(※自殺の話とかしてるのでちょっと注意!)





「君は、自殺するならどんな死に方をしたい?」

ぺらりと漫画のページをめくる音を追って、グランは俺にそんな事を問いた。突拍子のない発言に呆れたのだが、今更。コイツはこう言う奴だ。

「何だよいきなり。」
「何となく、だよ。ねぇ、どんな死に方が良い?」

いつもと変わらぬ調子で漫画をめくる俺の手を目で追いながらグランは話した。何で自殺法なんて考えに至ったかは分からないが、顔を窺って見ても死にたくて深刻に悩んでいるわけではなさそうだから、そのまま漫画を読みながら俺は会話を継続する事にした。(普段なら馬鹿じゃねぇの、で会話は終了するのだけれど、何故グランとこんな会話をしようと思ったかと言うと漫画がくだらなくて暇を持て余していたと言うのもある。)

「睡眠薬を大量に飲む、とか。よくあるじゃん。」
「睡眠薬は意識が朦朧としている間も苦しいんだよ。日本の市販の睡眠薬じゃあ死ねずに身体に障害を残したまま生きる事になるケースが多い。」
「じゃあ、首吊りとか。」
「勿論苦しいし、ちゃんと処理してから死なないと筋肉が緩んで糞尿垂れ流しさ」
「うげ、意外ときったねぇのな。」

そのまま研究結果を語る博士のようにグランは話し続けた。その表情は少し楽しそうだった。俺の視点は何を見るでもなく脚を組んでいるグランの脚を見ていた。やっぱりコイツ綺麗な脚してんなぁ、

「水死はまぁ発見時間にもよるけど身体が水を含んでぶよぶよになる。凍死は想像つくだろうけど身体の色が悪くなる。飛び降りは見た目どうこうじゃなく飛び降りる事自体が怖いと思うんだ俺は。高い所嫌いだし。流行りの硫化水素は致死濃度に達していない場合に使用してしまうと目や口や身体中の水分が酸性に変わって酷い激痛に襲われるから見栄えも死に際も絶対に悪くて苦痛。粘炭などの一酸化炭素は、死体の色は綺麗になるからきちんと体内の処理さえしていれば一番綺麗だろうね、まぁ勿論苦しいだろうけど。」

死ぬなら痛みなく綺麗に死にたいよね、と付け足しながらその綺麗な脚を伸ばして足の平を床に付けた。そのまま俺の隣まで来て腰を降ろす。寝転がる俺の太股にグランの折りたたんだ長い脚が触れた。少し首を回して見てみれば会話の内容と不釣合いな程優しい笑顔だった。

「で、どれが良いと思う?」
「どれも苦しいじゃんか。」
「まぁ、あんまり変わらないかもね」
「…まだマシだと思うのは凍死かな。感覚さえなくなっちゃえば眠るだけで死ねるだろ?」
「ふふ、紅蓮の炎を語る君が凍死か。それは面白い。」

グランの手が俺の太股に乗る。ぴくりと反応してしまい、クスリとグランが笑う。何だか気恥ずかしくなったから脚を動かして少し蹴った。かちりと視線が合って、そのままグランが俺の上に跨った。

「俺、死に方はもう決めてるんだ」
「?何だよ」
「腹上死。勿論バーンの上でね。」
「はは、あんたらしいな。」

結局愛を語りたかっただけかよ、回りくどい奴。
惹かれ合うようにどちらともなく口付けた。舌を絡ませあって下品に唾液を漏らす。グランの細長い指が横腹を這って腹の中に潜り込む。結局、俺達は暇を潰せるのならなんだって良いのだ。会話に結論が出てしまったなら、次の遊びに切り替えるだけ。






遊びたがりの年頃だから





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何か微妙。
しかも自殺法どうこうの話は1つ1つ調べた訳じゃなく軽く調べただけなのできっとガセネタ!てへ!