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ここ最近こわい夢ばかりだった。それを彼になんでもない調子でぽろりと溢したら、「じゃあ俺が隣にいてあげよっか」って。だからてっきり子守唄でも歌ってくれるのかと思ったんだけど、私の彼に限ってそんなわけはなかった。そんなことよく考えたならわからないわけがないのだけども、でも彼が、あんまりにも優しく柔らかく笑うから。

慈郎はいつもと変わらぬ寝顔ですうすうと安らかな寝息を立てて眠っていた。まだベッドに入って数分なはずだけど、おやすみと言ったきり、慈郎が私の手を握る手のひらの力はどんどん小さくなってゆく。でもひとりで寝付く毎晩よりずっと布団が温かくて、それから直ぐに私はうつらうつら微睡み始めた。


きらきらとした夢だった。金平糖みたいにカラフルで小さな星屑みたいなのがシャワーみたいに慈郎と私の頭上からサラサラと降り注いで、足下を埋め尽くしてゆく。あっという間に地面は輝く銀河のようになり、私たちはずっと続く天の川みたいなその地面を辿って延々と歩くのだ。思い出せないけど、とにかく他愛のない話をして、時折手のひらいっぱいに星屑を掬い上げてまた空に浮かべるみたいにしてばら蒔いたりした。そんな、不思議でやわらかな夢だった。



「ねえ昨日はね、すごく素敵な夢を見られたよ」

慈郎の肩に頭を乗っけてそう報告すると、慈郎はふぁと欠伸を漏らしながら微笑んだ。

「よかったC〜俺はこわい夢見ちゃった」
「え?」

いつもなら夢なんてほとんど見ないくらい熟睡するはずの慈郎が夢?しかも、こわい夢?なんだか珍しいこともあるものだなぁなんて思いながら慈郎を見上げると彼はいたずらっ子みたいに歯を見せて笑う。ああその笑顔にぜんぶだいじょうぶだよって言われてる気分になるんだ。

「これでなまえのこわい夢は俺がぜんぶ見たから安心していーよ〜!」




星を集めてお砂糖漬け
title/ごめんねママ 安定の遅刻!ほんとはもう少し描写とかあったんだけどミスって消えちゃって諦めました(・ω・`)Happy birthday!
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