詰め合わせ | ナノ
キョンシー三兄弟を召喚した



突然ですが、オレの前世は陰陽師なんです。――なんて言って誰が信じるんだろうか。今朝、庭で短刀達と遊んでいる最中に何故だか急に陰陽師だったという前世の記憶を取り戻したのだ。現世の記憶は思い出せないのに、前世の記憶が甦るというね。どうせなら現世での記憶を取り戻したかったような気もしたけれど、そんな事を言ったって仕方がない。

前世のオレはそんなに有名なわけではなかったけれど、まあ、そこそこの実力を持った陰陽師だった。多くの式神とも契約していて…ああ、あいつらはオレが死んだ後どうなったんだろう。他の陰陽師とでも契約して、そいつと上手くやっていけただろうか。オレが気にする必要もないくらい逞しい奴等ばっかりだったけど、主としてはあいつらがあの後どうなったのかはすごく気になった。急に死んじゃったからな、前世のオレ。お別れとかも言う暇なかったし…。


「…どうにかして呼べないかな」


審神者部屋のゴミ箱を漁り、オレが書き間違えて駄目にした書類のうちの一枚を引っ張り出した。それを適当な大きさに切って、白紙だった裏側に筆で紋様を書いてみる。これを霊符代わりにするのはかなり無理がある気はするけど…駄目で元々、やってみよう。目を閉じて、唱えてみる。すると…。


「…え?」

「あれー? ここは? 俺ら、どうしてこんなところに?」

「ちょっと兄さん、僕の上から退いて!」

「あーー!? ソラだ! お兄ちゃん、ソラがいるよ!」


キョトンとして状況を理解していないキョンシー兄、そしてそんな兄の下敷きになってしまっているキョンシー弟、それからオレの存在に逸早く気が付いてオレに飛び付いて頬擦りしてきたキョンシー妹。…間違いなく、陰陽師だった前世でオレの式神だったキョンシー三兄弟だ。まさか、こんな落書きみたい(みたい、というか本当に落書きなんだけど)な霊符で呼び出せるだなんて思わなかった。


「あっ、ソラじゃねえか! 何してんだ?」

「兄さん聞いてる!? さっきから僕のこと踏んでるから、動けないんだよ!」

「ソラー、会いたかったよーっ!」


…何だ、このカオスな光景は。とりあえずキョンシー妹の頭を軽く撫でてやった後、いまだにキョンシー兄の下敷きになっているキョンシー弟を救出してやる。三人にこんな事になった経緯を説明しようとした時、騒ぎを聞き付けたらしい刀剣達がばたばたと部屋に向かって駆けてくる足音が聞こえてきた。…ちょっとした思い付きを実行したせいで、面倒な事になりそうだ。オレは深い深い溜め息を吐き、刀剣達に三人の事をどう説明しようかと考えた。

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リクエストBOXより
・一血卍傑 陰陽師 刀剣乱舞固定夢主の前世が独神だったり、陰陽師だったりが読んでみたいです。ある日前世の記憶が蘇って呼んでみたら来れちゃった。
・アプリゲーム、陰陽師をお願いします!

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