゃ分からないみてーだな!」

「Σあだだだだだだだ!」





視線を時杜の方に向けていたのに気付いたのか、またもやレンはガシッと頭を掴み無理矢理視線を合わせる様にしてきた。やっぱり男の力はいくら私でも敵わなく、簡単に動かされてしまう

おー、引きつった笑みに怒りマークが←

てか目が怖いぞ目が

つーかいい加減助けなさいそこの傍観者達!






「すみませんごめんなさい私が悪かったですとりあえず頭がいたたたた!」

「ったく…」





痛さに声を上げながら謝罪する私にレンは大きな溜め息を吐きながら手を放す

いてぇ、マジでいてぇ←

レンから数歩離れ頭を擦る私に、レンは周りを見渡す。火が焚いている状態の薪、寝ている白亜と黒恋に蒼華とスイクン。一通り見てレンはまた溜め息を零す。幸せ逃げるよレンさん(誰のせいだ





「しかしなんで野宿になってんだよ」

「あ、あはは…だってジム何処にあるか分からなかったから、グルグルグルグル回っていたらいつの間にか空が暗くなっていたって訳だよレンさん」

「確かに場所は分かりにくい所にあったが…だったら何で連絡入れねーんだ。連絡くれれば向かいに行ってやったのに」

「いやぁ、なんか悪いかなって…」

「…何でそういう事には謙虚になるんだ。いや、お前は謙虚過ぎるだろ」

「あ、あはは…」





レンの呆れた目線から逃げる様に視線を逸らす。連絡をしなかったのはただ単にレンの存在を忘れていただけであって、けして謙虚になってない。…そんな事言ったらきっと怒られる確実に←

それにレンはカツラさんと取り込み中だった。そんな中で、空気の読めない行動は絶対にしたくない





「とにかくミリ、こんな寒い場所で風邪ひく前にさっさと此所を片付けて行くぞ。向こうで炎タイプのポケモンで温かくなっているぜ。カツラが心配していたしな」

「え、こんな夜に行って良いの?…何か悪い気がする…迷惑かかるから遠慮するよ」

「…遠慮し過ぎだろ。お前の悪い癖だぞ、それ」

「いや、だって…ねぇ?」

「…はぁ。ったくしょうがねーな」





頭をガジガジ掻いたレンは、つかつかと私の所に近寄る。丁度その時視線を逸らしていた私は遅れてレンが近付いている事に気付き、レンを見上げた

…同時に浮遊感が私を襲った





「……(゜゜」

「クッ、面白いな。つーかお前軽過ぎるだろ。ちゃんと飯食ってんのか?」






地面から離れた足

私を支える二本の腕に、逞しい胸板

結構至近距離な、レンの顔



…アレ、なんで私冷静に分析しているんだろ。これってつまりあれでしょ、お姫様抱っこで……えぇぇぇえええぇえ!?なんでこうなった!つーかデジャブな気が…!






「ちょ、お、降ろしてぇぇえ!いやぁぁあ羞恥で死ぬ!溶ける死ぬ!」

「スイクン、悪いがねんりきでミリの荷物まとめてやってくれ。蒼華はその寝ている二匹を運んでくれ」

「「…」」

「は、離せレン!この…!」

「おーっと、そんな弱い力で俺に敵うと思うなよ。無駄な抵抗は止めときな。…じゃないとその口、塞ぐぜ?」

「なっ…!?」





ジタバタともがく私に、レンは不敵な笑みで笑う。しかもその不敵な笑みのまま、スレスレまでに顔を近付けてきて肩を抱いていた手を、私の唇に持ってきて爆弾発言投下

男の免疫があまり無い私にはかなりの攻撃になり、顔を真っ赤にして言葉を詰まらせる。前にもこんな台詞を聞いた気がするが、あの時よりもなんかレンが艶やかに見えてしまうのは、きっと多分絶対月明りのせいなんだ

黙った私に満足したレンは不敵な笑みのまま、声を押し殺して笑う。悪態をつきたい私を余所に、荷物をまとめたのスイクンが歩み寄る





「…」

「お、サンキュー。さて、それじゃさっさとジムに行くとするか。蒼華、お前は俺達の後に着いて来てくれ」

「…(頷」

「(…あれ?そういえば時杜の姿が見えない様な…)」

「行くぜ!」

「え、ちょ、…えぇぇぇえ!?」













(あ、やば舌噛んだ)



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