小説 | ナノ


 最高の (青黒)



今日は久々によく寝れた…と思う。

理由はきっとあの電話だろう。

たった5分の短い電話。

だけど声を聞くには十分な時間。

アイツの声聞くと安心するんだ。

どうしてだか分からない、多分相棒として隣にいたから。

もしかしたらそれだけではないかもしれない。

だが今はその思いだけでいい。

俺にとって最高のーー。

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…眠れねぇ。

何でだ?寒いからか?

いや違う、アイツの声が聞きたいんだ。

枕元にあるケータイを開きお目当ての名前を探す。

すぐ見つかったはいいがボタンを押すのに戸惑う。

果たして起きているだろうか。

今は午前2時。

普通は寝ている時間だ。

さつきによると今はゴールデンタイムらしい。

そんなん知らねえよ。

とにかくもしかしたら起きているかもしれない、少しの希望を胸に俺はボタンを押した。

プルルルルという機械音が何度もコールする。

やはり寝ているか…そう思い切ろうとした時。

『…もしもし、青峰君?どうしたんですか、こんな時間に』

「テツか?」

『ボクの電話ですからボク以外ありえないでしょう』

深夜にも関わらず相変わらず冷静な口調でテツは言った。

「あぁ…そう、だよな」

まさか出てくれるとは思ってなかったためどう返せばいいのか。

考えるのはそればかりだ。

とりあえず目的は果たせた、だがこのまま切るのももったいない。

『青峰君?』

だが正直に、眠れないから話し相手になってくれなど言えるものか。

何か話題さえ見つかれば…。

『…切りますよ』

「おい!ちょっと待て!今話題考えてるから!」

…あ、言ってしまった。

『…』

電話を耳に当てるが何も聞こえない。

「テ…テツ、これにはちゃんと理由があって」

せめて説明くらいしようと口を開いた。

しかし。

『もしかして…夜眠れないから話し相手になってくれ、と言うことですか?』

説明するまでもなくそのとうりだ。

「だったら悪いかよ」

少し不機嫌になりながら答える。

『いえ、意外と子供っぽいところもあるんだなと思って。』

あ、頭もでしたねと笑いながら言うテツに俺はあえて突きつける。

「テツだって身長小さいくせによー」

テツが少なからず気にしていることだ。

笑いながら次の言葉をまつ。

『赤司くんに、青峰くんが身長小さいって言ってましたって伝えますけどいいですね?』

笑っていた為か一瞬言葉の意味がわからなかったが、有無を言わせぬ威圧感からかすぐに理解した。

「お…おい!まてテツ!赤司だけは…頼む!今度バニラシェイク奢るから!なっ!」

アイツだけは危ない、もしかしたらこの言葉も赤司には聞こえているような気がして寒気がする。

いろんな意味でドキドキしながら返事を待っていると、くすりと笑う声が聞こえた。

『分かってますよ、赤司くんには伝えません。それより、さっき言ったこと守ってくださいね。』

さっき…。

『シェイク奢るって言ったじゃないですか。』

やっちまった。

『約束ですよ!じゃあまた連絡します、おやすみなさい。』

一方的に電話を切られ、イラっとするが元々こんな時間に電話をした青峰が悪い。

それに声を聞く事は出来たし、会う約束も出来た。

それだけで満足だ。

そう思い、眠りにつこうと青峰はケータイを枕元へ戻した。

電話を切る時に黒子が呟いた言葉を思い出しながら。

『僕も青峰くんの声、聞きたいと思ってました。』





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