怖い。怖ぇよ。俺は暖かい風介の首元に顔を埋め、心の内を漏らした。ユニフォームを着ると身体の中から火をつけた様に燃え上がって、やがて脚の先まで熱く燃え上がる。血までもが沸騰してしまったように熱を持ち、心臓が酷く熱くなって鼓動が響く。その中で勝ちたいと思えば思う程、深い所から何か黒いものが渦巻いて俺を支配し、俺の身体が動くんだ。信じられないような黒く熱い力が沸き上がって来る。いつか取りつかれてしまって、俺は俺でなくなってしまうんだろうと思った。ユニフォームを着なくてもこの心は燃え続き鎮まる事はなくなって、きっとお前の冷たい身体にはもう近寄る事は出来なくなる。現に、俺の心は沸々と燃え始めていたのだ。けれど俺は、自分が自分でなくなってしまう事より、お前の心が凍ってしまって俺から離れてしまう事に恐怖を感じていた。お前は、特に弱いから凍っていく心にきっと耐えられない。初めてユニフォームを着て"バーン"になった日の夜に布団の中で身体を震わせるお前を見て、酷く苦しく思ったんだ。嫌だ と、考えれば考える程燃え上がり、止まる事が出来ない。嫌だ、鎮まってくれ、

(怖い)(こえぇよ、)

どうすれば良い、どうすればお前とずっと一緒に居られる、俺は、独りじゃ、お前無しでは生きて行けない、風介、


俺達は夢中でキスをした。互いに舌を絡ませ、息をも止めていた。双方から流れた涙が触れ合って一つになる。好きだ、離れたくない。強く抱きしめあえば、互いの爪が互いの背中に跡を残す。跡はすぐに消えてしまうんだろうと考えると、より力がこもった。独りじゃないと、俺達は一緒だと、確認するかのようにいつまでも強く強く抱きしめあった。どうやったら一つになれる。どうやったらお前とずっと一緒にいられる。どうやったら、

「晴矢、晴 矢、はるっ、」
「風介っ…ふうすけ…」

もう一緒にいられない事なんて、本当は分かっていた。
それでも、どうやっても心から敵対し合い憎しみ合うだなんて出来そうにないから、こんなにも悲しい。






いつか、きっと





(いつの日か、お前の心が凍ってしまったら俺が溶かしに行くから、)
(お前の冷たさで俺の炎を鎮めてほしい)





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あんなに人間を強化できるエイリア石なんだから、副作用があってもおかしくないよね。
ってことでエイリア石を使い始めた頃のバーンくん。
ガゼルの話のバーンサイドです。

きっとバーンは自我を保てるけどガゼルは呑まれてしまいそうだなと思い、ちょっと精神的にバンガゼ寄りかもしれない。