「あ、中原さんおはようござ、ぃだだだだだっ!?」
朝、オレが食堂に向かうとそこには中原さんの姿があった。こんな時間から酒をあおっているのはいつもの事だし、やめるように言うと機嫌を損ねるだろう事は目に見えている。朝から飲んだくれている事には触れずに挨拶だけしたんだけど…中原さんは無言でこちらに歩み寄ってきたかと思えば、オレの頭をぐりぐりと乱暴に撫でてきた。…撫でるというよりかは潰そうとしている、という表現の方が正しい気がするけど。
「い、痛いって中原さん! 潰す気か!」
「おー、潰れちまえ」
「痛い痛い痛い、今より背が縮んだらどうしてくれるんですか…!」
「それが狙いだからなあ〜?」
いくら痛いと言ってもやめる気配がない中原さん。鬼かよ。地味に痛くて鬱陶しいこのぐりぐり攻撃…実はこれが初めてなわけではなかったりする。というか、中原さんはオレの顔を見る度にこの攻撃を仕掛けてくる。…オレより身長が低い事がよっぽど嫌なんだろうか。
「ぅおらおらおら!」
「そんな全力で潰そうとしないでもらえます!?」
「お前の背がオレより縮んだら考えてやるよ!」
「ぐ…っ!」
今日の中原さんは一段としつこいな!? このままじゃ本当にオレの背が縮んでしまいそうだ。それは困る、物凄く困る。…こうなったら最後の手段を使わざるを得ない。オレは大きく息を吸い込んで、保護者二名(オダサクさんと徳田さん)の名前を呼んだ。
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