2人きりの室内 (…あ。) 飴でも舐めているのか、漫画を読みながらもごもごと動くバーンの口元に目をやれば、唇が乾燥していた。 私は乾燥するのが嫌で頻繁にリップクリームを塗るのだけれど、私ほど頻繁ではないにしろこの時期になれば大半の人はリップを塗るんじゃないか。なのに目の前の男、気にかけてケアしている様子は全くない。ここまでカサカサだと、お前は気にしなくても私が気になる… バーンに近寄り隣へと腰を降ろす。バーンは余程漫画に夢中なのか、特に気にする様子もなく視線は漫画に向けたまま。 「…何だよ、」 その唇に指で触れれば、口を開き文句を言うものの漫画から視線を外す事もない。こんな関係になる前は触れただけで猫が逆毛を立てるように食ってかかってきたっていうのに、安心しきっているのだろうか。 「唇が乾いているよ」 「あ?冬なんだから仕方ねぇだろ」 「リップとか塗らないの?」 「面倒くせぇよ」 こんなにカサカサなのに… そのまま指で唇をなぞっていると、欝陶しくなったのか手ではらわれた。そのまま漫画を読み続けるバーン、 「バーン」 「………。」 お呼びでない、と言わんばかりに、手でしっしっ と掃われる。 …大体おかしい。恋人が、わたしがわざわざ部屋まで出向いてやっていると言うのに一人で漫画に夢中になっているなんて。私が来た意味がないだろうが。少し苛ついて再びバーンの唇を見て、閃く。 漫画を読んでいるなどお構い無しにバーンの顔を両手で包み込み、こちらに向け、 「なんっ…ひ、んっ」 何か反論しようとしていたが気にせず バーンの乾いた唇を舐め上げた。舌に剥けた皮の感触が伝わるが、舐めるうちに段々わからなくなる。バーンの口から やめ、だの なに、だのと言葉に成り切らない声が零れる。次第にバーンの口の周りが私の唾液で濡れて、顎を伝い落ちた。 そこから口の中に舌を入れる。少々乱暴に腔内で舌を動かせば、私が苛ついているのが分かったのか(若しくは気持ち良くなったのか)、バーンは抵抗を止めキスに集中した。 歯列をなぞり、舌を絡ませる。時折舌を甘く噛んでみれば、ふ…と息が漏れた。睫毛が震える。その姿に思わず欲情する。いや落ち着け、私… 「っは…!いきなり、何すんだお前っ…!!」 長いキスから唇を離せば、また口煩くバーンが怒鳴る。ただ、涙目の睨みと肩を上下させた息切れと、濡れた唇がセットだ。 落ち着いてなど、いられるか。 「っちょ、ガゼル!?」 「バーンの唇が乾かないようにずっと濡らしといてあげるよ。ついでにこっちも。」 「…!!ば、馬鹿野郎!!!」 バーンの服と共に理性も剥ぎ取った。 (乾いた唇なんてどうだっていい) (ただ私を見ていて欲しいだけ) リップの誘惑 「あれバーン、リップ塗ってるの?」 「グランがもう使ってないリップあげる って言うからな。…もうお前に好き勝手させねぇよ。」 (しまった…グランの奴) ------------ リップクリームどこいった 最初リップネタで、打ってる途中好きなサイト様が次々とリップネタを更新してて、載せるの躊躇ったけど打ってるうちに乾いた唇とキスと漫画に嫉妬ガゼルの話になったんでいいかなと。 脱線しすぎだ… そもそもキスシーン書くのに夢中になりすぎだわたし… |