刀剣乱舞 | ナノ
燭台切光忠にお説教される



「僕の主なんだから、いつでもかっこよくいてもらわないとね!」というのが燭台切の口癖だ。オレは身嗜みにはそれほど気を遣ったりしてないし、燭台切の考えている"かっこいい主"には程遠いだろう。


「あっ、また寝癖をつけたままふらふらしてたんだね? 髪を梳いてあげるから、こっちにおいで」


早朝に目が覚めてしまい、庭を散歩していたら燭台切に見つかってしまった。誰にも会わないだろうと寝癖も直さずに部屋から出たのがまずかったようだ。


「…部屋に戻って自分で直すから」

「心配しなくてもいいよ、主くん。僕がかっこよくしてあげるからね」


ガシッと肩を掴まれ、強制連行。どうやらオレに拒否権はないらしい。諦めて縁側に腰掛けると燭台切がオレの後ろに回り、櫛で髪を梳いてくれる。いつも櫛持ち歩いてるのか、お前は。


「主くんの髪は綺麗なんだから、ちゃんと手入れしないと勿体無いよ」

「…ん」

「その返事は手入れするつもりないんだろう?」

「…男だし、そんなに気にしなくてもいいんじゃないの」

「男だからって身嗜みに気を遣わないのはかっこわるいよ。君は僕の主なんだから、いつでもかっこよくいてもらわないと」


またこれだ。かっこよくいてと言われても困ってしまう。オレは燭台切のようにかっこよくはなれないのだから。


「主くんは自分に自信がないんだよね。"自分はかっこよくなれない"って決め付けてるでしょ」

「…実際、オレはかっこよくなんてなれないよ」

「主くんはかっこいいよ。僕達を指揮している君の姿はいつもかっこいいからね」


…燭台切にかっこいいって言われたの、初めてな気がする。そんな事思ってたのか…知らなかった。


「だから、僕は普段から君にかっこよくいてもらいたいんだよ! 普段の君は寝癖も直そうとしないし食事は溢すしぼんやりしてるし、もうかっこわるくて見ていられないんだよね! 大体君は…」


ああ…燭台切のお説教スイッチが入ってしまったようだ。誉められたかと思えば結局これか…。燭台切は説教をしつつもオレの髪を梳く手は止めない。しかもすごく丁寧だ。
こうなった燭台切は止められないし、大人しく説教を聞きながら髪を梳いてもらう事にしよう。今日はどれくらいかかるだろうか…オレは朝食の時間までには終わってくれないかな、と願うしかなかった。

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