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わたしとブンちゃんの関係とはなんだろう。よく女の子に聞かれる。丸井くんとはどんな関係?これになんて答えるべきなのか、わたしは分からない。
幼稚園から一緒だけど、同じクラスになった事は一度もない。10年以上一緒なのに、一度もだ。家は確かに隣だが、特に仲がいいとかそんなわけでもない。ただ気が向けば遊ぶ、そんな程度。ドラマや漫画みたいな毎日のようにお互いの家で遊んだり〜なんてのはありえない。親同士がとても仲良しという事でもなく、親はお互い普通にご近所さんな認識。「あら丸井さん宅の奥さんおはよう。今日もいい天気ねえ」「ええ、おはよう。苗字さん宅の奥さんは犬のお散歩? ご苦労さま」「ええほんと、娘が欲しいってせがんだから買ったのにあの子ったら散歩もしないで…」「お互い大変よねえ。うちの子なんて…」と、こんな程度である。よくある「○○ちゃんバーゲンいこう!」「賛成だわ○○ちゃん!」みたいなのはない、絶対ないない超ありえない。見てわかるだろうけど、わたしとブンちゃんは幼馴染って程仲良しなんかじゃない。
丸井くんとはどんな関係?この問いに、わたしはいつもこう答える。「所謂幼馴染未満な腐れ縁?」、と。
 
 
「ようブンちゃん。また太った?」
「てめえ開口一番それかよ、ブン殴るぞ」
「女の子に向かって殴るとかないわァ、さいってー」
「るせェ。ったく、可愛くねーオンナ」
 
学校の帰り、たまたまコンビニの前でブンちゃんと顔を合わせた。ブンちゃんの手にはにくまん。…今日はにくまんの気分だったけどいいや、あんまん食べよ。だって被るのなんかやだし、真似したとか言われそう。コンビニの中に足を踏み入れ、レジのおにいさんに「あんまん一つ」。会計をして、袋からあんまんを取り出しながら外に出る。
 
「あ? まだいたんだ」
「おー」
 
ブンちゃんはまだ外にいた。フェンスによっかかって、弄っていた携帯をパタムと閉じる。もさもさとにくまんを貪りながら帰り道を歩みだすブンちゃん。家が隣なわたしは、黙って数歩後ろをついてゆく。
 
「最近よく聞かれるんだけどさぁ」
「おー」
「丸井くんとはどんな関係?とかすごく返答に困るんだよねー」
「はァ? んなもん幼馴染ですって答えときゃいいだろぃ」
「幼馴染ィ? わたしらが?」
「え、何。ちげーの?」
 
振り返ったブンちゃんはきょとんとした顔をしている。いや、寧ろ幼馴染って思われてたわたしがきょとんだわ。
 
「いっつも幼馴染未満の腐れ縁?って答えてた」
「そこはフツーに幼馴染ですって答えろよ、バカ名前」
 
ブンちゃんが呆れたように笑った。あ、この笑顔すきだなぁ。恋愛のどうこうとかそうゆうのじゃなく、昔からなんかよく見る笑い方。わたしの中ではブンちゃんの笑った顔イコールこの顔ができるのかもしれない。呆れ笑いをよく見るのもどうなんだと思うけど。それからわたしたちは、家に着くまで他愛ない会話をした。ブンちゃんはにおうくんの話とかあかやくん?の話、あとかわいいおんなのこに何人告白されたって自慢話をした。わたしはずっと聞いてるだけだったけど、それだけでとても楽しかった。ブンちゃん、話すのうまいなぁ。
家について、おやすみ、またね。と別れる。玄関の扉を閉めて、ふう、と息を吐き出した。なんだか一気に脱力感。わたし、もしかしてものすごく緊張してたのかな。…なんかこんなにブンちゃんと話したの久しぶりな気がする。だからかな。でも楽しかったなあ。ただいまーなんてママに声をかけながら思う。今日はなんだかよく眠れそう。
丸井くんとはどんな関係?この問いに、わたしは次からこう答える。「幼馴染なんだ」、と。
 
 
境界線を踏み消す
 
 
花本ちゃんに捧げます◎
ほんとお待たせしすぎだと思う…何ヶ月待たせたよ、ほんとごめんなさい。ようやく秋に入りますねって頃にまさかの冬目前みたいな話でしたごめんなさい。ブンちゃんといったら何故かにくまんしか思い浮かばなかったんだ…。返却書き直しいつでも受け付けてます。
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