[切原視点]








水希先輩は淡々と一点を見つめ
自分の過去を俺に話してくれた




顔は少しだけ和らいでいるものの、
何処か引っかかるものを
俺は少しずつ感じ取っていた。










水希「海の家で赤也が"余裕"って言った時に
色々感情が爆発しちゃって我慢出来なくなった
本当、ごめん」




切原「…でも、俺が無神経な事言ったから」



水希「どんな理由でもここに来た目的は
皆のサポートだし、それなのに空気壊したし」



切原「…そんな事」



水希「だからこの話はもう終わり!
皆にも謝りたいからさ、私行ってくる」







そう言い水希先輩は立ち上がる

俺は咄嗟に水希先輩の腕掴み
離れない様に自分の横に引き寄せた











水希「…え?ちょ、ちょっと!」









切原「…俺、水希先輩の事
知ったきっかけってドラマだった」



水希「…」













切原「"天才は一握り、でも努力をすれば、
何年月日が経ってもいずれ報われる"」



水希「それ…私の…」




切原「俺は、小学生だった水希先輩の
その言葉に衝撃を受けて…
一気に引き込まれたんすよ」




水希「…」






切原「俺、その頃にはもうテニス始めてて。
けど滅茶苦茶弱くて!でも落ち込んだ時に
その言葉を思い出したんです。

[俺は天才じゃない、今すぐじゃなくても
努力を続ければいつか勝ちたい奴に勝てる]って

その言葉を信じて…今の俺がいる」








水希「…赤也」





赤也「監督に何言われたかは知らないっすけど
たとえ芝居と言えあんな胸に刺さるような
演技が出来たのは水希先輩だからっす!

それに救われた奴だっているんだ」




















下を向き拳を握る水希先輩は
静かに涙を流していた











切原「水希先輩は情けなくも恥ずかしくもない。
人を惹きつける魅力もある。
ちゃんと"天才"だったんだ!

…もっと、自分に自信を持ってください」






















きっと水希先輩はずっと
認めてもらいたかったんだと思う。










運が良かったのではなく、
ちゃんと頑張ってたって。









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