詰め合わせ | ナノ
ノキオとボルトとの日常風景



「ちなみに言っとくとソラはオレに惚れてるから。狙おうとしても無駄だぜ?」


ノキオが俺の肩を抱いたまま、転校生に向かってそんな事を言っていた。誰が誰に惚れてるって? 一体何を言ってるんだ、この自称ロボ野郎は。勘違いも甚だしいよ。転校生は呆れたような顔をして「何言ってるんだよ、狙わないよ」とノキオにツッコミを入れた後、俺を見て「あっ、別にソラくんが嫌いなわけじゃないからね!?」と慌てたように付け足した。律儀だな、転校生。いい奴オーラが滲み出てる。この竜宮小ではいろいろと苦労しそうだなんて考えていると、さっきまで床を泳いでいた亀がスッと立ち上がってこちらへ歩み寄ってきた。


「──ちょっと待つまんねん! 今のは聞き捨てならないな…ソラが惚れている相手はオレだッ!」


その亀…ボルトは俺からノキオを引き剥がし、俺を力強く抱き締める。やめてくれ、お前は加減を知らないから苦しいんだよ。ノキオは「いやいやいや、冗談よせよ。ソラはこの美しきビューティフルマシン、ノキオに惚れてるんだ。いつもそう言ってるだろ?」と俺を取り返そうと俺の腕を掴んで引っ張ってくる。


「ちょっ、離せよボルト! ソラの事は諦めろって!」

「ッアアァアアア!!」

「怖っ!」


ボルトが甲高い奇声を発し、俺を抱き締める腕に更に力を込める。本当に苦しい。潰れそうだ。ノキオも負けじと俺の腕を引っ張ってきて痛いし…これだからコイツらに絡まれるのは嫌なんだ。転校生は困惑しながらも「いい加減やめなよ二人とも! ソラくんが苦しそうだろ!?」と止めに入ろうとしてくれるが、二人が止まる気配はない。ギャーギャーと騒ぎながら俺の取り合いをしている二人に段々と苛々が募っていく。


「…二人のこと、嫌いになりそう」


溜め息混じりにボソッと小声で呟いた言葉はどうやら二人の耳に届いたらしい。二人はハッと我に返ったように慌てて俺を離し、「悪かったって、そんなに怒るなよ!」「ソラに嫌われたら、オレは、オレはッ…イヤァーーッ!!」だとか言いながら(ボルトは相変わらずよく分からない)俺の顔色を窺ってくる。俺はそんな二人に無表情で「しばらく二人とは口利かないから」と冷たく言い放った。その場に崩れ落ちる二人を完全無視し、俺は自分の席に座り直して本日何度目かの溜め息を吐いたのだった。


(…えっ? えっ!? 何この状況!? ソラくんめちゃくちゃ怒ってるみたいだけど、いいのかな!?)
(この三人は常にこんな感じですよ、名作くん)
(もっもっもっ! こんな感じだよねぇ〜)
(あっ、むすびとスウィーツ居たんだ!? いつもこんな感じって…ノキオがソラくんの事を無愛想だとか言ってたのって、これが原因なんじゃないかなぁ…)

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