時間も丁度良い頃合になり、私達は家を出発した。草かげに野生のポケモン達が見送ってくれた事に驚きながら笑顔で手を振り、蒼華の背に乗って私達は駆け出した 過ぎ去っていくマサラタウン、そして水道に入り視界に広がるのは青い海に頑張って泳ぐ人達。白亜と黒恋は楽しそうに眺め、私は肩にいる時杜に現状報告をした 「と、いうわけですよ」 《そう、でしたか…。あの聖地の湖は何処よりも安全な場所だったのに、まさかお二方はそんな事になっていたなんて…》 信じられない気持ちでいっぱいな時杜は、シュンと触角を下げる 時杜には全てを話した 白亜と黒恋の事に、あのナズナについて。それにもちろんレンの事も。今バッチを集めているのは白亜と黒恋の成長を兼ねて。私が何処まで思い出せたのか諸々 「私が一番その事件で知りたいのは、ナズナがどうやって聖地に入ってあの子達を連れ出したのか。聖地は【異界の万人】の私や、【万人】に認められた者以外はけして足を踏み入れる事は出来ない。…後はロケット団を逃走した理由とか、ね。最後まで責任持って追求していきたい」 《だから、僕の力が必要なのですね》 「そういう事。私自身力はあるにはあるけど確実に出来るのは時杜の力。干渉はせずに見るだけで充分。私のはそうもいかないからね…その内、使わせてもらうよ。【時空と空間を司る力】を」 《はい!喜んで僕の力を使って下さい!》 「助かるよ」 時杜の力は有効活用すればかなり便利になる力だからね。時空を開けてくれれば好きな時間に巡れるし、空間を開けてくれれば好きな場所にも行けれるし ディアルガもパルキアも顔負けだぁ← 「綺麗だね」 海面を走って行く蒼華が起こす風に乗って潮の匂いが鼻を過ぎる。海の向こうは果てしなく、空にある太陽の光が海に反射して地平線がキラキラと輝く。キャモメやペリッパーが空を飛び、海にはドグクラゲやメノクラゲやタッツーが仲良く列に並んで泳いでいた ドグクラゲやメノクラゲが触角でこちらに手を振ってきたりタッツーやギャラドスが弧を描いたり(すげぇ)、水飛沫から虹が出てきたり、まるでイリュージョンを見ている様だった。白亜は喜び、黒恋は目を輝かせ、時杜は笑い、蒼華はフッと笑う 「いいもの見せてあげる」 「「ブイ?」」 ――――パチンッ 私が指を鳴らせば水飛沫で出来た虹が一本道に変化して、それがまっすぐに空に向かっていく 蒼華は海面から虹の道に飛び乗ると、道を飛び越える様にトサキントやテッポウオが空を跳ぶ。私達はそのポケモンの道を進んで行った まっすぐに、あの果てしない空を 「力はこういうのにも使えるんだよ」 「「ブーイ!!」」 「…」 《すごい!すごいですミリ様!》 キャモメが一列に並び、ペリッパーがそれに続く。私達が手を振ればキャモメ達も手を振り、ペリッパーは口から水を噴く 海を見下ろせば私達の後を追う様にポケモン達が列を成していた。あり得なくて面白い光景に私達は笑うのだった 「あ、アレがグレン島かな」 虹の道を走って行くと、徐々に見えてきたとある島 ポケギアを取り出してマップを開くと、確かに「グレン島」と表記されていた 「「「キャモー」」」 《ミリ様、キャモメ達が言っています。火山が噴火して殆ど街が無くなってもう人はいないそうです》 「ペリー!」 《センターならあったぜ!》 「センターは無事なんだ…。なら、ふたごじま!ふたごじまにいるって話は聞いたよ!」 「キャモー」 《人はいるよ〜》 「ペリッパ〜」 《頭が眩しいよ〜》 「…それ、誰だかすぐに分かっちゃったよ。絶対それカツラさんだって」 「「ペリッパー」」 《カツラは被ってなかったよ〜》 いや、そういう意味じゃなくて 「グレン島はまた後で観光と言う事で、まずはジム戦をちゃちゃっとやっちゃいましょうか!蒼華、虹の道の方向をふたごじまに変えるからそのまま走って頂戴!」 「…」 《承知した》 「ブイブイ!」 《ジム戦頑張るぞ!》 「ブ〜イ!」 《お〜!》 にしても今の状態ポケモンのパレードみたい。かわいい → |