熊谷さまから誕生日プレゼント



金木犀の香りが俺の部屋をふらりとたぶらかすかのように、俺の部屋に綱海が入ってきた。彼は何の遠慮もせずに俺のベッドに、もそもそと侵入してきたと思うと、今度はごそごそと布団の中を移動する。そうして、長い時間をかけてようやく彼は俺の隣に顔を出した。「かんとく、さむい」彼は未だ夢うつつなのだろうか。いつもは地球を回る衛星のように大きく輝く目は、今は半分くらいしか見えていない。ピンク色の髪の毛も、いつものつんつんとした定位置ではなく、重力に逆らうことを知らないまま垂れ下がっていた。「ああ、もう12月だからな」彼のいた沖縄はまだ、コバルトブルーに輝く海に潜れると聞いた。元々猫目の彼の目が細まり、俺の瞳を捕らえる。長い睫毛に縁取られた彼の目は、とても綺麗に映った。「かんとくがいるから、俺はここにいるんだよな」随分と唐突な話だった。ああそうだ、と返事をしたかったけれど、窓から溢れる夜がそれの邪魔をした。代わりに、とは言えないけれど俺は別の言葉を嘯いた。「25日は雪が降るらしいぞ」綱海の目に映る無数の星は、何
かのロマンスを虎視眈々と狙っているようだった。「かんとく、嘘吐くといいことないって。そんなに先の天気予報出てるはずないじゃん。俺、さむいのいやだし」眠気と戦いながら俺の指に自身の指を絡ませた綱海は、苦笑しながら言った。「だって、お前は雪を見たことがないだろう?」「まあ、そうだけど」「人生最初の雪の日がクリスマス、中々良いじゃないか」眠たげにくしゃりと笑った綱海は、一閃の仄かな衝撃を残し目を閉じてしまった。窓の外を見るとまだ夜は深い。隣ですやすやと眠り始めた綱海を横目に見ながら、俺は窓の外の星を眺めた。


静脈に流れる星
(あいをこめて)



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熊谷さまから誕生日プレゼントいただきました!
思わずはぁ…///と息を吐いちゃう素敵な小説ありがとうございます^//^
監督は布団に潜り込まれて大丈夫なのry
熊谷さま、マジで感謝です!







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