ポアントガール | ナノ



私がまたミルクティーな"白石君"を見掛けたのはあの時から半日もたたない午後5時半頃のことだった。


「あ!」


神様に願うことは大切なんだなぁ。感動しつつどこにいるんだかよくわからない神様に向かって合掌。
日が暮れるのがだんだん遅くなり始めてきているこの季節で、日はまだ沈みそうにもない薄い水色の爽やかな空。そんな空の爽やかよりも更に爽やかなその人が、白石君だった。

きゃー、しらいしくん!!がんばってやー!!
もっと近くで見てみたいなと白石君の立つ場所へ出来るだけ近づいて見ると、女の子達の声援が鼓膜を揺らしたので驚いた。や、破れる。私の所属する部活動はいつも5時に部活が終了する上に、大事な部長と顧問の先生が面倒臭がりで活動も少ない。だからこんな時間まで学校にいることなんて珍しい私には目に映るそれぞれがとても新鮮だった。女の子達の威勢に押し負けて数歩後退りしてからそうかテニス部だったんやぁ、なんて。テニス部はこの学校を代表する部活なほど強いところだから、やっぱり人気があるんやろなあ。そういえば白石君の周りの人も格好良い人ばっかり。その中には知ってる人も多くて、私の知らない人が多過ぎるわけじゃないらしいことに密に安心した。

普段運動部というものを目にすることが少ない私は、綺麗なだけじゃなくとっても格好良い白石君の姿に釘付けになることしか出来なくて。


そうして思い出すのはもちろん今朝のこと。
そういえば私は白石君と目もあってないし、見掛けた時には名前すら知らなかったけれど。でもあれはもう、すっごい出会いだと思った気がする。というのもきっと白石くんが印象的過ぎる程に綺麗だったからだけど。
今日彼のことを初めて目にして、やっと知りはじめて。輝いている白石君はもう美味しそうなミルクティーというよりキラッキラの宝石みたいだなんて思った。ミルクティー色の宝石ってあるんかな。


「……かっこいー…!」


わからないことばっかりな白石君だけど、昨日よりもずっと色んなことを知った白石君だ。
昨日まで名前すら知らなかったのに、今日はもうテニス部ってことまで知っている。でもまだ、例えば包帯しているのにテニスしてて大丈夫なのかなとか、ミルクティーは好きかなとか、そういうのは全然知らないけれど。

じぃっと食い入るように見つめていた白石君がパコンとボールを打ち返した時。胸のあたりの窮屈な感じにハッとして、何もかもがわかったような、尚更分からなくなったような。きゃあっと沸いた女の子達の声のせいかななんて、そんなわけない。


でも、なんだか。何も分からないけれど。なんだかとっても。




ドキドキするの

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