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初めて彼の隣で寝た夜だった。
色々と覚悟はしていたものの、優しいキスが降り注ぐのを受け止めるだけで精一杯で、それをわかってくれたのか彼は微笑んだ。

それでもどうにも落ち着かないのはわたしのスペックに見合わない隣のうつくしい男のせい。先ほど飲んだ酒のせいか、少しだけ寝息がハッキリと聞こえる。その度に贅沢に生えたまつげを惜しげもなく揺らしているのだろうか。灯りを消した部屋で、輪郭と鼻筋だけが部屋に差し込む月明かりにぼやけていた。今夜は月が明るいようだ。
彼を気にしてうまく身をよじることすらできないけど、あたたかくて、しあわせで眠気が伝染してくるようで。わたしの肩に頭を乗せるように、寝転がっている訳だから、乗ってはいないのだけど、そのくらい近い距離で眠る彼の使う、今日はわたしも使ったシャンプーの匂いが、同じ筈なのに使う人によってこうも変わるかというくらいいい匂いがした。一丁前に、落ち着く、なんて、すこしだけ髪に鼻をよせながらおもう。
その途端、いつの間に起きていたのか、はたまた最初から眠っていた様子がうそだったのか。大きな大きなてのひらで腰から引き寄せられて首元をすんすんとやられる。それだけでも心臓が大きく脈打つのを感じた。眠気が飛ぶのも、同時に感じた。それは彼にも伝わったようで。

「なあ、眠たくあらへんのやろ?
もっとキスしてもいい?」

さっきまでは狸寝入りだったのだと確信した。どうせ私が肯くことしかできないのは彼もわかっている。むしろわたしの表情なんて、彼の影に隠れた今見えやしないだろう。



ヤコウセイ



これしらいしか?りはびりにざっくり一気に書いたけど毎回りはびりってゆってるもんで意味もない
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