「ニンゲンちゃんの家って広いよね〜」
それはヒャクパーを家に招待したある日の事だった。ヒャクパーはイースターエッグの家具で揃えられた俺の部屋を見回し、羨ましそうにそう呟く。この島ってお金を稼いでもそんなに使い道がないからな。金が貯まったら増築してるし、他の住人達の家よりは大分広いと思う。
「今度は二階を作ろうと思ってるんだ」
「え〜!? また増築するの!? いいなぁ〜…。二階が出来たら真っ先にアタイに見せてよね! みかん」
「いいよ」
「約束だからね! …あっ、そうだ! こんなに部屋があるんだし、二階はアタイ専用のゲストルームにしちゃってもいいんじゃない? なんてね!」
クスクスと可愛らしく笑って、ヒャクパーは俺の反応を窺っているようだった。とりあえず二階建てにしたいって思っただけで、そこをどんな部屋にするかはまだ決めてなかったんだよな。うーん…ヒャクパー専用のゲストルームかあ。
「それもいいかもしれないなあ」
「…えっ?」
「そうと決まればまずはヒャクパーのポスターを買えるだけ買ってきて…それから、オレンジの家具を揃えなきゃ。オレンジってこの島じゃ見かけないけど、他の島に行けば取れるのかな。よし、とりあえずポスター買い占めてくるね」
「わーっ、ニンゲンちゃん待って待って!? じょ、冗談だから! 本気にしないでってば!」
「え、なんだ冗談だったのか。いいアイディアだと思ったのに」
「ニンゲンちゃんって真面目っていうか、結構天然だよね…時々びっくりするよ、みかん」
ヒャクパーとはよく遊ぶし、ちょうどいいと思ったんだけど。「ヒャクパー専用じゃなくて、皆と遊べる部屋にしようかな」って呟いたら、ヒャクパーは「それがいいと思うよ」と苦笑いを浮かべていた。
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