現在美莉は目の前の光景に我が目を疑っている。いつもと変わらない光景なのだが、明らかおかしい。いや、おかしすぎるのだ。笑えるのか笑えないのか分からないその光景に、美莉は仕方なく恐る恐る、原因なるものに声を掛ける





「あー、えーっと、元就?さっきから一体何しているの?」

「そなたか…。我はこの通り、そなたが今見ている通りの事をしているまでぞ。何もおかしな真似はしてはおらぬ」

「…いや、私の目が正しければ現在進行形で貴方おかしいって」

「なんと。これの何処がおかしいと言うのか」

「いちいちソルロックがレベルアップするたび『日輪よ!我に加護よあれ!』って叫ばれちゃ誰だっておかしいよ」





現在美莉の目の前にいる男、名を毛利元就と言われる男は今物凄く子供達に大人気な『ポケットモンスター』のゲームにハマっている。彼の性格からして、まさかゲームに、しかもポケモンにハマるとは誰が予想したか

事の始まりは一つのカセットを手にした事から始まった。ゲームの存在を知り、家にあるゲームを勝手に物色していた元就の手に、かなり昔に遊ばれたグリーンバージョンが目についた。同色だからか、そうじゃないのか。気に入った元就は美莉に使っていいかと聞いた。美莉はポケモンが大好きで、まわりからポケモン博士と言われる程のポケモン愛好家、元就がポケモンを気にかけた事を嬉しく感じ、すぐにOKと返事を返し、ゲームを薦めた

しかし元就の事だからやりはじめればすぐに「くだらん」と言って放棄するかと思いきや、なんと見事ハマってしまったらしい。グリーンバージョンはすぐにクリアをして、着々と図鑑を完成していった。そこまでくると流石に飽きた元就は別のカセットを物色していくと、今度目に止まったのはエメラルド。やっぱり同色なのか。ちょっと気になってしょうがない

もちろん美莉からOKの返事を貰い、初めからにして最初のポケモンであるキモリを選んで進めさせた元就であったが…





「…ねぇ元就。グリーンバージョンではかなりバランス良く育てていたよね…何故草タイプしかいないんだよちょっと」

「何を言う、そなたの眼は節穴か。いるではないか、別たいぷが」

「ソルロックだね。うんソルロックだけだよね。しかもなんでソルロックだけレベルはんぱないのさ」





エメラルドには気に入った草タイプがいるのだろうか。明らかバランスがヤバい。アンバランス過ぎだろう

ちなみにバッチが現在八個目で四天王挑戦前の元就の手持ちは…





ジュカイン Lv:60
キノガッサ Lv:55
ルンパッパ Lv:53
ダーテング Lv:50
トロピウス Lv:54
ソルロック Lv:90..






どんだけレベル上げているんだ







「…あぁ、元就らしいや。ソルロックの名前だけ日輪とかって」

「我のべすとぱーとなーぞ。伊達のるなとーんなんぞに負ける日輪ではないわ」

「え、君達いつから張り合ってんの?」





仲がいいのか、対抗心なのか好奇心なのか。元就がポケモンをやり始めた途端、釣られる様にまた一人と気に入ったカセットを物色していって、今では一人一個はプレイをしていた。しかし、カセットはあっても機械はちゃんと揃っている美莉の財力に感服だ。この際気にしない方向でいくが





「さて美莉よ。我はこれから"みくり"とやらを知略を駆使して攻略して見せようぞ。さぁ、日輪よ!我と共に馳せ参ぜよ!」

「あー、頑張って」





小さなゲーム機に食いついて離れない毛利元就を、誰が予想したか。冷徹と恐れられている元就を知る家臣達が彼の姿を見れば、一体どんな反応を見せてくれるのだろうか

何せ今の元就は戦国武将の毛利元就ではない――ポケモンにハマってしまった、ただ一人の元就に過ぎないのだから











毛利元就

彼は草ポケモン+@の使い手








ただしかし、ミクリという存在を直に会った事がある美莉は、ミクリに合掌するしかなかった。ドンマイ

終わる
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