結城さんと徹くんの日常 -看病編-




夏野が風邪を引いた。寒いのにもこもこして動きにくいのが嫌だからって薄着で腹とか首もと出して出歩いているせいだと思うこれ間違いない。絶対動きにくいからじゃなくていっぱい着込むと着崩れて格好がつかないせいだと思うこれも間違いない俺の夏野観察眼をなめてはいけない。
そんなこんなで俺は結城家のドアの前に立っているわけなんだが、ドアを開けたところに更なるドアが立ち塞がっているとは夢にも思うまい。しかもそのドアにはノブがない。開けごまと言って開くドアならよかったんだがそうもいかない。どうにかしてご機嫌を取らなければいけない面倒なドアだ。だから俺はこの家に来るのがあまり好きではない。夏野はもういっそ俺の部屋に永住すればいいんだ。

「チッ」
「なにか不愉快な音が聞こえたがどうしたね?武藤くん」
「なんでもありませんよ、早く夏野の看病しに行かなきゃなぁと思ってですね」
「結構だ。息子の看病は親であるこの私が看る」
「料理も作れないのに、結城さんがですか?」
「ぐっ…問題ない、梓が作る」
「結城さんも梓さんもお仕事忙しいでしょう、俺「は」料理作れるので任せて下さい」
「武藤くん、君は今年高校三年生じゃなかったか?受験勉強はいいのか?うちの夏野に構ってないで本来ならば机に向かっているべきではないのか?」
「夏野より大事なことなんてあるわけないでしょうお義父さん!!」
「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!!」
「そこをどいて下さいってば!」
「いやだ、どかん!」
「あんた仕事しろよ!!」
「黙れ!おまえこそ勉強しろダメ学生!!」


「…あんたら、うるさくて寝られないからどっか…いって…」




夏野煩悩なふたりの日常会話






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