皆がいる場所に戻った私は、結界を解いて皆と無事再会をした。お腹がいっぱいなのか寄り添って眠っている白亜と黒恋に、その二匹をまるで親の様に寄り添う蒼華に、その蒼華の背に座る時杜。私の姿を確認した時杜は安堵の笑みを浮かべながら私の所に飛んでくる





《おかえりなさいミリ様!》

「ただいま〜」





時杜の身体をフワリと抱き締めながら蒼華達の方へ歩み寄る。月明りだけで周りは暗いのに、明るく見えるのは蒼華の額にあるクリスタルが月光に反射されているせいかもしれない。私は蒼華の頬を撫でた後、仲良く眠っている二匹の背中を撫でる

…かなり熟睡しているみたい。やっぱりふたごじまをグルグル回ったから疲れたんだね。気持ち良さそうに眠りやがってコイツぅ←





「さて、ジムの場所を発見したけど、どうやら取り込み中みたいだから今回は此所で野宿だよ」

「…」

《取り込み中って…それはレンさんが?》

「うん。きっとレンがカツラさんに色々聞いているんでしょうね。その内分かる事だから、あまり探らないで帰って来た」





説明をしながら回りに薪になる物を探す。それらしき物を発見し、超能力でこっちに持ってこさせる。浮遊している薪を一ヵ所に集めて、パチンと指を鳴らす。すると火花が散り、パチパチと火が焚け始める

この力があれば道具なんて不要なのさ!(エコだよエコ)(時杜が拍手をしてくれた)(照れる)

そして私もそろそろご飯を食べねば…←





「…」
《その力は元々の力なのか?》

「え?あぁ――さっきの?」

《昔の【貴女】は、一度もその様な力を見せてくれた事はありませんでした。だから…少しびっくりでして》

「あー、そういう事ね。力はあってもね、扱い方が分からなかったんだよ。多分」





まだ記憶全て引き継いでいないから分からないけど、と言いながら携帯食の封を開けて暖める作業に入る

これこそ旅の醍醐味←





「私自身の場合、【異界の万人】になってからしばらく経ってから、修業として様々な世界に足を運び、色々な力を見て、学んできたの。面白い事に同じ力でも世界が違うと、名前もその使い方も異なっているんだ。…さっき見せたのはそれらを自分流にアレンジして使ったんだ。でも、元は【異界の万人】の力には変わりはないけど」





此所まで言って、ふとあの頃が懐かしく感じる。力の使い方が分からなくて苦労していたあの頃の私。時には力が暴走しちゃって困ったり、力を使い過ぎちゃってへばったり。そしてそれを繰り返して修業していく中で、何処の世界も力の源は一緒なんだと―――

それから力を有効活用をし始めた私は、様々な点で大いに助かっている

後から来る副作用には参るけど、ね





「あの時の【私】は、色んな世界に行っていた?」

《僕の知る限りでは、そんな話はありませんでした。ね、蒼華》

「…(頷」

「え、そうなの?」

《はい。当時昔の【貴女】が生きていた時代は人間とポケモンが共存をまだ出来ていなく、ポケモン同士が戦いあっていた殺伐とした時代でした。その時代を無事に終え、平和が来ても…ミリ様が言う異世界の話は耳にしませんでした》

「…ちょっと待った。一体どれ位昔なのその話は」

「…」
《話せば長くなる》

《後、その殺伐とした時代に終止符を打ってくれたのは、当時【異界の万人】の力を目覚めさせた昔の【貴女】でした》

「え、えぇぇぇえ」





新事実、発覚

…なんか、時杜の話はどーも有り得ないと思っちゃうんだよね〜。ほら、私ってゲームとかアニメとか見ちゃっているからさ。平和じゃん?見てると。如何にもポケモンと人間は仲が良いよ〜って

にしても人間とポケモンの共存していない、ポケモン同士が争っていた時代か…





「…今はこうして分かりあえているから、それが当たり前だと思っていた。でも昔はそうじゃないもんね…。とりあえずいただきま〜す」

《弱肉強食、強い者が生き残れる。まさにそんな時代でした。酷かったのはやっぱり僕達ポケモンでした》

「…」
《数多の血が流れたな。我ら同胞の仲間や、巻き込まれた人間も。数多くの命を消していった》

「…この世界も、同じね」





ズズズズッ、と携帯食のミートスパゲッティをすする。音なんて気にしない←

何処の世界も争い事は付き物なんだなぁとしみじみ感じる。争い事は一つの大きな試練、生きとし生けるもの全てに課せられる。昔みたいな争い事にならないように、と英雄の者達の姿を見て未来に進む事が出来る。同じ過ちを繰り返さない為に。だから時代に進むにつれて法律などが生まれてくる

ポケモンの世界も、だから今こうして平和なんだ

多分






「…で、終止符を打ったのは昔の【私】なーんて言ったけど、実際の所はどうなの?」

《闇夜が満月の夜に照らされていたあの時。ポケモン達が争い血を流していく中で、昔の【貴女】が現れた。三対の白銀の翼を生やし、神々しい光を浴びながら――今や神話に描かれているポケモン達…もちろん僕らもを従えて、共に争い事を静めさせました》

「………は?」





ボタッ、手にしていたフォークが地面に落ちる(食べ終えていたから良かった

私は時杜を凝視した






「…これがある種の物語だったら、へぇ〜って感じで聞き流せれるけど…実際は、何であれ【私】なんだよなぁ…うわっ、嘘でしょ?」

「…」
《事実だ》

「…それで、その後は?」

《僕らの仲間の力を最大限に駆使し、争っていたポケモン達を静めさせた【貴女】はご自身の力で荒れた大地をその力で直し、傷付いた身体を癒し、さらに歪んだ空気を浄化をしてくれました。そして【貴女】は生きるもの全てにポケモンと人間は分かりあえる事を、教えたのです。それからその後は、皆お互いに生きる事を選んだのです》

「……」
《それが終止符だ》






うわー…

未だに信じられない事だらけで、頭がどうも追いついてこない。でもアレ【私】であって私なんだよなぁ…その内記憶が思い出せたら納得するかもしれないけど…えぇぇぇえ←

それに早くに昔の【私】の話を聞けるなんて…いつもはそんなことは無くて、自力だった。調べるものを調べたり、結構苦労したもんだ(遠い目)






「…こうも早くに自分の話が聞けて良かった。色々聞きたい事だらけだ。けど、まだ…」

《分かっています。今は目の前にある事を専念して、それからゆっくりと進んで下さい》

「…」
《記憶は逃げない》

「あはは、ありがとう」






記憶なんて今は要らない

今はまだ、昔の【私】を知る必要もなければ思い出す必要もない

今はただ、前に進むだけ









ピピピピピピピピ…





「ん?」

《バックから、ですね》

「…ポケギアかな?」





不意にバックから音、てか着信が鳴り響いた

バックをガサガサあさって取り出すと案の定ポケギアからで、着信に「レン」という名前が表情されていた

あらあらあら





「レンからだ」

「…」

《…!》

「こんな時間にどうしたんだろ…」






とりあえずボタンを押した






「もしもし〜」










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