詰め合わせ | ナノ
小野沢悠貴と中学生になる



*震災から数年後、悠貴生存で中学生になった設定。男主と悠貴は恋人同士。


悠貴は昔から他人の顔色ばっかり窺って、何でも一人で抱え込むような奴だった。自分の事よりも周りを気遣う奴だった。小学生の頃から家族に対しても遠慮しているくらいで、俺はその頃から悠貴を支えてやりたいと思っていたんだ。


「悠貴ぃー」

「わっ!?」


横から悠貴に抱き着けば、悠貴は困ったような、照れたような笑顔を見せる。俺達は今、互いに中学校の制服に身を包み、放課後の教室にいた。クラスメイトは部活に行ったり家へ帰ってしまったようで、教室には俺と悠貴の二人きりだ。…東京を襲ったあの大震災から数年経ち、俺達は中学生になっていた。全てが元通りになったわけではない。あの時に失ったものは多かったけれど…俺達はこうして生きている、ちゃんと笑えてる。


「もう…なに、ソラ?」

「んー…お前と一緒に中学生になれて良かったなって思ってさ」


悠貴はあの震災で生死を彷徨ったらしく、緊急手術まで受けたのだとか。…本当に、生きていてくれて良かったって思う。悠貴を抱き締める腕に力を込めると、悠貴は遠慮がちに俺の方に体重を預けてくる。


「ぼくもそう思ってるよ」

「なあ、悠貴」

「ん?」

「好き」


少し驚いたような表情を浮かべる悠貴に、俺は「大好きだよ、悠貴」と続ける。こうしてお前に想いを伝えられるのが嬉しいんだ。お前の隣にいられる事が、俺にとってはとても幸せな事なんだ。


「だからもっとお前は俺に甘えろ、遠慮すんな。嫌な事とかあったらすぐ俺に言え」

「急にどうしたの?」

「別に。ただ何となく伝えたくなっただけ。…伝えられる時に伝えとかないと、後悔しそうだし」


ぼそぼそと呟くと、悠貴は「そう、だね…」と複雑そうな顔をしながら言葉を返してきた。悠貴も震災の時の事を思い出しているのかもしれない。


「ぼくもね、ソラの事が好き。今、ソラが隣にいてくれてすごく幸せだよ」


そう言って嬉しそうに悠貴は微笑んで、俺を抱き締め返した。高校生になっても大学生になっても、そして大人になっても…この幸せがずっと続きますように。俺はそう願いながら、悠貴の額にキスを落とした。

--
リクエストBOXより
東京マグニチュード8.0で攻め主で幼なじみ男主×小野沢悠貴の甘夢を読んでみたいです。シチュエーションは悠貴は生存してて男主とは恋人同士な設定でお願いします。

prev / next


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -