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考えれば考えるほど、あいつには俺の隣に並べるほどの価値はない。


君に身を窶す価値


これと言って可愛いというわけではない。目は小さいというわけではないが、大きくはない。奥二重で、たまに、「見て、今日は二重!」なんてはしゃぐ。お前の目が二重であろうと奥二重であろうと、大して見栄えは変わらないのに。まぁすこしは、可愛くなるのかもしれない。身長は俺が今まで付き合ってきた女の子達と比べても一番高い。俺よりいくらか低いけど、160だという。俺と5センチもかわんねえとか。まぁ、あいつはもう成長が止まったのに対して、俺はこれからまだ伸びるけど。身体や足は細いけど、スカートはあんまり短くなくて勿体ねーなぁっていつも思う。肌もこれといって荒れてないけど、なんだか地味な印象を受けるのは真っ黒で少し長めの前髪のせいだろうか。性格はわりと明るいほう。そもそも敵を作るほど挑発的な性格も見た目もしていなかった。一言で言うと、普通。特に可愛くもなければ、特に不細工でもない。

それに比べて、俺って正直見た目はいい方。性格も明るいし、人とも分け隔てなく接してるし、運動も出来る。けっこーギリギリだったとはいえ立海に入れたぐらいには頭もある。ぶっちゃけ後輩からだって年上からだって、他校の女の子からだってモテモテ。自覚がない方が可笑しい。今まで付き合った子たちはわりとみんな可愛い方だったと思う。

そもそも可愛い子に執着していたわけではなかった。告白してきてくれる子達の中では、可愛い子を選り好みして付き合っていたけど、好きになる子としては、すげえ可愛いが必須ってわけじゃなかった。まぁもちろん、顔が可愛いに越したことはないんだけど。


こうやって彼女を否定し続けて、ここ最近はずっと、俺は本当に彼女に好意があるのだろうかという思考を深く深く掘っていた。深くする程そんなわけはないという否定(彼女に対してはとても失礼だ)と、もしかしたら、という弱々しい二つの意識が大きくなる。なんだか認めたくないが、たぶんこれも俺が彼女のことを好きになっているからこその思考であり、それを感じつつもやはり俺は今日も彼女への気持ちを否定的に考えていた。あーやっぱ、前の彼女のが可愛いんだよなぁ。でもすげえ、ちゅーしてえんだよなあ。


title/ルドルフ
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