小説 | ナノ


 甘い嘘 (黄黒)



黒子っちが風邪をひいたらしい。

この事を知ったのは今さっき。

青峰っちがいつも以上にイライラしてたから何かあったんスか、と緑間っちに聞くと「あぁ、黒子が風邪を引いて今日は休みなのだよ…って黄瀬!」

全部聞く前に全速力で体育館を出て彼の家へ向かう。

道の途中にある赤信号でさえ今は無視だ。

とにかく彼の家へ少しでも早く行きたかった。

そんなわけで俺は今黒子っちの家の前にいる。

ピーンポーン…

「…はい」

インターホン越しの声が少しかれている気がした。

「あ、黒子っち?大丈夫スか?」

「…黄瀬くん?」

「お見舞いに来たっス!」

「え…あの…っ、」

「お邪魔するっスよ!!」

黒子っちは薄い水色のパジャマにカーディガンというお決まりコーデ。

だがそんな格好ですら可愛く見えてしまうのは恋の力なのか。

「黒子っち」

「?、何ですか」

「ご飯食べたっスか?」

「いえ…あまり食欲がなくて」

「こういうときこそちゃんと食べなきゃっスよ、待ってて今作るから」

そうは言ったものの、

((風邪のときって何が一番体にいいんスかね…))

そんな事を思いながらキッチンへ向かおうとしていたとき――。

「黄瀬くん」

俺に向かって黒子っちが言う。

「ご飯が出来ても呼ぶまで絶対部屋には来ないでください」

「何でっスか?」

「それは…とにかく来ないでください」

そう言って黒子っちは部屋に向かった。

「んな事言われたら気になるっス、黒子っち病人だし…」

本音を言えば、「来ないで」と言われると行きたくなるものだ。

風邪のときでも甘えてこない黒子に意地悪してみようと思ったのもあるが。

料理なら後でも出来る、そう考え彼の部屋へ向かう。

((よし、入っちゃおう))

「黒子っち〜?入るっスよ〜」

「えっ、ちょ…まだ…っ」

開きかけた扉を精一杯の力で押し返す黒子っち。

でも彼が俺の力に勝てるはずもなく、ましてや相手は病人。

扉は簡単に開いた。

ちょっとした罪悪感を拭い部屋に入る。

部屋はきちんと整理されていて無駄な物は無い。

…彼らしいといえばそのとうりなのだが。

そんな事を思っていたら黒子っちが俺を部屋から出そうとしていた。

((こんな力じゃ無理っスよ))

頑張っている黒子っちを横目に、俺はある一点に目がとまる。

手を伸ばして取ってみると。

「これって…!!」

机の横に置かれたたくさんの雑誌。

どれも黄瀬が表紙だったりインタビューが載っているものだった。

「あっ!!」

必死に取り返そうとして顔を赤くして彼は手を伸ばす。

((あぁ、もう可愛いんだから))

仕方なく雑誌を返し、俺は彼をベッドに運ぶ。

「寝てなきゃ、黒子っち。ほらまだ熱あるみたいだし」

わざと額をくっつけながら言ってみる。

「!!!」

案の定彼はもっと顔を赤くしてベッドに潜り込んでしまった。

((まったく))

「黒子っちー、俺キッチンでご飯作ってるから何かあったら呼んで欲しいっス」

そう言って黄瀬は部屋を出た。

「…やっぱり黄瀬くんなんて大嫌いです」

黒子が小さく呟いたのも知らずに。



甘いのってこんな感じですかね?

初めての作品。

低クオリティで申し訳ないです…。







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