詰め合わせ | ナノ
赤血球(AE3803)は先輩らしくなりたい



私が新たに教育を任された、新人赤血球の後輩くん。後輩くんは地図を見るのが好きみたいで、赤血球になって間もないにも関わらず地図を見なくても迷わずに配達先に行けるようだった。私が教育係を任される新人さんってどうしてこんなに優秀な赤血球が多いんだろう…?


「後輩くん、今日も頑張りま…頑張ろうね!」


私の励ましに後輩くんは「はい、頑張ります!」と笑顔で答え、荷物の入った箱を両手で抱えた。それから「今日の配達先は何処ですか?」と続ける後輩くんへ向けて、私が「えっと、まずはね…肝臓の細胞さんに―――」と配達先を伝えようとした、その時。

突然大きな揺れが私達を襲ったかと思えば、血管内皮細胞にヒビが入って…そこから細菌が飛び出してきた。わわわ…大変! 早く後輩くんを連れて逃げなきゃ…! 私が後輩くんに声を掛けようとしたら、後輩くんは小さく舌打ちをして荷物を置き…細菌に向かって勢いよく飛び蹴りをした。ええええ!?


「後輩くん!?」

「テメェみたいな細菌ごときが赤血球先輩の鈴を転がすような美しいお声を遮ってんじゃねえよ!」


普段は穏やかで心優しい後輩くんだけど、細菌が現れると今みたいに蹴りを入れたりする。もしかしたら反撃されて殺されちゃうかもしれないのに、細菌をちっとも怖がってないみたい…。攻撃自体は細菌には効いていないものの、赤血球が攻撃してくる事に驚いて怯んでくれたのか、私達の逃げる隙が生まれた。「今のうちに逃げましょう、先輩!」という後輩くんの声に頷いて、私は走り出した。


「先輩そっちじゃないです!」

「あっ、ご、ごめんね!」


後輩くんに服を引っ張られて気付いた。わ、私また道間違えちゃってた!? 後輩くんが私の前を走って、私はそれに着いていく。後輩くんは時々こっちを振り返って私が居る事を確認してるみたいだった。うう…。私、先輩なのに…後輩くんに気を遣われてる。後輩達がみんな優秀な赤血球ばかりでつらいよぅ…。

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リクエストBOXより
『赤血球(AE3803)先輩、大好きです!』の赤血球(AE3803)視点。

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