※南雲女体化。風介×晴子ちゃん。






『ホ別5 ゴム付きでお願いします☆21歳ですv(^^)v』


ホ別5とは、ホテル代は別で5万、ゴム付きは文字の通りゴムは付けて下さいという意味らしい。

私は今、出会い系サイトを見ている。お金を払って女性と性交をする、所謂"援助交際"というものになるのだが、その、初めて使用する。本当だ。
先月21歳を迎えるも、仕事に追われる毎日で出会いもなく、一人寂しい日々を送っていた。別に彼女が欲しいという訳ではないが、一応、将来奥さんを貰って幸せな家庭を築きたいという夢だってない事もない。21歳は一般的に言えばまだまだ若いし結婚に焦る歳でもないのだけれど、一応…。やめた、言い訳だ、私はセックスがしたい。けれど出会いもない。仕方ない援助交際だ。それだけだ。やましい事は何もない。いや、充分やましいのだけれど。

そんな前置きはどうだっていい。サイトで見つけた21歳の女性…5万というので少々悩んだが(大抵の人はホ別3だった)、最初に言ったが下心だけではなく出会いだって求めている。同い年という所に惹かれたのだ。
そして今日はその女性、晴子さんとの約束の日だった。

仕事帰りに約束の場所へ向かう。緊張、していた。割り切ったものの、"援助交際"というものは初めてなのだ。未成年に手を出す訳ではないから犯罪にはならないけども、何と言うか…なんだか 背徳的じゃないか、こういうものは。
ネオン街の電柱の下に立った。目の前をやたら丈の短いプリーツスカートを穿いたコートの女性が、サラリーマンと腕を組んで歩く。…今のは、どうみたって高校生じゃないのか、捕まりたいのか。なんて考えるけど、自分が偉そうなこと言えた立場にいないのは言われなくても分かっていた。溜息をつく。本当に良かったのか…。それにしても、遅い。


「アンタが鈴木サン?」

なんて悶々としていたら、背後から腰をちょんちょんっと突かれ、思わず驚いて跳ねてしまった。振り向けば、赤く長い髪の女性がこちらを見上げていた。鈴木サンで合ってる?と聞かれて、自分が鈴木を名乗っていた事を思い出す。化粧で囲った目の中で真ん丸な金色の瞳が一際輝いていた。思わず、見とれた。

「…違うの?」
「あ、いや!鈴木…です…」
「そっか!鈴木サン、イケメンじゃん!」
「え…あ、ありがとう」

お世辞なのだろうけど。だって、そんな事一度も言われた事ない。ただ、例えお世辞でも、今自分が嬉しいと思ってしまっているのは事実だ。だって、こんな…可愛い子だとは思わなかった。普段濃い化粧の女性は好かないが、それでも可愛いと、綺麗だと思えたのだ、特に瞳が。

「さ…行こっか…?」

晴子さんが、私の腕を取る。華奢な腕が私の腕に絡み付く。そして誘われるようにピンクの建物に入って行った。背徳的だとか僅かな抵抗心だとか、そんなものはほとんど忘れていた。彼女が余りにも、魅力的で。




「シャワー、先浴びてきていいよ」

言われるがまま、先にシャワーを浴びる事にした。室内の照明も風呂場の壁もピンクピンクピンクで、何だか、長い夢でも見ているようだった。完全に雰囲気に酔ってしまっているようで…ラブホテルに入るのは初めてだった。いや、童貞ではない。けれど、こういうことは高校2年生の時に経験して以来、なかったものだから。
あまり風呂場にいると逆上せてしまいそうだったから(元々普段から長風呂はしない人間だ)、身体を洗って直ぐに風呂場を出た。置いてあるバスローブを纏って、扉を開ける。
夢は直ぐに、覚めた。


「あっ…!」

彼女は私の財布を握っていた。最初はそれが自分の財布だということにも気付けなかったが、すぐに頭は回った。
知ってはいた。行為に及ぶ前に金を抜き取られて逃げられる場合があること。雰囲気に乗せられ完全に油断していた。あまりにも綺麗だったから…それが彼女の武器なんだろう。

「お前…!」
「っ!」

私が近寄ろうと踏み出すと、彼女は我に返ったように表情を焦らせてドアへと逃げようとした。逃がすものか、財布を取られたら私は今月暮らして行けなくなる!

「逃がす、かっ!」
「は、離せっ、あ!」

私は身体も鍛えていないし比較的軟弱なほうだったが、それでも一応は男だ。女性に力で負ける訳がなかった。
手首を掴んで引けば、彼女はすぐにもつれてベッドへと投げ出された。私はすかさず馬乗りになり彼女の両手首を押さえ付ける。

「騙される所だったよっ、警察に突き出してやる…!」
「あっ、や、やだ、やめろっ!」
「犯罪者が、暴れるなっ」

手足をばたつかせて彼女は全身で抵抗してきた。蹴られる前に、彼女の脚に跨がって押さえ付ける。彼女はただ肩をひねらせるだけの抵抗になった。衣服がはだけるが、そんなものは目にも入らなかった。ただ怒りで我を忘れていて、…彼女から出た一言を聞くまで。


「嫌だぁ!た、退学になっちゃうっ!」
「うるさっ……え、」


彼女が身をよじりながら涙声で叫ぶ。私は、彼女を押さえつけたまま固まってしまった。
今、なんて…

「ごめんなさい、ごめんなさいっ…何でもするからあっ!」
「…え、君…」
「警察にだけは言わないで…!うっ、ひ、う…っ」
「……学生…だったのか…」

彼女は完全に抵抗を止めて、顔をしかめて本格的に泣き出した。心なしか、身体が震えている気がする。私は、怒りなんてどこかに吹き飛んでしまって、ただ、唖然と…

「うぅっ、く…ひっく…」
「………」
「お願いじますう…何でもするからあ…あっ、う…」
「君…幾つなの…?」
「じゅ…なな…」

17って言ったか…?何が21歳だ、18歳にもなってないじゃないか…!
きっと私の顔は青ざめていたに違いない。だって、待ち合わせの時目にしたあの光景と、自分も同じ事をするところだったのだ。こんなの犯罪じゃないか、私は、そんなつもりじゃあ…
手首を離す。既に彼女の手に財布は握られていなくて、彼女は目を擦ってただ泣いた。そんな、泣かせるつもりはなかったんだけど…私の顔 怖かったんだろうか、いや、大人の男に怒鳴られながら乱暴に押さえつけられたら そりゃあ怖いだろう。ただ単に学校にバレると知って怖くなったのかもしれない。どちらにしろ、悪いことをした。いや、窃盗を行おうとしたんだ、当然の報いなのかもしれないが、それでも…(ご存知の通り、私はかなりチキンハートのようだ)。
彼女が目を擦る度、化粧が伸びて顔が黒くなる。

「…化粧、取れてるよ。」
「うぅっ…ひ…っ」
「顔、洗ってきなよ。待ってるから」
「!っ…、」
「あ、違う、そういう意味じゃなくて、その…何もしないから」

ぐちゃぐちゃになった顔で彼女は私をちらりと見た。もう一度何もしないから、と不器用に笑って見せると、少しは私に下心がない事が伝わったらしい。最初に見た、気の強そうな彼女とは打って変わって、弱々しい声でうん…と呟いた。






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長すぎだろ…
長くなったので続きは後日…

気付いた
ヘタレ涼野好きだ