「浦島ってさ、初めて会った時、オレに竜宮城行かない? って聞いてきたよな」
「行き方はわかんないけどな! でも、主さんと二人で一緒に行けたら楽しそうだな〜」
「行けたらいいよね!」とオレに向かってニカッと笑う浦島。竜宮城か…昔、絵本で読んだような気がする。確か海の底にあるお城だったっけ。浦島はそこにオレと二人で行きたいと…。
「ふと思ったんだけど…それってさ、オレを神隠しに誘ってるみたいだよな」
「…えっ?」
「だって、竜宮城って何処にあるか誰も知らないような海底にあるんだろ。そこに二人で行きたいって事は…」
「ちっ、違う違う! 俺、別にそういうつもりで言ったんじゃないから! 確かに主さんは優しくて好きだけど、俺そんな事しないよ!?」
あわあわ慌てながら首を振って否定する浦島。いや、分かってるよ。そういう風にも聞こえるなーって思っただけだから。
「冗談だよ。でも、確かに浦島と竜宮城に行けたら楽しそうだよな」
「…じゃあ、本当に連れてってあげよっか?」
「え…?」
急に浦島が無表情になり、低い声でそう呟いた。浦島の緑の瞳が怪しく輝き、思わずごくりと生唾を飲み込む。
「…なーんちゃって! 冗談! 冗談だよ、主さん!」
「さっき焦らせたお返し!」と浦島は悪戯っぽく笑った。勝手に焦ってたのはそっちのくせに。この野郎、と頭をわしわし撫で回すと、浦島は楽しそうに笑った。
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アンケートのリクエスト
俺と竜宮城へ行かない?って、行ったら神隠しに等しいよねと浦島に言ってみた時の浦島の反応
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