詰め合わせ | ナノ
ネスは子供扱いされたくない



*ネス視点



ソラは昔からどうもぼくを子供扱いする節があった(まあ、確かにぼくは"昔"を語るほど生きてもいないし、世間からすればまだまだ子供なのだろうけれど)。子供扱いといっても、それは別にぼくを馬鹿にしているだとかそういう意味ではなくて、弟のように可愛がってくれるという意味だ。ただ、ぼくにとってはそれがどうしようもなく不満だった。

だってソラとぼくは同い年だ。もっと詳しく言うと、彼は同じオネットで生まれ育ったぼくの幼馴染みで…そして、これは皆には内緒なのだけれど、実は恋人でもあるのだ(でも、ポーラ辺りにはもしかしたらバレているかもしれない。女の子というのはそういう事に対して驚くほど敏感だ)。もしも歳が一つでもソラの方が上ならまだ分かるけれど、どうして同い年なのに子供扱いされなければならないのか…そう不満に思いながらも、ぼくがそれを口にする事は今までで一度たりともなかった。


「ネス」


幼い子供に話しかけるような、優しい声でソラに呼ばれた。ぼくがソラに歩み寄ると、ソラは嬉しそうに笑って「よしよし」と帽子の上からぼくの頭を撫でてくる。ほら、そうやってまたぼくを子供扱いする。でも、やっぱりぼくは何も言わなかった。…ぼくを子供扱いする時の、ぼくを見つめるソラの目が好きだったから。ぼくを"愛しい"って目でみてくれる、ソラのその表情が大好きだったから。この顔を見る為なら子供扱いされる不満だっていくらでも我慢出来てしまう。惚れた弱み、というのはこういう事をいうのかもしれない。


「ネス、どうしたんだ。何か言いたげじゃないか。何か不満でもあるのか?」


ソラは他人の感情を読み取る能力に非常に長けていた。それはぼくと同じく、ソラが超能力を使える事が少なからず影響しているのだと思う。不満を顔には出さないように努めていたつもりでも、ソラの前では無意味だ。ただ、ぼくが不満に思う理由まではさすがにソラもわからないようだった。いつもこうして不満を指摘されるが、その度にぼくは曖昧に笑って適当にはぐらかす。


「何でもないよ」

「本当に? …あ、もしかして頭撫でられるのそんなに好きじゃなかったとか? だとしたらごめん、今まで毎日のように撫でてたよな」

「うーん…別に、きらいじゃないけど」

「けど?」

「…抱き締められる方が、好きかも」


照れたように笑って、ぼくはソラの顔色を窺う。ソラは少しびっくりしたように目を丸くした後、ぼくの背中に腕を回して抱き締めてくれた。ぼくよりもソラの方が背が高いせいで(ひょっとしたら、ソラがぼくを子供扱いする理由のひとつはこれなのかもしれない)、ぼくはソラの胸に顔を埋める形になる。無地の黒いシャツから、洗剤の匂いに混じってほんのりとソラの匂いがしていた。


「ネスは抱き締められるのが一番好きなのか?」

「さあね。…何だと思う?」

「んー…」


ぼくの背中を撫でながら、ソラはぼくの問いかけの答えをしばらく考え込んでいた。その間ぼくはソラの胸に耳をくっつけて、心音を聞いていた。どくん、どくんと一定の間隔で聞こえるその音が妙に心地好くて、ぼくが目を閉じた時…ソラはぼくの肩に手を置いて、ゆっくりとぼくを引き剥がしてしまった。もう少しあのままでいたかったのに、と拗ねたように口を尖らせたぼくを見てソラは小さく笑う。それからぼくに顔を近付けて…ちゅ、という音を立ててソラはぼくの唇を奪った。


「どう? ネス、正解?」

「…正解だよ、ソラ」


ソラに頭を撫でられるよりも、抱き締められるよりも…キスをされるのがぼくは一番好きだった。ぼくはキュッとソラのシャツを握って背伸びをする。そして静かに目を閉じれば、再び柔らかな感触が唇に下りてきた。…やっぱりソラから子供扱いされるより、こうして恋人扱いされる方がずっといい。

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リクエストBOXより
スマブラもしくはマザー2で攻め主で、幼なじみ男主×ネスの甘々夢をお願いします。シチュは、ネスと恋人同士かつ男主もPSIが使える超能力者設定で、ネスが男主にひたすら甘えてイチャイチャする感じで。

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